【プロレスこの一年 ♯9】クラッシュ・ギャルズで日本中が女子プロブームになった85年 馬場と猪木のトップ会談
藤波がマシンに「オマエは平田だろ!」
この年、男子プロレスは大仁田厚“初めての引退”で幕を開けた(全日本1・3後楽園)。全日本では、前年に全日マット上陸を果たした長州力率いるジャパンプロレス軍団との抗争が夢のカードを次々と実現させていく。2・1札幌でジャンボ鶴田&天龍源一郎組VS長州&谷津嘉章組がおこなわれると、2・5横浜では鶴竜コンビが長州&マサ斎藤とタッグ頂上決戦。札幌では2代目タイガーマスクが“虎ハンター”小林邦昭を迎え撃った。ジャパン2・21大阪城ホールではジャパンと全日の全面対抗戦が決行された。長州と天龍の初シングルは長州がリングアウト勝ち、鶴田は谷津をリングアウトで破り、ジャイアント馬場はキラー・カーンに反則勝ちをおさめる結果となった。
3月9日には、これまでの蔵前国技館に代わり両国国技館のプロレスこけら落とし。メインは鶴田&天龍組がザ・ロード・ウォリアーズの挑戦を退けたインターナショナルタッグ王座戦だった。が、それ以上のインパクトを残したのがトップ外国人のひとり、ブルーザー・ブロディの暴れっぷりだった。ブロディはキラー・ブルックスと組んで長州&谷津組と対戦。ブロディは長州の技をほとんど受けることなく一方的に攻め込んだのだ。これはいったいなにを意味していたのか…。
謎の暴走から12日後、ブロディはチェーンを手にしたスーツ姿で新日本の後楽園ホールに降臨した。ベートーヴェンの「運命」に乗せて姿を現わすとアントニオ猪木と視殺戦を展開。4月18日には新日本も両国に進出し、猪木VSブロディの初シングルが組まれたのである。試合は両者リングアウト、その後、この年には両者の一騎打ちが6度組まれることとなる。
超大物外国人を獲得した新日本だが、前年の大量離脱のダメージは大きく、8月にはスーパー・ストロング・マシン、ヒロ斉藤、高野俊二の3人がカルガリー・ハリケーンズを結成し新日本を離脱。その後、新日本は9・19東京体育館で猪木VS藤波辰巳を組み、これぞストロングスタイルという名勝負となったものの、選手不足による苦肉のマッチメークといのが実情だったのである。
新日本のトラブルは年末にも待っていた。猪木との一騎打ちが食傷気味となっていたブロディがジミー・スヌーカを連れてIWGPタッグリーグ戦、しかも優勝決定戦をボイコットしたのである。ブロディ組の対戦相手を決める猪木&坂口征二組VS藤波&木村健吾組が急きょ決勝戦に繰り上げられ、藤波が猪木へのドラゴンスープレックスホールドで師匠を初フォールし優勝。9・19につづき、新日本のピンチを救ったのはまたしても藤波だった。ちなみに、藤波がマシンに対して「オマエは平田だろ!」と名言(?)を残したのもこの年の出来事だった(5・17熊本)。