ハッピーセット騒動、専門家は「もうけにならない」と“転売ヤー説”否定 マクドナルド謝罪も、第2弾の動向に注目

日本マクドナルドは18日、ハッピーセット「ちいかわ」「Minecraft(マインクラフト)」第1弾の早期販売終了を発表した。今回のハッピーセットを巡っては、16日の販売開始から景品のおもちゃを目当てに客が殺到。セットの食品が大量に廃棄されたり、フリマサイトに景品が多数出品されるなど、物議を呼んでいる。ネット上では収益を上げる目的で転売行為を行う“転売ヤー”の関与を指摘する声も上がっているが、騒動はなぜ起こったのか。転売問題の専門家と日本マクドナルドに見解を聞いた。

マクドナルドで発売されたハッピーセットのおもちゃが騒動に【写真:ENCOUNT編集部】
マクドナルドで発売されたハッピーセットのおもちゃが騒動に【写真:ENCOUNT編集部】

転売してももうけが出ない? これまでの転売問題とは異なり、不可解な点も多い今回の騒動

 日本マクドナルドは18日、ハッピーセット「ちいかわ」「Minecraft(マインクラフト)」第1弾の早期販売終了を発表した。今回のハッピーセットを巡っては、16日の販売開始から景品のおもちゃを目当てに客が殺到。セットの食品が大量に廃棄されたり、フリマサイトに景品が多数出品されるなど、物議を呼んでいる。ネット上では収益を上げる目的で転売行為を行う“転売ヤー”の関与を指摘する声も上がっているが、騒動はなぜ起こったのか。転売問題の専門家と日本マクドナルドに見解を聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

 ハッピーセットはマクドナルドが販売するセット商品で、ハンバーガーやポテト、ドリンクなどの食品に、オリジナルのおもちゃが景品としてついてくる人気メニュー。今回騒動となっているのは、人気漫画の『ちいかわ』、人気ゲーム『Minecraft(マインクラフト)』とコラボしたオリジナルのおもちゃで、16日の販売開始早々からおもちゃ目当てに多くの客が店舗に殺到、オーダー待ちや品切れといった混乱が生じた。

 また、ネット上では実在の店舗名を挙げ「『ちいかわ』のハッピーセット目当ての転売ヤーらが、おまけだけを持ち去り、料理を置きっぱなしにして帰ったようです」「中国人転売ヤーたちが、ハッピーセットを大量に頼み、オモチャだけ持っていた」といった真偽不明の情報が拡散。投稿された写真には、カウンターや床にポテトやドリンクなどの食品が散乱した様子が収められているが、ドリンクのサイズや写りこんだ店員の姿などに不自然な点があることから、画像の加工や合成を疑う声も上がっている。

 ネット上のフリマサイトでは、販売開始直後から景品のおもちゃが大量に出品。「ちいかわ」のおもちゃ全4種1セットで、2000~2500円ほどの値段がつけられている。多くは販売済みとなっているが、4種すべてを集めるためには最低でもハッピーセットを4つ注文する必要があり、2040円がかかることから、「手数料+送料引かれたら損だと思うんだけど、転売ヤーはなんのために転売してるの??」「利益なんてほぼ無い金額でなんでわざわざ転売してんだろうか」といった疑問の声も上がっている。

 これまでの転売問題とは異なり、不可解な点も多い今回の騒動。転売問題に詳しい経営コンサルタントの諸勝文氏は「今回は、いわゆる転売ヤーによる買い占めではないのでは」と分析する。

「転売でもうけるためには、供給が制約されていること、商品が安値で放置されていること、高値でも買う人がいること、という3つの条件がそろう必要があります。希少性の高いものを買い占め、欲しくても手に入らない状況を作り出し、いくらでも払うという人に売りつけるのです。ハッピーセットは1つ目の供給の制約がなく、相当な数の景品が出回るので、買い占めによる値段のつり上げ、市場操作がしづらい。また、明らかに利幅が小さく、売ったところで大したもうけにならない。

 今回は転売ヤーは関係なく、単にもとからの『ちいかわ』ファンが想像以上に多く、連休で子連れが殺到したこともあって混乱を招いた、景品がダブったので相場の価格でフリマサイトに出品した、というところではないでしょうか。少なくとも、私が転売をする立場なら手を出そうとは思いません」

 ではなぜ、「転売ヤーの仕業」という見方が広がったのだろうか。消費者からすると、不当に市場価格をつり上げ、欲しいものが手に入らないという悪循環を引き起こすことから毛嫌いされている転売ヤーだが、諸氏はその悪感情が排外主義やヘイトスピーチに利用されている面もあると指摘する。

「転売というと、すぐに中国人による買い占めのうわさが流れますが、どこにも証拠がないという場合は多い。『日本の土地を買い占めて、侵略しようとしている』などは、ほぼデマに等しいものです。実際に中国人による転売の例もありますが、転売自体は市場にゆがみがあれば必ず表れるもの。売る側の商売の未熟さに問題があるという見方もできます」

 今回の一連の騒動について、日本マクドナルドはENCOUNTの取材に「このたびのハッピーセット『マインクラフト ザ・ムービー』『ちいかわ』について、予想を大幅に過ぎて売れ行きとなり、5月16日(金)から販売開始した第1弾は多くの店舗で販売を終了いたしました。ご購入を楽しみにしていただいていたお客さまのご期待に添えず、誠に申し訳ございません」「また、一部店舗の周辺において渋滞などが発生し、近隣にお住いの皆さまにご迷惑をおかけしたことも、あわせてお詫び申し上げます」と文書で回答。その上で「引き続き1人でも多くのお子さまにお食事とおもちゃをお楽しみいただけるよう、5月23日(金)より販売する第2弾においても、また営利目的・販売目的のご購入はお控えいただけるようあわせてお待ちしております」と呼び掛けた。

 一方、商品を廃棄し景品のみを持ち帰る行為への受け止めや、一部でデマと疑われるような投稿があったことについては、「SNSの投稿については調査中となり、個別投稿については確認・問題を差し控えます」との回答に留めている。

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