島村龍乃介、22歳で初の医師&父親役に挑戦 演技を通して実感する「自分の可能性」の広がり

俳優の島村龍乃介が4月26日から配信スタートしたGOKKOオリジナルシリーズ『春を愛した、春との恋。』で主演を務めている。縦型ショートドラマアプリ「POPCORN」などで配信中の同作は、ショートドラマという限られた時間の中で高校生から大人になるまでの甘くせつないラブストーリーを描いている。22歳の島村にとって初めてづくしとなった同作。どのような感情で撮影に臨んだのだろうか。

『春を愛した、春との恋。』で主演を務めた島村龍乃介【写真:冨田味我】
『春を愛した、春との恋。』で主演を務めた島村龍乃介【写真:冨田味我】

初の父親役で13歳離れた弟への感情を重ねる「当時の記憶をよみがえらせました」

 俳優の島村龍乃介が4月26日から配信スタートしたGOKKOオリジナルシリーズ『春を愛した、春との恋。』で主演を務めている。縦型ショートドラマアプリ「POPCORN」などで配信中の同作は、ショートドラマという限られた時間の中で高校生から大人になるまでの甘くせつないラブストーリーを描いている。22歳の島村にとって初めてづくしとなった同作。どのような感情で撮影に臨んだのだろうか。(取材・文=中村彰洋)

 同作は高校時代の青春、さらには成長した2人が再会してからの日々を描いたつらくせつないラブストーリー。同作で島村は18歳の高校生、26歳の医師、さらには31歳の父親と幅広い役柄を演じた。

「ショートドラマなので、展開がとても早くて驚きました。演じている時も『今どの感情だっけ?』と迷子になることもありました。高校生の甘々な恋愛からスタートしますが、話が進むにつれて心にズキッとくる場面もあって、人生そのものを描いている作品なので、『僕にできるのかな?』と不安な気持ちもありました」

 撮影期間はわずか数日。限られた時間での濃密な日々となったが「正直、大変でした」と本音を口にする。

「普段は台本を覚える時にまず役を作ってから入るのですが、今回は感情も年齢もとにかく変化するので、覚えるのも大変でした。毎日撮影が終わって、帰宅したら疲れて寝落ちしていたくらいです(笑)」

 前半は見ている側が恥ずかしくなるほどのラブラブなシーンの数々。「高校生ってこんな感じだったな」と数年前を思い出しながら演じたという。また、後半では26歳に成長し、社会人となった姿も演じた。これまで学生を演じることが多かった島村にとって、医師役は初挑戦だった。

「今まで医療ドラマを見ていて『やってみたい』と思っていましたが、いざやってみたら、本当に難しかったです。聴診器の当て方さえも、『この向きで合ってるのかな』と悩みました。『こんな難しいのか』と改めて実感しました」

 ラストでは、父としてのシーンも演じた。もちろん父親役も初挑戦。「どうやって感情移入しようかと悩みましたが、僕には13歳離れた弟がいて、赤ちゃんの頃から面倒を見ていたので、当時の記憶をよみがえらせました」と過去を重ねたようだ。

 2019年に俳優デビューしてから約7年。「着実に進むことができています」と成長を実感している。

「役者を始めた頃は、自分に期待もしていなかったですし、『こうなりたい』という理想すらも描くことができていませんでした。それが今では、いろんな作品に出演させていただき、思っていた以上にお仕事をいただけていて本当にありがたいです」

やってみたい役は「殺人鬼」とも明かした島村龍乃介【写真:冨田味我】
やってみたい役は「殺人鬼」とも明かした島村龍乃介【写真:冨田味我】

憧れの藤原竜也にも対面「本当に感動」

 中でも印象に残っている作品が2つあるという。1つは“座長”を務めた舞台『弱虫ペダル』シリーズ(22~24年)だ。「キャスト・スタッフの皆さんに支えていただきながら、紆余曲折ありながらも最後まで走り切ることができて、とても達成感を得ることができました。最後のカーテンコールでお客さんから生の拍手をいただけたことが本当にうれしかったです」。

 そしてもう1つが24年に出演したフジテレビ系『アンメット ある脳外科医の日記』。「これまで以上に皆さんからたくさんの感想をいただけて、『この役を僕がやってよかったんだ』と自信につながりました。そういった反応を今後もいただけるように頑張っていかないといけないなと感じましたし、それが役者という仕事の面白い部分だなと実感できました」。

「自分ではない役を演じることが本当に楽しいです」と役者としてのやりがいも口にする。

「演じている中で、自分の中には存在しなかった新しい感情を見つけられる時があるんです。それを見つけた時に、自分の可能性が広がっている感覚を得ることができて本当に楽しいです」

 22歳を迎え、演じる役の幅も徐々に広がってきた。「今回もスーツを着ている自分を見て、『新入社員でもおかしくない年齢なんだな』と改めて実感しました。今後はまた違った自分を探したいので、殺人鬼のような役にも挑戦したいです。たくさん悩むとは思いますが、自分にまだない引き出しを作っていきたいです」。

 藤原竜也主演の映画『デスノート』(06年)を見たことで芸能界を志すことを決めた少年時代。憧れだった藤原にも実際に会うことができた。

「『弱虫ペダル』の舞台が決まった時に、藤原竜也さんの舞台稽古を見学させていただきました。その時に初めてお会いできて、本当に感動しました。お芝居の向き合い方や舞台上であれだけ感情を発散できることが本当にすごいなと、実際に舞台に立ったことで強く感じました」

「憧れだからこそ、もう会いたくないですね」と照れ笑いを浮かべる。「もっと成長してから、胸を張って共演できるようになりたいです」。

□島村龍乃介(しまむら・りゅうのすけ)2002年8月7日、大阪府出身。2019年にドラマ『TWO WEEKS』で俳優デビュー。22年、舞台『弱虫ペダル』で初舞台、初主演。以降、フジテレビ系『アンメット ある脳外科医の日記』(24年)など話題ドラマに出演。現在放送中の日本テレビ系『なんで私が神説教』にレギュラー出演中。25年6月15日には初のファンブック『SPECIAL FAN BOOK』を発売する。

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