「しんどい」「頭を抱えた」 人気漫画の“鬱すぎる”最終回とは
漫画のストーリーを締めくくるために描かれる最終回。作品によって描かれ方はさまざまだが、なかには読んだことを後悔するような“鬱すぎる”最終回を迎えた漫画も存在する。

目を背けたくなるような非業の死を遂げるヒロインたち
漫画のストーリーを締めくくるために描かれる最終回。作品によって描かれ方はさまざまだが、なかには読んだことを後悔するような“鬱すぎる”最終回を迎えた漫画も存在する。
そんな鬱すぎる最終回を迎えた漫画のなかで、とくに有名なのが『週刊少年マガジン』(講談社)で1972年から連載開始された『デビルマン』(作:永井豪)だろう。
懐かしのテレビアニメとしても人気の同作は、200万年の眠りから目覚めた地球の先住人類「デーモン」から人類を守るために、主人公・不動明がデーモンのひとり・アモンと合体しデビルマンとなって戦う物語だ。
終盤では、高名な学者・雷沼教授によって「悪魔の正体は現代生活に不満を持った人間だった」という誤った見解が発表され、政府による「悪魔狩り」として無関係な人々の殺戮が始まってしまう。
さらに、明がデビルマンになる瞬間の映像が公開されたことで、明が居候していた牧村家の人々にも魔の手が迫ることに。牧村夫妻は拷問を受けて死亡し、ヒロインで牧村夫妻の娘の美樹とその弟の健作も、暴徒の手によって四肢をバラバラにされ、惨たらしい死を迎えるのだった。
愛する家族を、今まで必死に守ってきた人間たちの手によって奪われた明は、人間のためではなくデーモンへの復讐のためだけに最終決戦に臨む。最後にはデーモン軍団も人間もいなくなった静かな世界で、デビルマンの宿敵でもあるサタンと、戦いにより下半身を失って死んだ明のみが残っていた。そこにかつて人類を生み出しデーモンを滅ぼそうとした神の軍団が現れるところで物語は終わる。
幼いころに初めてこの最終回を読んだ筆者は、虐殺描写があまりに残酷で震えあがり、その日の夜はトイレにひとりで行けないほどに恐怖したが、大人になった今では、悲しくも壮大な物語としてこの最終回を評価している。
『デビルマン』と同様に多くの人が死んでいく最終回の漫画といえば、『月刊アフタヌーン』(講談社)で97年から連載開始されていた『なるたる』(作:鬼頭莫宏)も忘れられない。
同作は「竜の子」という超常的を持つ謎の生物と、「竜の子」を操作できる精神的なつながりを持った少年少女・リンク者たちの戦いを主軸に描かれた物語だ。物語の途中でも陰湿なイジメ描写や、主要メンバーが虐殺される描写など、読んでいて胸が締め付けられるようなシーンが多く描かれている。
最終回では、主人公の玉依シイナをはじめとするリンク者や関係者がニュース番組にて実名で報道されてしまう。この報道によって今まで「竜の子」が起こした事件や被害から恨みを持つ人たちが動き出し、シイナの母やリンク者である佐倉明、鶴丸丈夫などが次々に殺されていくのだ。
その後、大切な人をすべて失ったシイナの絶望に呼応するように、シイナと同じく地球そのものを「竜の子」としてリンクしている涅見子が、人類を滅亡させるのだった。
最後にはシイナと涅だけが地球に残り、新しく世界を作り直し始めるシーンが描かれ物語は終焉を迎える。この最終回にSNS上では「読んだ後の虚無感が半端じゃない」「普通に病む。最終回で頭を抱えた漫画」など、まるで恐怖体験のように感想を語る読者の声があがっている。
その他、『週刊ヤングサンデー』(小学館)で2007年から連載開始された『おやすみプンプン』(作:浅野いにお)は最終回直前からの鬱展開が話題になった作品といえるだろう。
同作は小学5年生だった主人公・プン山プンプンが大人になるまでの半生を描いた物語。全13巻まで発売されているコミックスの中でも、とくに第10巻で初恋の人・田中愛子と再会してからの急展開は衝撃的だ。
コミックス第11巻の113話では、愛子の母にプンプンと愛子が2人で暮らす許可を得ようと説明に行った際、激昂して包丁を持って襲い掛かる愛子の母を、抵抗のはずみから2人で殺してしまう。その後プンプンと愛子は愛子の母の遺体を山に埋め、逃避行を始める。
そしてコミックス第13巻の139話では、愛子の母の遺体が警察に発見されたことから、逃げ場がないことを悟った愛子は自殺してしまうのだった。さらに、141話では、プンプンが絶望の果てに、小学生のころ愛子と満点の星空を見た廃工場で自殺を図るのだ。
最終回では、自殺が未遂に終わり一命を取り留めたプンプンが、プンプンの理解者であり漫画家の南条幸をはじめとする周りの人に助けられて日常に戻っていく様子が描かれている。
SNS上では同作の読者から「途中から最後までめちゃ鬱でしんどい」「怒涛の展開に涙出っぱなしで心がしんどい」などの声があがっており、落ち込んでいる人が同作を読んだら立ち直れなくなりそうな威力を秘めていることが分かる。
上記3作品は最終回までのストーリーも秀逸で名作漫画ばかりだ。読んだことがない人は、ぜひ読んでほしい。ただ、くれぐれも落ち込んでいるときには読まないように注意が必要だろう。
