「部屋にワンプッシュで蚊がいなくなるみたいなスプレーしたら舌がレレレってなる人いませんか？」。そんな投稿がSNSで話題を集め、多くの共感や驚きの声が寄せられている。投稿者によると、症状は「パイナップルを食べたときのような舌のしびれ」に近く、10分ほどで自然に治まるという。一体なぜ、このような現象が起きるのか。メーカーにも取材した。

　この投稿には共感の声が相次ぎ、「なるなるなるなるなる！」「それは、その中の殺虫成分のアレルギーです！」「びっくり！　うちの息子（高二）がホント同じようなこと言ってて気のせいじゃない？　なんて言ってしまっていました」「それだけ効力がすごいですよね」などと多くの反響が寄せられた。

　使用していたのは、肌にかける虫よけスプレーではなく、部屋の空間に数回プッシュするタイプのもの。複数のメーカーの製品を昨年から使っているが、「どれも必ずレレレとなります」と話す。そのため、「誰かスプレーしたなと気付く時もあります」と明かし、本人にとってははっきりとした体感があるようだ。

　また、虫や爬虫類を飼っており、スプレー使用時には一緒に別室へ避難しているそうだが、「虫や爬虫類は案外大丈夫なようです。少しして部屋にもどしても異変はありません」とペットへの影響は少ない様子だった。

　では実際、このような体感はなぜ起きるのだろうか。蚊がいなくなるスプレーを販売する大日本除虫菊株式会社（KINCHO）に問い合わせた。

　ワンプッシュ型製品について「舌がレレレとなる」「しびれる」といった体感を訴える方が一定数いることについて、同社は以下のように説明する。

「スプレーを使用した際や、お肌に塗る虫よけスプレーと間違えてお肌に塗ってしまい刺激を感じられたといったお問合せをいただくことはあります」

　これらの症状は何が原因と考えられるのだろうか。アレルギー反応や過敏症などの可能性、そして一般的にどのような成分がそのような反応を引き起こす可能性があるのか、さらに舌がしびれるような症状が出た場合、継続使用しても問題はないのだろうか。この点について、同社は次のように見解を述べた。

「製品に使用されている『ピレスロイド』という有効成分を吸い込んでしまい、刺激を感じられたのだと考えられます。人間などの温血動物は万が一有効成分を吸い込み、体内に入ってしまっても、代謝する酵素をもっているため、体外に排出されます。舌に刺激を感じられた場合は、うがいをしていただき、様子を見ていただければと思います。使用の際は、使用上の注意をお読みいただき、お使いいただければと考えております」

　同社の公式サイトでは、使用時の注意として「皮膚や目にかからないように」と明記されている。この記載については以下のような説明があった。

「『皮膚や目にかからないように』という表記については、蚊がいなくなるスプレーは、お肌に塗る虫よけと間違えて使用されることがあったり、スプレーの先が上を向いているので、スプレーする際にノズルの向きに気を付けていただき目に入らないようにしていただきたいという意味合いでございます。当社の蚊がいなくなるスプレーは、プッシュしていただくと素早く有効成分がお部屋に広がり、壁や天井に付着する設計です。付着するため、いつまでも有効成分が空気中に漂うことがない、吸入リスクに配慮した設計にはなっていますが、体質によっては刺激を感じられることもあるかもしれません」

　蚊のシーズンが本格化するこれからの時期、ワンプッシュ型製品の購入者も増えると予想される。使用にあたって改めて気をつけるべき点はあるのだろうか。また、消費者からの声を製品改良や啓発活動に活かす取り組みについても尋ねた。

「この製品に限らず、弊社製品はどれも安全性に配慮して開発しています。製品の裏面に掲載しております、使用上の注意をよく読んでお使いいただきましたら、安全にご使用いただけるはずです。お客様相談室にお寄せいただいたお声につきましては、社内で共有しております。いただいたお声に耳を傾け、今後もみなさまに安全に製品をお使いいただけるよう、HP（ホームページ）等への記載も工夫していきたいと思っております」

　これからの季節、虫よけ製品を使う際は、体質による個人差や使用上の注意をあらためて意識しておきたい。