【マリーゴールド】デビュー1年で味わった天と地 大ブレイクした170cm長身レスラー天麗皇希「何度もケガをする試合の入場時の夢を見た」

5月24日に代々木で旗揚げ1周年興行を開催したマリーゴールド。この1年でおそらく一番その名前が知れ渡ったのが、天麗皇希(あまれい・こうき)だろう。170センチという長身にキリっとした佇まいでグッズの売り上げも常に上位、デビュー当時の「1年以内にベルトを獲る」という目標も、初代GHC女子王者になることで達成した。しかしこのベルトが、彼女にとって重い十字架となっていた。

5か月ぶりに復帰した天麗皇希【写真:橋場了吾】
5か月ぶりに復帰した天麗皇希【写真:橋場了吾】

GHC女子王座創設は大チャンス……絶対モノにしようと思った

 5月24日に代々木で旗揚げ1周年興行を開催したマリーゴールド。この1年でおそらく一番その名前が知れ渡ったのが、天麗皇希(あまれい・こうき)だろう。170センチという長身にキリっとした佇まいでグッズの売り上げも常に上位、デビュー当時の「1年以内にベルトを獲る」という目標も、初代GHC女子王者になることで達成した。しかしこのベルトが、彼女にとって重い十字架となっていた。(取材・文=橋場了吾)

 1年前のインタビュー時には、天麗皇希のXアカウントのフォロワー数は7000人ちょっとだった。それがこの1年で1万人以上増えた。

「やっぱりリプライが凄く増えましたよね。私はそもそもSNSが苦手というか、挑戦的なことをいうのが苦手で、日常とか宣伝とかが多くなっちゃうんですけど。もちろん、(レスラーから)何か言われたときは返すんですけど、自分から発信することが得意ではなくて。なので、自分に対して言うようにしているというか、自分がこうなっていきたい、自分がこうしたいという感じが多いかもしれないですね」

 天麗のフォロワー数が増えたきっかけはいくつかあるが、その中でもGHC女子初代王者になった(2024年11月11日、MONDAY MAJIC新宿大会)ことは彼女にとっても大きなトピックとなった。

「私はデビューしてから1年、今年の5月までに何かしらのベルトを取りたいなという思いはずっとあって、UNのベルトにデビュー3か月で挑戦して、そのあと2回ツインスターにも挑戦して、全部負けてしまったんです。でもGHC女子の初代王者を決めるバトルロイヤルに参加できるのはチャンスじゃないですか。しかもオーバー・ザ・トップロップルールがあるなら作戦勝ちができますし、これは絶対にモノにしないといけないと思いました。

 参加したほかのメンバーを見たときには、本当に勝てるんだろうかと。その中で残って勝てたのは自信になりましたけど、“GHC”という名前に対するプレッシャーはありました。それこそ三沢(光晴)さんに関する書籍を読ませていただく機会もあって、読み進めていくたびに重い石が積み重なっていく感じがしました。NOAHにとっても女子王座を作ることは挑戦だったと思いますし、自分なりにできることをやっていこうと思っていました」

復帰前は悪夢を何度も見たという【写真:(C)マリーゴールド】
復帰前は悪夢を何度も見たという【写真:(C)マリーゴールド】

復帰1か月前に見た悪夢……またケガをしたらどうしようという恐怖感

 その初防衛戦、今年1月3日のマリーゴールド大田区大会で天麗は試合中に左膝前十字靭帯断裂の重傷を負う。レフェリーもスタッフも、そして控室にいた先輩レスラーも飛び出してくる緊急事態。しかし天麗は、後藤智香を振り切って初防衛に成功した。

「感覚的には一回靭帯を損傷したときと一緒だったんです、音も似ていて。あ、また靭帯やっちゃったかな、でも切れてはいないよな、という感じでした。それで試合に戻ったんですけど、アドレナリンと反骨精神でしたね。周囲の『ストップした方がいい』という声を聞こえたんですが、逆に最後までやってやろうと思って。リングに戻って立ち上がったときに膝が抜けちゃったので、体重をかけたら終わりだなと。最後は、右足と添えた左足で何とか立っていたという感じです」

 ここから天麗は5か月近い欠場期間に入る。

「本当、色々な気持ちがありました。試合を見ていると、悔しいという気持ちと早く戻りたいという気持ちもあって。でも4月に入ってからですかね、大田区総合体育館を夢に見るんですよ。入場ゲートを出た瞬間の光景を何度も夢に見ました。ケガをした瞬間ではなく、入場するときの夢です。この試合で自分はケガをするってわかっているわけじゃないですか。それで目が覚める……悪夢ですよね。この夢を見るまでは『痛い』が先行していたんですが、この夢を見始めてからは『怖い』という気持ちが大きくなりました。復帰を焦る気持ちと、もう1回ケガをしたらどうしようという恐怖感があったんでしょうね」

 このような状況だったため、王座を返上しないのかという声は少なからずあった。しかし天麗は天麗で、GHC女子王座への愛着を持っていた。ベルトと同じエメラルドグリーンとゴールドのエクステをつけ、私服でも緑を身に着けることも多かった。しかし復帰から9日後の6月2日、2回目の防衛戦で彩羽匠(マーベラス)に敗れ王座から陥落してしまう。

「もちろん、GHCを獲ってから意識して緑とゴールドを入れるようにしていました。特に防衛戦の前は絶対に。(彩羽は)いやあ、強かったですね。キャリア12年ですか、その重みを感じました。タッグも組んだことがありますし、対戦したこともあったんですが、ベルトが懸かった試合の彩羽さんはより強かったというか。全然違いました。(試合後のコメントで「欠場していなかったら勝てた」と発言したことに対して)負け惜しみでしかないですよ、本当。負け惜しみくらい、言わせてください……という感じでした」

(21日掲載の後編へ続く)

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