【あんぱん】中島歩、“トラウマだった”朝ドラに11年ぶり出演 苦い経験を糧に成長実感「本当に幸運」
俳優・中島歩が主人公・のぶ(今田美桜)と結婚した若松次郎を演じるNHK連続テレビ小説『あんぱん』(月~土曜午前8時)の取材会に参加し、出演が決まった際の心境や演じる役柄を知った際の感想、演じての思いなどを語った。作品は、漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さんをモデルに、苦難に面しても夢を忘れず荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでの愛と勇気の物語。俳優・今田美桜が主人公・若松のぶを、北村匠海が柳井嵩を演じる作品。

主人公・のぶの夫で船の機関士の若松次郎を熱演
俳優・中島歩が主人公・のぶ(今田美桜)と結婚した若松次郎を演じるNHK連続テレビ小説『あんぱん』(月~土曜午前8時)の取材会に参加し、出演が決まった際の心境や演じる役柄を知った際の感想、演じての思いなどを語った。作品は、漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さんをモデルに、苦難に面しても夢を忘れず荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでの愛と勇気の物語。俳優・今田美桜が主人公・若松のぶを、北村匠海が柳井嵩を演じる作品。
中島は2014年の『花子とアン』以来11年ぶりの朝ドラ出演。まずは出演が決まった際の心境を聞いた。
「うれしかったですよ。興奮しました」
次郎の役柄を知った際の感想はどうだったのか。
「難しい役だと思いました。ずっと作品を見てきた人は、これまでののぶと嵩を見守っているわけですから、いきなり見合いして結婚までするので嫌われちゃったら嫌だなと思いました」
次郎に魅力を感じるならどんなところだろう。戦争が終わったら好きな写真を撮りたいと夢を語るシーンがあったが……。
「僕自身に生きることは楽しむべきものというポリシーがあるせいか、次郎にもそんな考えがあるのかなと思いました。この時代を生きた人に対してこういうことを言いたいという現代を生きる人の感覚が、次郎に反映されていると感じました。それが結果として視聴者がのぶに対して思うことなのではないかと思います」
のぶの祖父・釜次を演じる吉田鋼太郎とは『花子とアン』以来の共演。吉田の印象はどうだろう。
「俳優として鋼太郎さんに認められたいという思いはちょっとあったかもしれません。それは『花子とアン』の時はまだ駆け出しで全然いい芝居ができなかったので。それに評判も悪かったので、それが今回トラウマになっているなと準備しながら分かりました。だからこそとても熱心に取り組めました」
前作のトラウマを糧に奮闘し、今作で成長を感じことはあるだろうか。
「朝ドラの何が難しいのか今回分かりましたね。15分の中でどんどん展開するし、のぶとは3回会っただけで結婚まで決まります。本当に心が通い合う瞬間がないと結婚に至る説得力ないなと。だからすごく難易度が高いと思いました。セリフも現代口語とは隔たりがあり、これは駆け出しには難しいし、今回は方言もありますから大変でした。さらに、撮影初日がプロポーズの返事をあらためて聞く、とても大事なシーンの撮影でした。結果として僕個人的にはとてもいいシーンになったと思います。今田さんの演じるのぶがすごく心を開いてくれたと感じたし、次郎も、というか僕自身も心が通った実感がありました」
他にも11年ぶりの朝ドラで何か感じたことはあるだろうか。
「すごくみんな見ているのがうれしい半面怖いなと思いました。Xのトレンドに入ったりとか、そんなに見ているのかと。影響力のデカさみたいなのは畏怖しています」
3回会っただけで結婚した次郎はのぶのどこに魅力を感じたと思うか。
「のぶが抱えている悩みを次郎に打ち明けた際、純粋すぎる故の悩みだと感じました。そんな清らかなところにひかれたと思いました。そのシーンを演じながら気付いたのですが、この人に傷ついてほしくない、何なら彼女を守ることは人間の良心を守ることじゃないか、とさえ思いました。守ってあげなければと。彼女が傷つくと僕も傷つくと思ったんです。僕は芝居をしながら自分を重ねていき、役を通して自分を表現するという感覚で取り組んでいます。戦争は自分の好きなこと、好きな人との関係をあっと言う間に破壊していくものだと演じながら気付きました。自分の身に降りかかったら本当に嫌。今、戦争だらけで新聞を読んでいるとすぐ、次郎とのぶの状況を想像できてしまいます。怖い。だからこそ、このストーリーを皆さまに届けるべきだと思いました」
視聴者に嫌われたら嫌、ネットの反応が怖いと言うが、視聴者の反応は紳士で誠実という高評価の声が多かった。
「うれしいし怖いし、アンビバレンスな気持ちです。のぶと次郎の関係は俳優間で本当に心が通い合わないと成立しませんが、視聴者の皆さまに受け入れてもらえたのであればよかったなと思います。頑張ろうとは始まる所から思っていましたが、結果的に思った以上にすごく頑張れました。脚本家・中園ミホさんの言葉に魂を宿らさなければという思いもあったし、前の朝ドラのこともあって頑張れました」
戦争の影が重くのしかかる作品。最後に次郎を演じた思いをあらためて聞いた。
「自分の仕事、生活は戦争でいとも簡単に崩れてしまうもろいものだと思いました。あとは朝ドラの影響力にあらためて驚いています。11年前に朝ドラに出演しましたが、その後は夢に見ていたようなキャリアにはなりませんでした。それでも幸運にもすばらしい作品、監督や舞台の演出家、先輩俳優に出会えました。そこで得た経験やいただいた言葉のおかげで今またこの大舞台に戻ってこられました。これまで出会った人たちに本当に感謝しています。これからも謙虚に取り組んでいかないといけないと思いました。11年前に簡単に認められていたらこんなに芝居の勉強や訓練をしなかったと思います。今、ようやく芝居が楽しいと感じられるようになりました。2度目の朝ドラで積み上げてきたものを表現できたことは本当に幸運だと思っています」
