【べらぼう】えなりかずき、弟役のひょうろくに感激「完全にDNAで共通するものを感じた」

俳優・えなりかずきが、NHKの大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時、22日は午後7時14分)の取材会に出席し、SNS上で怖いという声が飛び交う松前道廣を演じる心境や渡辺謙、ひょうろくら共演者への思いも明かした。

松前道廣を演じるえなりかずき【写真:(C)NHK】
松前道廣を演じるえなりかずき【写真:(C)NHK】

松前家第八代当主・松前道廣を熱演

 俳優・えなりかずきが、NHKの大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時、22日は午後7時14分)の取材会に出席し、SNS上で怖いという声が飛び交う松前道廣を演じる心境や渡辺謙、ひょうろくら共演者への思いも明かした。

 道廣は松前家第八代当主で、時には行き過ぎた行動も平気で行う奔放な性格。作品は18世紀半ばに江戸のメディア王として時代の寵児(ちょうじ)となった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)を軸に描く痛快エンターテインメントだ。

 えなりは今回が大河ドラマ初出演。出演が決まった際の気持ちから尋ねると、「ビックリしました。どんな役でも大河ドラマに出演できるならやりますという気持ちでした。物語も面白いし、役柄もトリッキーな印象でしたのでうれしかったですね」と答えた。

 出演が決まって「おめでとう」と祝福されたのは過去の取材で、2001年の『NHK紅白歌合戦』と23年の朝ドラ『ブギウギ』だけだと話していた。今回はどうだろうか。

「くりぃむしちゅーの上田晋也さんに報告したら『よかったじゃん』と喜んでくださり、クイズの練習を一緒にするカズレーザーさんも喜んでくれました。クイズの練習会で朝ドラや大河の問題が出ると、『いつか出たいな』とつぶやいていましたので、カズ先生には『よかったですね』というコメントをいただきました」

 道廣の初登場シーンでは家臣の妻を木に縛り、周りに据えた皿を火縄銃で撃っていた。SNSは恐怖の声であふれたが、本人は冷静だ。

「怖い役と思っていましたが、最初にチーフ演出の大原拓さんと話した際、怖いと思わないでほしいと言われたんです。本人には普通のことなので、と。それで怖いと思わない感情で演じなければとマインドを変えました。打ち合わせで普段のさわやかさ、無駄に力が入っている青年の印象で演じた方が客観的に見た時に怖くなるという結論に達しました。知り合いからも怖かったというコメントを頂きます。ひどいことしていますから。でもNHKだから皿を割るだけで済んでいると思います。抑えていただいた形かと」

 打ち合わせ前は、ここまでの悪役は初めてだからと「悪代官が出てくる時代劇をすごく見た」と話すが、マインド変更後の役作りはいかに――。

「大原さんから映画『十三人の刺客』で稲垣吾郎さんが演じた人物がもっとニコニコして人を刺す感じというテーマを頂いたので、それだけイメージしました。ニコニコしているということは日常の楽しいことをしているイメージ。そこからは悪人を演じる観念は一切取っ払いました。ただ人を火縄銃で狙って撃つ設定なので、どうしても悪いことをする気持ちが出てきてしまいます。だから何度もテイクを重ねて撮りました。最終的には幸楽でラーメンを運んでいた時と変わらないニュアンスのセリフの言い方のシーンが採用されていました(笑)。やりがいがありました」

ひょうろくからも刺激「衝撃でした」

 一方、火縄銃については思いがけない役作りだった。

「1回も人生で銃を撃ったことがなかったのでグアムに行って射撃をやってきました。室内練習場でしっかり防音対策も。でも撮影の時は、発射音を生の耳で聞かないとなりません。心構えはありましたが、驚いちゃいました」

 田沼意次を演じる渡辺謙からは、お褒めの言葉をもらったという。

「上田晋也さんから聞いたのですが、原田泰造さん(意次の側近・三浦庄司役)に謙さんが『えなりの殿様こえーぞー』と言っていたそうなんです。謙さんのお言葉を原田さんと上田さんを経由して伺ったんです。直接いただく褒め言葉もうれしいですが、間接的なほめ言葉は3倍くらいうれしいです。ありがたかったです」

 ここで渡辺との芝居の感想も聞いてみた。

「道廣は俺が一番という感覚でいますので、田沼より俺が上という気持ちで接し、一橋治済(生田斗真)についても自分が利用してやるぞという立場で演じなければなりませんでした。芸能界的なポジションで考えると気後れしそうな気持ちを抑えて演じるのは大変。やはり渡辺謙さんの目線をリアルに頂くとゾクッとしますので、それをゾクッとせずニコニコして見てなきゃいけないですし。でも勉強になりました。渡辺謙が作る空気感。生田さんの撮影に入る前からの一橋の雰囲気でいく空気感の作り方。アプローチも違い、誰もが声を掛けにくくなる空気感が作られる瞬間が皆さんあって、その感じが面白いです」

 現場には相当な緊張感がありそうだが、えなりも「あります」と明かす。

「カメラも贅沢に何台も使われ、みんながいい画を撮るぞという勝負の雰囲気。セットも美術さんの力で本当に江戸時代にいるかのような気持ちに。自分の役者人生の宝物、幸せな瞬間だと思います」

 演じる道廣の弟・廣年は、お笑い芸人のひょうろくが演じる。

「ひょうろくさんとお話を伺った時、完全にDNAで共通するものを感じました。こんな違和感のない兄弟はなかなかないと自信を持ってお送りできる感じでした。ひょうろくさんのお芝居の最終形態といいますか、佇んでいるだけでその雰囲気になる、お芝居になる表現を目の前で見て、すごく勉強になり衝撃でした」

 似ている話をもう少し聞いてみた。

「最初に床山さんからお名前だけ伺って、膝を打つといいますか、そっくりだと、弟じゃ!という気持ちでした。生田さんとの共通点は『霊長類』くらいかと思いますが、ひょうろくさんとは人の中のジャンルが合っている感じ。ともに多分一筆書きで描ける感じで同じDNAは持っていると思います(笑)。話すと想像以上に優しく、柔らかい雰囲気の方。ただミステリアスでしたので芸能人生をグイグイ聞いちゃいました。もう、ひょうろくさんに関して結構語れます(笑)」

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