住吉美紀、入院中に「号泣しちゃって」 コロナ感染で知った医療従事者の苦労と温かさ

当時を思いだし、涙があふれる住吉美紀【写真:荒川祐史】
当時を思いだし、涙があふれる住吉美紀【写真:荒川祐史】

もしも新型コロナに感染した時のために「連絡先のメモは重要です」

 人の温かさに身も心も救われた。当時を思いだし、こらえきれず、再び涙があふれ出た。そんな当時の住吉の心境も気になる。

「ラジオは社会インフラと思って、取り組んでいました。(感染後は)そこまでして私は仕事をしないといけないのかとか、その価値はあるのかとか、ネガティブなことを考えた時期もありました。それは、ものすごく体がつらかったし、ものすごく疲れたからです。マイクの前に戻った時にモチベーションを保てるか不安に思った時もありました。でも、その看護師さんのお電話で、こんな大変なお仕事をしている方のお役に立っていたというのが、すごく励みになって。これはマイクの前に戻らねばならない。活動できる元気な体に戻さなきゃという意識に切り替わるきっかけになりました」

 涙をふく住吉に、感染の恐怖と不安を感じる世の中の人に向け、どんな準備をすればいいのかを聞いた。すると姿勢を正し、少しでも役立ちたいと語りだした。

「私の場合は中等症。無症状の方は違うかもしれませんが、熱が上がってきたり、だるくなったりすると、そこから何かを思考、計画するのは困難になります。事前にリストにしておいた方がいいと周りに勧めているのは、(1)かかりつけ医の電話番号とか、コロナ患者に対応していて夜間救急のある、自宅近くの病院やその電話番号。あと、意外と大事なのは、(2)恥部をさらけ出せるような、何でも頼めるような友だちの名前と電話番号をライフラインとしてメモしておく。これはすごく大事。感染すると、同居家族も濃厚接触者なので、判明してから2週間、一切、外に出られないです。代わりの手足にはなってもらえない。家族も大変になります。

 私の場合は、友だちに早期に入院が伝わって『何でも言ってね、甘えてね』と言ってくれたので、もうろうとした中、『甘えさせて! 夫に食料を送ってください。詳細は任せます』と頼りました。あと、夫の岩手の実家の母にも『夫が好きそうな物を送ってください』とLINEしました。夫は濃厚接触者で2週間、家を出られませんでしたが、おかげでちゃんと健康的な食生活をおくることができました。これで、とりあえず夫は大丈夫、と安眠できました。連絡先のメモは重要です」

 入院に必要な荷物もそろえておいた方がいいのだろうか。

「1度、病室に持ち込んだ荷物は退院まで感染の危険があるので外に出せませんでした。なのでタオルやパジャマの洗濯を頼めないし、家族にも取りに来てもらえない。とにかく多めに持っておいて、ある中でやりくりする感じでした」

 住吉は、タオルが無くなり、プロ野球の巨人ファンの夫が送ってくれたジャイアンツタオルを使う状況に。目立たないように使い始めた途端、すぐ看護師に気付かれたと笑った。26日は最終回。感染後の内面の変化や住吉が推測する感染原因を紹介する。

□住吉美紀(すみよし・みき) 小学時代はアメリカ・シアトル、高校時代はカナダ・バンクーバーで暮らす。国際基督教大学(ICU)卒業後、1996年にNHK入局。「プロフェッショナル仕事の流儀」の司会や2007年の紅白歌合戦で総合司会を務めた。2011年3月に退局し、フリーに。現在はTOKYO FM 「Blue Ocean」(月~金曜、午前9時)のパーソナリティーを務めている。シヴァナンダ・ヨガ正式指導者資格、NARD JAPAN認定アロマアドバイザー資格を保有。 著書に「自分へのごほうび」(幻冬社)。 2016年1月に一般男性と結婚。趣味は茶道、着物、音楽、ネコ。

取材協力:東京都中央区・ミアヴァート珈琲

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