テレビ番組や音楽イベントで500組を超えるアーティストと共演してきたお笑いコンビ・ニューヨーク（屋敷裕政、嶋佐和也）がMCを務めるNHK総合『ザ・グレイテスト・ヒッツ』（土曜午後11時30分）が、さまざまな世代に突き刺さる音楽、貴重な映像を届けている。ENCOUNTは収録スタジオでニューヨークを取材。2人はアーティストとの交流、実現を願う「夢の共演」などについて語った。（取材・文＝イシイヒデキ）

　屋敷と嶋佐の青春時代（1990年代後半～2000年代）は、音楽番組が人気だった。NHK『ポップジャム』（93年～2007年）、フジテレビ系『HEY！HEY！HEY！MUSIC CHAMP』（1994年～2012年）、TBS系『うたばん』（1996年～2010年）。バラエティー要素も入った番組が多く、2人はそれらを楽しんでいた。そして、長い時を経て音楽番組のMCを担当している今、特別な思いがあるという。

屋敷「昔から『やってみたい仕事はなんですか？』と聞かれると、『音楽番組ができたらいいな』と思っていました。僕たちが見ていた音楽番組とは、また違った雰囲気の番組ですが、15分で好き勝手に話すスタイルも相当楽しいです。長く続いてほしい番組です」

嶋佐「ずっと音楽が好きで、音楽番組もずっと見ていた世代なので、この番組ができてうれしく思っています。アーティストさんと話をさせてもらうゲスト回も楽しかったし、当時の映像やライブを見ることができるのも興味深いです」

　若手時代からメジャー・インディー問わず、さまざまなアーティストと共演し、現在も音楽関連のオファーが絶えないニューヨーク。実は、海外の大物アーティストとの意外な接点があった。

屋敷「デビュー2年目くらいから芸人とアーティストさんのライブを融合したイベントに呼んでもらって、音楽界隈の方との共演は多かったんです。今では（TBS系）『ラヴィット！』で歌わせてもらったり、自分たちのYouTubeチャンネルでバンドを組んだりしていますが、ありがたいことにたまたま音楽関連の仕事が増えていったと感じています」

嶋佐「西川貴教さんの『イナズマロックフェス』、昨年も高橋優さんが主催する『秋田CARAVAN MUSIC FES』、音楽フェスにも呼んでいただきました」

屋敷「番組で（世界的な女性R＆Bトリオ）キングさんとコンパしたこともありましたね」

嶋佐「KARAの知英（ジヨン）さんにインタビューさせてもらったことも思い出です」

　本番組では、NHKが過去に放送した『ポップジャム』『MUSIC JAPAN』などから、昭和・平成・令和のジャパニーズポップスを中心に珠玉のパフォーマンス映像を公開。ニューヨークは、学生時代に戻ったようにはしゃぎながら、飾らない言葉でアーティストの魅力を伝えている。2人が考える「この番組ならではの魅力とは」と聞いてみた。

屋敷「一番の強みは、膨大なアーカイブ映像が残っていること。当時の空気感が冷凍保存された状態で残っている感じがします。中森明菜さんや西城秀樹さんの映像は、見ているだけでゾクゾクしました。貴重な音楽の歴史を少しずつ解凍していくとんでもない番組です」

嶋佐「懐かしい映像を見ていると、あっという間に時が過ぎてしまう。もっと見ていたい気持ちにもなりますが、15分番組というのも魅力の一つなのかもしれません」

　自分たちがプロデュースしたい特集を聞くと、想定外の答えが返ってきた。

屋敷「ずっと好きだったゆずは見たいですし、GO！GO！7188や0930（おくさま）とか、僕らの世代に突き刺さる本当にピンポイントな特集もしたいです。攻めたもので言えば、スキャンダルを起こした人の特集とか（笑）」

嶋佐「僕はoasisに来てもらいたいですね。NHKさんですから、海外のアーティストは何も知らずに出演してくれそうじゃないですか」

屋敷「このままのスタイルでoasisが来てくれたらすごい。僕らが高校時代に好きだったミュージシャンの映像、GLAYとかの映像を見てもらって『どうでしたか？』と聞いてみたい」

嶋佐「エミネムやTWICEも好きなので出演してもらえたらうれしいな～。TWICEに日本のアイドルの映像を見てもらって、感想を聞くのもおもしろそうじゃないですか」

屋敷「hide特集、モー娘。特集を放送したら、ファンの方が本当に喜んでくださった。いろんなアーティストのファンに見ていただいて、この番組のファンにもなってもらいたい。ニューヨークの代表番組になったらうれしいです」

＜『ザ・グレイテスト・ヒッツ』　今後の放送予定＞
14日　中山美穂スペシャル
※NHKプラスで、同時配信・1週間の見逃し配信あり。

□ニューヨーク　2010年結成、NSC東京校15期生。ボケの嶋佐和也、ツッコミの屋敷裕政からなるお笑いコンビ。「M-1グランプリ」では、19年、20年にファイナリストとなり、20年の「キングオブコント」では準優勝。結成15周年イヤーの今年は8月15日の東京・IMM THEATER公演を皮切りに、コンビ結成から最大規模の単独ライブツアー「将来の夢」を開催する。