キタニタツヤ、綾野剛主演映画で主題歌担当 書き下ろした新曲「なくしもの」を提供

シンガー・ソングライターのキタニタツヤが、俳優の綾野剛が主演を務める映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』(6月27日公開)の主題歌を担当することが、27日に発表された。併せて最新予告映像も公開された。

主題歌を担当するキタニタツヤ【写真:(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会】
主題歌を担当するキタニタツヤ【写真:(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会】

“真実を疑う物語”を彩る切なく力強い歌声が映像と重なる

 シンガー・ソングライターのキタニタツヤが、俳優の綾野剛が主演を務める映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』(6月27日公開)の主題歌を担当することが、27日に発表された。併せて最新予告映像も公開された。

 同作は、第6回新潮ドキュメント賞受賞、福田ますみ氏のルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(新潮文庫刊)を映画化。20年前、日本で初めて教師による児童への虐めが認定された体罰事件。報道をきっかけに、担当教輸は『史上最悪の殺人教師』と呼ばれ、停職処分になる。児童側を擁護する550人の大弁護団が結成され、民事裁判へと発展。しかし、法廷は担当教諭の完全否認から幕を開けるのであった。主人公の薮下誠一を演じるのは綾野、監督は三池崇史氏が務める。

 キタニは、TVアニメ『呪術廻戦』「懐玉・玉折」のオープニングテーマ「青のすみか」でデジタルチャート23冠を達成。配信から約3か月でストリーミング1億回再生を突破し、SUPER EIGHTやLiSAへの楽曲提供なども行うなど、音楽シーンを象徴する存在として注目を集めている。

 そんなキタニが書き下ろした「なくしもの」は、“何を失くしたのかさえもわからなくて けれど大事にしてたことは憶えていて”という歌詞に表されるように、追い詰められた中でもかすかな希望を手繰り寄せる心情を丁寧に描き、物語に静かに寄り添う。キタニは、「他者に奪われ壊され摩耗した人間が、全てを取り戻せないことを知っていてなお、再び他者を信じ手をとって立ち上がる。そういう強さは美しいなとこの作品を観て感じ、それを詞とメロディに込めました」と思いを告白。

 綾野も、「キタニさんがこの作品にとても誠実に向き合ってくれて、(この楽曲は)“最後の最大の共演者”だなと思いました。歌詞がいい意味で散らばっていて、必死に手繰り寄せている感じがしました。それは、薮下や律子さん、あの世界を生きている人たち全員共通することなのかもしれないと。とても深い部分で音楽を感じられて、本当に感謝しています」と賛辞。また柴咲コウは、「人間のモヤモヤしている部分を彷彿とさせられました。映画と同化していて、締めくくりに相応しい楽曲だと思いました」とコメントした。

 主題歌とあわせて最新予告映像も解禁された。今回の映像では、教え子・氷室拓翔(三浦綺羅)に“体罰”をしたとして告発された薮下誠一(綾野)が追い詰められていく姿が、より切実に、より濃密に描かれている。拓翔のランドセルを乱暴に投げつける薮下、涙をためながらケガをした拓翔に寄り添う律子(柴咲)、薮下に謝罪を強制する校長・段田重春(光石研)と教頭・都築敏明(大倉孝二)、薮下の元へ取材に訪れる鳴海三千彦(亀梨和也)などが登場する。

 実名報道をきっかけにメディアの過激さが増す中、薮下は「私は体罰をしていません」と無実を訴え、律子は「傷ついている息子が、苦しみから解放されることを切に願っています」と語る。両者の弁護士として登場する大和紀夫(北村一輝)と湯上谷年雄(小林薫)も加わり、息つく間もなくストーリーが展開されていく。

 キタニの力強くも澄んだ歌声が映像全体に重なり、喪失感のなかでも生きる意味を探す歌詞のメッセージが、薮下の“孤独”に寄り添う。儚く切ないメロディを背景に、鳴海の「私が記事を書かなければ、あの人たちを救うことはできない」という言葉が響き、「いつか生きててよかったと思えるでしょうか」という歌詞とともに画面は暗転。最後に「なぜ、それを信じますか?」という問いが表示され、「これは真実を疑う物語」という映像冒頭の言葉と呼応する構成となっている。

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