アイドルグループ・私立恵比寿中学（愛称：えびちゅう）の仲村悠菜は、1st写真集『17。』（小学館）を4月17日にリリースした。15歳で加入した少女も、今月29日には18歳に。大人の階段を上る仲村に、写真集の見どころやアイドルとしての理想像について聞いた。（取材・文＝小田智史）

「ずっとソロ写真集を出したい気持ちがあったので、一生の宝物です」

　2022年、えびちゅうの新メンバーオーディションに参加し、最終選考まで進んだ末に、グループ入りを果たした仲村。アイドルになる前から、アイドルの写真集をよく見ていたという。自身の1st写真集で撮影地に北海道を強く希望したのも、当時のイメージが影響している。

「（元乃木坂46で俳優の）齋藤飛鳥さんの1st写真集『潮騒』とか、そのアイドルさんの個性や表情が詰まっているところが憧れでした。『潮騒』は撮影地が北海道と沖縄で、『北海道の自然豊かな場所で撮るのもいいな』と思うきっかけになったし、えびちゅうのツアーで北海道に行くたびにいい場所だな、ご飯もおいしくて好きだなと思っていたので、北海道を希望させていただきました」

　富良野や美瑛で撮影された写真集のポイントは、「等身大な姿がたくさん詰め込まれている」こと。仲村は「気球のところで遊んでいたり、湖のほとりで虫を捕まえるために走っていたり、葉っぱで顔を作って遊んでいたり、顔にシールを張ったりとか、遊び心があるところが自分ぽくていいなと思います」と笑う。

　17歳らしい無邪気な笑顔やあどけなさが仲村の魅力だが、初めての写真集撮影を通して、これまで明確には口にできなかった自分のチャームポイントが見えたという。

「これまで、チャームポイントを聞かれた時に答えに迷っていました。でも、ソロ写真集だからこそ寄りのカットが多くて、寄りで自分の顔を見た時に、目元が光を吸収するような感じでキラキラに映っていたので、それがかわいいと改めて気づきました。爆笑している写真とかもあって、素も素すぎる笑顔もおすすめポイントです。（17歳という）今の年齢でしか出せない空気感も出ていると思いますし、普段の撮影はキメキメで撮ることが多いので、本当にいろんな表情があって、素を映し出すことができて良かったです。すごく理想の1st写真集になりました。大人になってもきっと、何回も何回も見返すだろうなと思います」

　えびちゅうで年少組の仲村は、2009年から在籍する安本彩花の言葉を借りれば「みんなの妹」キャラ。「ずっとこのままでいたいという気持ちもありますし、大人になりたい気持ちもあります」と、困った表情を見せる。

「えびちゅうでは妹（キャラ）ですけど、家では弟と妹がいて私が長女。親戚の中でも年上でいつもお姉ちゃんをしてきました。私は家族の中でも抜けている方で（笑）、いつも弟とかに、『ここはこう！』とやってもらっていた側でした。でも、東京に1人で出てきて、自分でいろいろやるようになってから、少しはしっかりしたかなと思います。いずれグループに後輩が入ってきた時には、かっこよくて優しいお姉さんになりたいです。

　所作とかもきれいな人になりたいし、自然体で飾らないけど、かっこいい女性に憧れます。身近で言うと、同じメンバーの（中山）莉子ちゃんは私が憧れるお姉さん。一緒にふざけたり、笑ったりしてくれるけど、普段は凛としてきれい。全員の意見を受け入れてくれる余裕がありつつ、ちゃんと自分の意思がある感じがすごくカッコイイです」

　えびちゅうは今年3月にさいたまスーパーアリーナで開催した結成15周年記念ライブがソールドアウトの大成功。“アイドル戦国時代”とも言われる中で、仲村はえびちゅうの強みに「楽曲」と「ライブ」を挙げる。

「えびちゅうはやっぱり曲がいいと思います。王道アイドル曲とはまた違うカラーがあって、少しおちゃらけた曲もあれば、一生懸命思いを伝える曲、かっこいい曲もあって、楽曲の幅が広い。安本彩花ちゃんが以前、『えびちゅうのライブに来てもらったら絶対好きにさせられる』と言っていたんですけど、本当にその通りだなと思っています。絶対に好きな曲も見つかるし、絶対に好きなメンバーも見つかるし、1度ライブに来てほしいです」

　2022年10月の加入から約2年半。えびちゅう加入前は歌やダンスのレッスンを受けた経験がなかった仲村も、ソロライブを開催するまでに成長した。それでも、「歌もダンスももっとスキルを上げていきたい」と意気込む。

「私はこれまで、努力を見せず、淡々とやっているアイドルさんを推してきました。えびちゅうに入る前から好きなのは=LOVEの佐々木舞香さん。佐々木舞香さんはそういうタイプだと思いますし、元乃木坂46の橋本奈々未さんも淡々とやるけど、すごく情熱がある感じで好きでした。つらいこともあると思うけど、陰で頑張って、喜んでいるところをもっと見ていただけるようなアイドルになりたいです」

　6月29日に新体制発表を控える中で、仲村は「アリーナツアーをできるようなグループになれるように頑張りたい」とえびちゅうの未来を描く。

「（小林）歌穂ちゃんが6月28日に卒業します。歌穂ちゃんが作ってきてくれたわちゃわちゃ感とかほっこり感とか、歌穂ちゃんにしか出せないものだったと思うので、私たちにくれたものをちゃんと吸収して、歌穂ちゃんの良かったところをえびちゅうに残していきたいし、いいライブだったというライブで送り出せるように、私たちもいいパフォーマンスができるように頑張りたいです。翌日（29日）にはえびちゅうあるあるの新体制ライブ（新体制始業式「GOLDEN EIGHT ―new again―」）があって、私は以前は新メンバーとして入る側だったので、在籍しているけど新体制になるのが今回初めて。『これからも大丈夫』『やっぱりえびちゅうだな』と見せられるようにしたいと思います」

　仲村は2017年に芸能事務所スターダストプロモーションに所属後、5年間は思うような成果を得られなかった。えびちゅうの新メンバーオーディションを最後の挑戦と位置づけ、もし落ちたら芸能活動は諦めるつもりだったという。だからこそ、えびちゅうへの思いは人一倍強い。

「マネージャーさんにも（芸能界を辞める覚悟を）相談していたレベルでした。そこで私の人生は救われた。えびちゅうに入る前と性格も全然変わりましたし、えびちゅうに入れて本当に良かったと思います」

　仲村と言えば、2024年4月に大きな変化もあった。フジテレビ系『めざましテレビ』（フジテレビ）のトレンド情報コーナー「イマドキ」のリポーターである“イマドキガール”に抜擢されたのだ。「反響がすごく大きくて、イマドキガールで知ってくれた方もいます」と明かす。

「イマドキガールをやるまで、グループを出て1人でロケをしたりお仕事をする機会は少なかったので、いろいろ学ぶことができました。ファンの方が早起きをして『イマドキ見るよ』と言ってくれたり、ロケに参加していなくてもめざましジャンケンを一緒にやってくれたり、『みんなの生活リズムを私が変えているんだな』と思うとすごくうれしい気持ちになります。私、めちゃくちゃ食べています（笑）。イマドキガールはファッションとか美容とかコスメとかある中で、私は基本的にずっと食事担当をさせていただいています（笑）。食レポも最初はすごく苦手意識があったんですけど、普段からご飯を食べている時にどんな味か頭の中で考えるようになって、最近はできるようになってきたかなと思います」

　かねてから目指してきた俳優業、そしてアイドル活動の充実にも意欲を見せる。

「お芝居をしてみたい思いはずっとあります。あとは歌でもっともっとレベルアップしたい。5月にはソロコンサート（29日に仲村悠菜 生誕ソロライブ『純喫茶ミルクティー～3杯目～』を開催）もあるので、1人でもこんなにできるんだぞと見せたいです。自分のパフォーマンスに自信があるわけではないですけど、努力してきた自信はあります。練習すればできるようになると実感したので、『本当に上手だね』と言われるように頑張りたい。えびちゅうは訳が分からないこと（笑）まで一生懸命やるのが魅力だと思いますし、私も一生懸命さ、全力さは何歳になっても、忘れないようにしたいです」

　仲村のアイドル人生はまだこれから。どんな成長の軌跡を描いていくのか、目が離せない。

□仲村悠菜（なかむら・ゆな）2007年5月29日、福岡県出身。中学生だった2022年10月、新メンバーとして私立恵比寿中学の加入。出席番号17番、メンバーカラーはミルクティー。趣味はアイドル鑑賞と犬と遊ぶこと。24年4月からはフジテレビ系『めざましテレビ』にイマドキガールとしてレギュラー出演している。