主演・堤真一で“大阪80年”の戦後史を描く 万博開催で注目の地が舞台のNHKドラマ
俳優の堤真一が主演を務めるNHKスペシャルドラマ『大阪激流伝』が8月下旬に放送されることが31日に発表された。

かつての砲兵工廠跡地から立ち上がる“大阪人のしたたかさ”をドキュメンタリードラマ化
俳優の堤真一が主演を務めるNHKスペシャルドラマ『大阪激流伝』が8月下旬に放送されることが31日に発表された。
万博の開催で注目を集める大阪を舞台に描かれる本作は、戦後の復興と変容を続けてきた大阪の80年を、親子3代にわたる町工場一家の姿を通して描く。舞台となるのは、かつて「陸軍大阪砲兵工廠」が存在した大阪城公園周辺の一帯。東洋随一と称された軍事工場は、太平洋戦争終戦直前に米軍の空襲で壊滅したが、そこで働いていた工員や町工場の人々が戦後の復興を支えた。
ドラマは、その跡地の戦後史を軸に、戦中に砲兵工廠で働いていたある町工場の一家の軌跡を綿密な取材をもとに描く。タフでバイタリティーにあふれる大阪の人々の実像をドキュメント要素も交えて描写。在日コリアンをはじめ、多様な背景や価値観が交差する中で形成されてきた大阪の“熱気”と“したたかさ”を浮かび上がらせる。
堤が演じるのは、金属加工の技術を砲兵工廠で培った田口留蔵。戦後、息子3人のうち2人を戦地で、1人を空襲で失った留蔵は、妻とともに町工場「田口鐵工所」を立ち上げる。やがて復員した次男・雅征が跡を継ぎ、朝鮮戦争の兵器製造という葛藤を抱える。そして時代は進み、大阪万博を目前に控えた1969年、雅征の娘・ミチコが大学の仲間と戦争と平和の矛盾に向き合う姿を描く。親子三代にわたるファミリーヒストリーを通して、破壊と再生を繰り返してきた大阪の姿を追う。
演出・脚本を手がけたのは、NHKの『新日本風土記』や『大江戸炎上』などでギャラクシー賞、ATP賞を受賞してきた佐野達也氏。全キャストが関西出身者であることも本作の特徴で、「エセ大阪弁に厳しい大阪人を、きっと唸らせるはず」と佐野氏は語る。
また、本作では「大阪城」が語り部として登場するという異色の演出手法も採用。語り部の声に込める“気風”を模索する中で、佐野が町工場の取材時に出会った男性の言葉がヒントとなったという。
本作はNHKスペシャルとして、2025年8月下旬に1話完結で放送予定となる。
