フジ第三者委、中居氏側の「性暴力は認められなかった」に反論「同意ない性的行為が定義」「事実認定は適切」
フジテレビ(CX)と親会社フジ・メディア・ホールディングス(FMH)が設置した第三者委員会(以下、第三者委)の竹内朗委員長らは22日、「性暴力は認められなかった」などと反論していた元タレントの中居正広氏の代理人弁護士に対する回答文書を公表した。性暴力の認定は客観的な規範に基づくとし、「中立性・公正性・公平性に欠ける部分はなかった」などと説明している。

竹内朗委員長らが回答文書を公表
フジテレビ(CX)と親会社フジ・メディア・ホールディングス(FMH)が設置した第三者委員会(以下、第三者委)の竹内朗委員長らは22日、「性暴力は認められなかった」などと反論していた元タレントの中居正広氏の代理人弁護士に対する回答文書を公表した。性暴力の認定は客観的な規範に基づくとし、「中立性・公正性・公平性に欠ける部分はなかった」などと説明している。
既に解散している第三者委員会が、竹内委員長、五味祐子委員、山口利昭委員の連名で中居氏側の反論に回答した。
中居氏側が求めてきた調査報告書に関わる証拠などの開示の請求について、「当委員会はFMH及びCXに対して守秘義務を負っていること」を理由に「開示を差し控えます」とし、事実認定が適切だったとする前提と理由を示した。
前提は「調査報告書(公表版)26-27頁に記載したとおり、本事案そのものについては、女性A及び中居氏は双方に対して守秘義務があることから当委員会は中居氏及び女性Aからヒアリングを行うことができなかったため、具体的な行為態様については明らかでない部分がありました」で、判断材料も挙げた。
・(当委員会は)守秘義務を負う前の女性AのCX関係者への被害申告(本事案における具体性のある行為態様が含まれる)
・女性Aに生じた心身の症状(本事案直後から重篤な症状が発生して入院に至り、PTSD と診断された)
・本事案前後の女性Aと中居氏とのショートメールでのやりとり(本事案における具体性のある行為態様及び女性Aの認識が含まれる。なお、中居氏は、女性Aとのショートメールでのやりとりは削除済みと述べた)
・CX関係者間の報告内容、関係者のヒアリング、客観資料、CX関係者からの被害申告に関するヒアリング結果、両者の守秘義務解除要請に対する態度(女性Aは当委員会に対する全面的な守秘義務解除に同意したが、中居氏は守秘義務の解除に応じなかった)
そして、「伝聞証拠に基づいて間接事実を積み上げて事実認定することは、調査実務において一般的なことであり、事実認定は適切であった」としている。
第三者委が3月31日に公表した調査報告書は、2023年6月2日に元フジアナウンサーの女性Aが、業務の延長線上で中居氏から「性暴力」を受けたと認定した。性暴力は「強制力を用いたあらゆる性的な行為」などを指し、「強制力とは有形力に限らず、心理的な威圧や脅しが含まれ、かつその程度は問題にならない」とする世界保健機関(WHO)の定義などを根拠とした。
これに対し、中居氏の代理人は今月12日付の文書で、中居氏への聞き取りなどの結果として、「『性暴力』という日本語から一般的に想起される暴力的または強制的な性的行為の実態は確認されなかった」などと反論。第三者委の調査報告書について「中立性・公正性に欠け、一個人の名誉・社会的地位を著しく損ない、極めて大きな問題がある」と指摘。また、守秘義務の解除についても「提案していた」とし、「本調査報告書には、守秘義務にこだわらずに約6時間にわたり誠実に回答した中居氏の発言がほとんど反映されていません」としていた。
第三者委の回答文書でも、「当委員会が、2025年1月31日に中居氏代理人と面談した際、中居氏代理人がヒアリングへの協力と守秘義務の解除について前向きな姿勢を示したこと、当委員会から中居氏代理人に対し、『第三者委員会は、2人の密室で何が行われたかが直接の調査対象ではなく、その前足と後足が大事と考えております』と説明し、その旨のメールを送信したことは事実であります」と認めている。
一方で、「『2月21日に中居氏代理人から当委員会に対し、先方との守秘義務は解除せず、存続を前提としてお願いします』との最終回答がありました」と説明。調査報告書には、性暴力を「同意のない性的な行為」とする内閣府男女共同参画局の定義なども併記しているとし、「『性暴力』という言葉の意味合いについては、十分な説明を尽くしたと考えている」と反論した。中居氏側の反論について「主観的な印象に基づいて述べられている」とも指摘している。
