「男性は使用しないで」バリアフリートイレの張り紙に車いす男性困惑 ネットも疑問視「弱者の排除では」
車いす利用者やさまざまな事情を抱えた人にとって、外出先のバリアフリートイレはなくてはならないもの。近年では大型の商業施設をはじめ、スーパーやコンビニでの設置も増えてきている。ある車いす利用者の男性が、トイレの前で困った張り紙に遭遇したという投稿が、ネット上で大きな話題を呼んでいる。投稿者の丹生坂つかさ(@nibsakat)さんに詳しい話を聞いた。

「こちらは、女性専用トイレです。男性の方は使用しないで下さい」と書かれた張り紙が掲示
車いす利用者やさまざまな事情を抱えた人にとって、外出先のバリアフリートイレはなくてはならないもの。近年では大型の商業施設をはじめ、スーパーやコンビニでの設置も増えてきている。ある車いす利用者の男性が、トイレの前で困った張り紙に遭遇したという投稿が、ネット上で大きな話題を呼んでいる。投稿者の丹生坂つかさ(@nibsakat)さんに詳しい話を聞いた。
「車椅子男性ワイ、車椅子トイレに入れず」
今月12日SNS上に投稿された、コンビニのトイレの画像。女性用トイレの扉には、バリアフリーであることを示す車いすマークのピクトグラムと、「こちらは、女性専用トイレです。男性の方は使用しないで下さい」と書かれた張り紙が掲示されている。投稿者の男性は続く投稿で「これ多分店員に言えば車椅子マークのほう入れるんだけど、出た時女の人待ってたりしたらめちゃくちゃ気まずいので入れない」と、「女性専用」が強調されたバリアフリートイレの使用を尻込みしてしまったことをつづっている。
一連の投稿には8000件を超えるリポスト、13万件もの“いいね”が集まるなど話題に。「これはとても残念ですね…」「最初は、男性が利用しても問題ない表示と思ったけど、左の貼紙があると男性は利用しにくいですね」「車椅子で入れる男性用のトイレが見当たらないのですがどこですか? と聞きたくなりますね」「そもそも多目的を女性専用にするなよ」「男性用トイレには小便器しかない、みたいなお店も稀にあって稀に困ったことになります」など、さまざまな声が寄せられている。
最初の投稿から2日後の14日、男性は張り紙が撤去されたことや、当時の状況を店員に説明したことなどを報告。店員からは、張り紙とピクトグラムに矛盾があるため、掲示したスタッフや本部に確認すると回答があったという。
SNSでの反響や店員とのやり取りを受け、男性は「正直、普段生活していて不便に感じることがあっても自分が我慢すれば済むし…とスルーしている事が多すぎて今回も特に行動する気がなかったのですが、反応をもらう中でオストメイトの男性が困ること、男性の介助者がいる女性車椅子ユーザーが困ることが問題だなと感じ、自分だけの問題じゃ無かったと気付けて報告に至りました」「あとトイレで女性からクレームが入ったと言うより、男性でぶっ飛んだ利用の仕方の人がいたようで、そのことにも触れていました。男性の皆さんちゃんと座って用を足しましょう…」と事の次第をつづっている。
30代で、7年ほど前に持病の筋ジストロフィーが悪化し、歩行困難となったため車いす生活を始めたという男性。現在はリハビリの成果もあり、体調の良いときは短い距離を歩くこともできるものの、普段の外出では主に車いすを使っているという。
「もともとは日常の1コマとして投稿したもので、特別な意図があったわけではありません。張り紙についても、おそらくお店側に何らかのクレームがあり、その対応として貼られたのではないかと推測しています。ただ、ピクトグラムと張り紙を見比べたときに、ピクトグラムでは『女性』『車いす使用者』『オストメイト』のいずれかであれば利用できるという『OR条件』が示されているのに対し、張り紙では『女性専用』として男性を排除してしまっている点に違和感を覚えました」
男性のアカウントはモノづくりやエンジニア系の話題が多く、トイレの掲示の食い違いがプログラムの分岐条件の矛盾のように見えたのが面白かったことから、「バグによって本来実行されるべき処理が停止してしまった」という比喩のつもりで投稿したという。当初の意図に反し、投稿には設計や運用のミスを指摘する声や、「弱者の排除ではないか」といった問題提起など、多くの意見が寄せられた。
一連の反響について、男性は「幸い、近くには他にトイレを開放している店舗があり、私自身は困ることなく済みましたが、あらためて考えると、切迫した状況の方やストーマ(人工肛門)の方など、見た目では分からない事情を抱える方にとっては深刻な問題だと感じました」と話している。
