元手300万円→たった4年で1億円に ケタ外れのペースで“億り人”になった会社員を直撃 成功の秘けつは
食品や生活用品の値上げラッシュが続き、投資で少しでも家計の足しに……と考える人は多いだろう。そんな中、ケタ外れのペースで“億り人”になったのが、Xユーザーの会社員ココロ(@56cocoro3)さんだ。元手300万円からたった4年で、純金融資産が1億円を突破。いったいどんな手法を使ったのか。詳しい話を聞いた。

ネット騒然「一体どんなポートフォリオなんだ…」
食品や生活用品の値上げラッシュが続き、投資で少しでも家計の足しに……と考える人は多いだろう。そんな中、ケタ外れのペースで“億り人”になったのが、Xユーザーの会社員ココロ(@56cocoro3)さんだ。元手300万円からたった4年で、純金融資産が1億円を突破。いったいどんな手法を使ったのか。詳しい話を聞いた。
ココロさんが大台到達をXに報告したのは今年2月3日のことだった。
「今日ついに億り人
井村俊哉、片山晃、テスタさんなんかがYouTubeで賑やかし始めた頃…2021年に300万で投資を始めて3年10ヶ月後の今日、資産1億円になった
80万、120万の損切…令和のブラックマンデーなど平坦な道では無かったけど1つ共通して思ってた事が『株楽し過ぎる』だった」
昨年までの円安の影響で、ネット上では“億り人”になる投資家が珍しくない中、4年に満たないハイスピードでの到達は大きな話題に。「ひょえ~!!ペース早いなぁ」「300万から4年は凄すぎる」「一体どんなポートフォリオなんだ…」「誰かわからんけど壮絶な努力の結晶ですな!!!」「こういうツイートを見ると、がんばろうって思える」など多くの声が寄せられた。
FXはやったことがないというココロさん。投資を始めたのは2021年4月のことだった。
「現在の会社で仮に取締役になったとした時の、年収と年齢(何年かかるか)を考えまして、コスパが悪いなぁと思い始め、転職もチラホラ考えていた時、取引先のお客様で、ほぼお金から自由になっている方に出会い、その方が資産形成をしているのを聞いて『こんな生き方があるんだ』と衝撃を受け、僕も資産形成をしよう! と思い、始めた感じです」
用意できた自己資金は300万円だった。まだコロナ禍のまっただ中。世界経済の行方は出口が見えないほど不透明だった。
「アメリカのS&P500などのETF(上場投資信託)と日本のトヨタなどの大企業の株式、金、債券など、リスクをかなり分散したポートフォリオで運用していました」
投資について右も左も分からず、最初に心がけたのは、王道の分散投資。誰もが知る大企業の株式を購入するなど、いわば教科書のような投資から入った。
ターニングポイントになったのは、23年10月だった。会社員として働きつつも、投資についての勉強を続けていたココロさんは、日本株の中長期ファンダメンタルズ投資へと舵を切る。
「2023年10月にETFなどの指数への投資をやめ、ファンダメンタルズ投資へ完全移行したことが、大きく利益を短期間で伸ばせていけた決断だったと思います」
市場の指数を基にする投資信託から、個別銘柄を分析して買っていく手法に変更したことから、資産が増えたというわけだ。

利益を大きく後押しした2銘柄 空売り体験で損失も
参考にしたのはYouTubeだった。日本人の経済アナリストが出演する番組を横断的に視聴。さらに“投資の神様”ウォーレン・バフェットや著名投資家ハワード・マークスの考え方を研究し、自らの投資手段へと落とし込んでいった。
「ETFへ投資していた頃、よく学んだマクロ経済の情報を強く意識していました。特に政策金利と市場金利を常に見て、雇用の強さ、インフレ、デフレの方向性、それによって恩恵を受けるセクター……などなどマクロがどっちに行くかその方向性を自分で判断して、その流れに沿うことと、現在の経済や商品のトレンドをミックスさせて銘柄を判断し、集中投資を行い、3か月ごとの決算で、自分の想像していた業績予想にオントラックか答え合わせをして、継続投資か利益確定かなどを判断するといった流れです」
成功の一例を挙げてもらうと、「初めてプランがうまくいったのは雪印メグミルクです。東証における『PBR(株価純資産倍率)1倍割れ是正』的なテーマがある中、1、仕入れ原材料の価格の動き 2、値上げのタイミング などを徹底的に調べて、業績があまりに悪くなる確率が低く、PBR1倍割れの是正に対して、自社株買いや、増配をしてくる可能性のアップサイドがあればリスクを少なくして利益を取れると思い、投資をしていました。まだ資金が大きくない時期ですので、ある程度、信用で買い、2024年3月に増配の開示を出してきたので、そこで利益確定を入れました。(利益の)金額はちょっとおぼろげながらですが、300~500万のレンジだったと思います」。
さらに、1億円へ大きなはずみがついた銘柄があった。
「1億へ大きく近づいた銘柄は、住信SBIネット銀行です。これは、投資スタート時のETFや投資信託への分散投資をやめ、23年10月頃に、ファンダメンタルズ投資へ切り替えた時から現在のTOB(NTTドコモによる公開買い付け)まで約1年半ずっとやっていたアイデアです。投資した動機はDXがかなり叫ばれてて、SaaS(サース=クラウドサービスの一種)銘柄が盛り上がっている時、『DXがよく使われるということは、人手が足りない証拠で、社員の取り合いが起こるなら、賃金は上がっていきそう』と考え、賃金と物価の上昇が高い角度で進んでいくのなら、日銀による政策金利上昇局面は良い感じで実行していくと判断し、短期金利上昇が企業利益に1番大きく寄与してくる、住宅ローンをたくさん持った会社であったことと、BaaS(バース=銀行機能を他企業に提供すること)によって、預金の増加も力強く積み上げていけるのではないかとの考えにより、投資に至りました。これは本当の話ですが、自分が住信SBIネット銀行へ投資し始めた後に、五月さん(片山氏のペンネーム)が買っていたことに気づき、あの人と同じ銘柄を自分は選べたんだ! とスゴくうれしかったのをめっちゃ覚えています」
年間の運用利回りは、23年の14.37%から24年には94.36%と激増。住信SBIネット銀行のTOBとなった25年5月末時点での運用利回りは、なんと145.05%で、資産を大幅に増やすことに成功する。
新たな投資スタイルに転換する過程では、失敗も経験した。
「2023年にファンダへ切り替えた時、空売りを経験しようと考え、さくらインターネットが政府クラウドの候補になるというニュースが流れ、その日大きく株価が上がりました。僕は『候補になっただけで、採用ではないので、明日は下がるだろう』と判断し、空売りを1000株くらいしました、その翌日もその次の日も大きく株価は上がり、100万円以上の損切りをしました。その頃はまだそんなに資産が大きくなかったので、かなりメンタルが悪化したのを覚えています。『国策に売りなし』みたいな言葉を全く知らなかったり、空売りする動機に核たるものがなかったり、いろいろやってはいけないことを学びました」
100万円単位の損切りは精神的にもこたえるものだ。ココロさんは強い気持ちを持って、現実に向き合った。
目標は資産15億円、次なる一手とトランプ相場の闘い方
夢の1億円に到達して、どのような気持ちなのだろうか。
驚いたのは、ココロさんに浮かれる様子が一切ないことだ。
「気持ちは複雑です。Xでつぶやいて、『1億ってこんなに皆さんから注目をいただけるものなんだ!』とびっくりする気持ちもあり、当然1つの節目として含み益の多かった2月より利益確定の現在のほうがうれしい気持ちもあります」。見える景色の変化についても、「何も変わってないと思います。複利の力を味方につけて規模の世界であるマーケットで少しアドバンテージができた、というくらいです」と、謙虚に受け止めた。
資産が増えても、派手な使い方をするわけでもない。「僕に関わってくれている人や親へおいしいご飯をごちそうすることくらいです(笑)。ただただマーケットで投資をすることが楽しくてしょうがないので、目標へ向かって、資産としてお金を使うと思います! 300万から1億(33倍)にできたことが経験になっているので、今度は1億を15億へ(15倍)できる可能性があることにワクワクしています」。次なる資産15億円の目標へ、「まだまだ道のりは長いなぁと考えている次第です」と、手綱を引き締めた。
現在、市場はトランプ相場の影響を受け、不安定な状況となっている。
ココロさんはどう闘っているのだろうか。
「まず、関税が世界経済に与える影響が見通せていなかったので、500万円くらいの損切りをすることとなりました。その後、今自分の持っている銘柄に対して、どのくらいの影響が出るかを考えました。考えた銘柄選びのポイントは1、国内の内需または内需中心であること 2、ドル円の影響を受けにくいこと 3、製品の構成部品や素材に海外からの輸入品をあまり使ってないこと、などです。そういった銘柄であれば下値は限定的と判断して投資を行い、今に至ります」
各国との関税交渉はこれからが大詰め。EUや中国との交渉が決裂すれば、世界経済への打撃は必至だ。しかし、どのような局面でも、もうけを出している投資家は存在する。会社員と投資を両立しながら4年という短期間で結果を出したココロさんの言葉は、参考になりそうだ。
