お笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の中田敦彦が初めて自身の半生を振り返る哲学的自伝『幸福論　「しくじり」の哲学』(徳間書店)を発売した。

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「中田敦彦のYouTube大学」がチャンネル登録者数283万人を突破する人気となっている中田。数々の成功を収めてきたが、その道のりは実は平坦なものではなく、順風満帆と呼ぶにはかけ離れていた。

「オリエンタルラジオ」としてデビューして間もなく、リズムネタ「武勇伝」でトントン拍子で芸能界を昇りつめ、冠番組をいくつも持つほどの人気を得ながら、ほどなく失速。話題性も仕事も激減した。

　しかし、そこから相方の藤森慎吾は「チャラ男」キャラで再ブレイク。続いて中田もテレビ番組 「しくじり先生　俺みたいになるな!!」の講師役が好評を博し、知性派芸人として藤森に負けず劣らずの再ブレイクを果たす。

　しかしそんな最中のこと。中田は他のトークバラエティー番組に「ひな壇芸人」の1人として出演した際、ふと疑問を持つ。

　このままでいいのか。こうやって「ひな壇芸人」としてみんなとワイワイやるのは楽しい。それは間違いない。でもこのバブルのような状況はいつまでも続くものなのか――。

　そんな疑問にとらわれたのを機に、自分のやりたいこと、スタンス、個性をより明確にしようと、芸能活動の方針を転換。その一手がダンス＆ボーカルユニット「RADIO FISH」の結成だった。

　藤森や、中田の弟でダンサーのFISH BOYら総勢6人からなる「RADIO FISH」は、楽曲「PERFECT HUMAN」で一世を風び。2016年の大みそかにはNHK紅白歌合戦にも出演を果たした。

　さらに中田は2019年4月からYouTubeに注力。「中田敦彦のYouTube大学」は開設からわずか1年でチャンネル登録者数200万人を突破。現在もトップユーチューバーの仲間入りを果たしている。

　そんな中田の生活はいま「中田敦彦のYouTube大学」のための膨大な読書、そして撮影の時間と、自身が主宰するオンラインサロン「PROGRESS」の活動にほぼすべて費やされている。

　著書では、初めて自ら語る家族のこと、相方・藤森のこと、そしてさまざまな苦闘や喜び。自身の半生を幼少時から現在まで振り返り、「幸福とは何か？」について考察している。

【中田敦彦のコメント】
ぼくにとって大きな節目になる本です。現時点でのぼくの集大成と言っていい。

成功も、失敗も、喜びも、涙も、おおよそぼくが経験したことのすべてが詰まっています。しくじってしくじって、笑われて笑われてきたぼくだからこそ、読者のみなさんに伝えられるものがあるんじゃないかと思っています。成功がすべてじゃないし、がんばることがすべてじゃない。たとえ失敗してもそのプロセスが楽しかったのなら、ぼくはそれを肯定したい。つらくてがんばれないひとがいるのなら、ぼくはそのひとを肯定したい。そうやって肯定していくことで世界は美しくなっていくのだと信じています。

タイトルどおり、この本のテーマは「幸福とはなにか」です。幸福とはなにか――。実は最近までぼくはそんなことを考えたことなんてありませんでした。でも、テレビを離れて、YouTubeやオンラインサロンの活動に軸足を移すようになって、ぼくのなかでなにかが大きく変わっていった。そしていつしか、ひとはいかに生きるべきか？　という問いがぼくのなかに生まれたんです。

ぼくらはつねに成功を求めようとするけど、それを人生の基本にしようとするけど、ほんとうにそのスタンスは正解なのか。そこにしか幸福はないのか。

ぼくは「YouTube大学」を配信するようになって日々たくさんの書物に接してきました。そのたくさんの書物から得た知見も交えつつ、思索を深めてみたのが本書です。20代のぼくだったら“サクセス”のことしか考えられなかった。でもキャリアの浮き沈みを潜ったいまだからこそ言えることがある。みなさんに楽しく読んでもらえれば望外です。