33歳・韓国人アーテイストが経験した日本人との国境を越えた友情「気づいたら、兄弟みたいな感じでした」

一発勝負の歌謡ショー番組『ミスタートロット ジャパン』で準優勝した韓国人アーティストで33歳のJOONHO(ジュノ)が今月6日、単独ライブを東京・上野恩賜公園で開催した。同番組は、韓国で大人気になった歌謡オーディションの日本版。韓国で演歌や懐かしの歌謡曲にあたる『トロット』の歌い手NO.1を決めるもので、国内外から選ばれた74人の男性ボーカリストが競った結果、17歳の高校生・島憂樹が初代Mr.TROTに決まった。ジュノは惜しくも栄冠を逃したが、番組を通して国境を越えた友情を築いていた。同オーディションがもたらしたものとは。ジュノに話を聞いた。

『ミスタートロット ジャパン』で準優勝したJOONHO【写真:ENCOUNT編集部】
『ミスタートロット ジャパン』で準優勝したJOONHO【写真:ENCOUNT編集部】

ミスタートロットジャパンで準優勝のJOONHO

 一発勝負の歌謡ショー番組『ミスタートロット ジャパン』で準優勝した韓国人アーティストで33歳のJOONHO(ジュノ)が今月6日、単独ライブを東京・上野恩賜公園で開催した。同番組は、韓国で大人気になった歌謡オーディションの日本版。韓国で演歌や懐かしの歌謡曲にあたる『トロット』の歌い手NO.1を決めるもので、国内外から選ばれた74人の男性ボーカリストが競った結果、17歳の高校生・島憂樹が初代Mr.TROTに決まった。ジュノは惜しくも栄冠を逃したが、番組を通して国境を越えた友情を築いていた。同オーディションがもたらしたものとは。ジュノに話を聞いた。(取材・構成=コティマム)

 ライバルでもありながら、チームメイト、仲間でもあった出場者たち。ジュノにとっては「新たな挑戦」だった。2014年、日韓合同の5人組ボーイズグループ・BEE SHUFFLE(ビーシャッフル)としてメジャーデビューしたものの、グループは17年に活動休止。メンバーのGYUMIN(ギュミン)とのユニット・JG(ジェイジー)を結成したが、23年にGYUMINがプロゴルファーの道に進んだことで、ジュノはソロ活動を始めた。3度の日本デビューを経験し、新たな道を模索するために選んだ『ミスタートロットジャパン』。ジュノは準優勝で終えた。

 同番組が終了した後では、初めてのライブ。ジュノは、『GROW OVER』『マイプリンセス』やオーディションで歌唱したMISIAの『アイノカタチ』、小田和正の『たしかなこと』、決勝で披露したDREAMS COME TRUEの『未来予想図II』など全14曲を披露した。会場には、長年のファンの他、オーディションに出場したプロ歌手のしいたか。や、ジュノとデュエット対決でペアを組んだ高校生・高野航大、ファイナリストメンバーの牛島隆太らも駆けつけた。

初めてのライブを開催したJOONHO【写真:ENCOUNT編集部】
初めてのライブを開催したJOONHO【写真:ENCOUNT編集部】

10時間練習で足の皮もむけ…チーム戦の舞台裏

 ジュノは、『ミスタートロットジャパン』では「不思議な安定感があった」と明かした。

「最初の書類や動画審査の時から、『俺、準備できているかも』という状態でした。いつもだったら『いけるかな……』と不安になるけど、今回だけは不思議な気持ちで。車の中でマネジャーさんに『うれしい想像をしてみましょう。ここから上がっていって、決勝まで行けたら最高ですよね』と話していました。本当にその通りになって、準優勝という当初の目標を上回る結果でした。決勝で『未来予想図II』を歌いましたが、ちゃんと自分の『未来予想図』が描くことができて、胸がいっぱいです」

 番組では、韓国人メンバーと日本のお笑い芸人・コタローと中田成がチームを組み、協力する場面もあった。

「本選で初めてチームで戦うことになって、オールハート(審査員からの満点)をもらえなかったら、チームの中の誰かしか残れないという残酷なルールでした。みんなで合格するためにオールハートしか狙っていなかったので、本当に心がひとつになりましたね。1日に長い時で10時間ぐらい練習しました。足に豆ができたり、足の皮がむけたり……。ひざが真っ赤になるくらい」

 その上で「日本と韓国で海を挟んで距離はありましたが、心は一つ。グループLINEを作って練習具合を報告したり、意見交換したり」と明かし、「芸人の成ちゃん(中田)とコタローちゃんはダンス経験がなかったので大変で、本当にすごく頑張ってくれました」と感謝した。

 準決勝では、高校生の高野とデュエット対決でペアに。高野の実家にジュノが滞在してともに時間を過ごすなど、交流を深めた。

「朝、日が昇る前に一緒にランニングや発声をして、朝ごはんも食べて。そこからスタジオに移動して練習しました。(韓国と日本で離れているので)会えない間もとにかくLINEでやり取りして、選曲のアイデアも出し合いました」

決勝戦に挑んだJOONHO【写真:ENCOUNT編集部】
決勝戦に挑んだJOONHO【写真:ENCOUNT編集部】

15歳差、ライバル関係でも縮まった「距離」

 ジュノと高野の歳の差は15歳。国籍も世代も違うが、ライバルでもある2人の距離は練習を通じて縮まったという。

「仲良くなった後に航大君が、『自分は心の扉を開くまでに時間がかかるタイプだ』と明かしてくれました。実は僕は最初からそう感じていたので、『まずはこの子の心の扉を開くぞ』と思って話しかけて、ご飯に誘いました。韓国料理が好きと聞いたので、渋谷の韓国料理店に2人で行って、いろんな話をしました。どういう歌が好きか、どんな歌手になりたいのか。意見交換じゃないけど、話しながらどんどん近くなりましたね。気づいたら本当にめっちゃ仲良くなって、兄弟みたいな感じでした」

 また、「決勝メンバーの牛島君とは一緒にご飯も行きましたし、決勝に進んだ4人からは本当に刺激をもらいました」と振り返り、ライバルたちを称えた。

「特に優勝した島くんは、17歳であの表現力。天才だなって。自分が同じ年齢の時に、あれほど歌えなかったなって。これから年を重ねたらとんでもないシンガーになる。未来が楽しみです」

 初代Mr.TROTを目指して競った仲間たち。ジュノは「出場したみんな、背景が違うんですね」と実感を込めた。

「『歌手になりたい』と思っている学生さんや社会人の方、デビューしたけどうまくいかなくて、もう1回挑戦する人。僕みたいに『もっと、たくさんの人たちに歌声を届けたい』と思う人。いろんな“気持ち”と“気持ち”、感情がぶつかる場でした」

 そして、清々しい表情で言った。

「最終的に『誰の気持ちが一番強かったの?』というと、みんな思いが強いから、その正解は出ていないけど、それぞれの気持ちがあって、その“頑張っている人間の姿”や努力は、見ている方にも熱い何かを与えると思いましたね。本当に熱いドラマがありました」

※高野航大の「高」の正式名称ははしごだか

□JOONHO(ジュノ) 1992年2月8日、韓国生まれ。2013年、DATVと韓国MBC MUSICが共同制作したアイドル発掘番組『シャッフルオーディション』に参加。日韓5人組ボーイズグループ・BEE SHUFFLEのメンバーとして、14年にメジャーデビュー。17年からメインボーカル同士だったGYUMIN とともにユニット・JG(ジェイジー/JOONHO& GYUMIN)を結成。23年8月からソロ活動を開始した。

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