「親いない」がく然 赤信号を渡る幼児を保護 身なりがひどく…とっさの行動に称賛「助かって良かった」
自動車が多く行き交う交差点でふと目に入った、2~3歳ぐらいの子どもの姿。ある違和感を覚えた。「親がいない」。赤信号なのにそのまま道路を渡り始めた様子を見て、とっさに体が動いた。保護した子どもは、鼻水を垂らし、身なりがひどく、心配になったという。難しさもある他人の子どもへの対応。110番通報をした子育て当事者の女性は「小さな命を守るには周囲の大人の手助けが絶対に必要です」と話している。

男の子の服は汚れ、裸足で靴を履いており、排泄したままだった
自動車が多く行き交う交差点でふと目に入った、2~3歳ぐらいの子どもの姿。ある違和感を覚えた。「親がいない」。赤信号なのにそのまま道路を渡り始めた様子を見て、とっさに体が動いた。保護した子どもは、鼻水を垂らし、身なりがひどく、心配になったという。難しさもある他人の子どもへの対応。110番通報をした子育て当事者の女性は「小さな命を守るには周囲の大人の手助けが絶対に必要です」と話している。
「3歳ぐらいの子が1人で交通量の多い交差点を赤信号で渡ってたから保護した
親いない」
5歳、4歳、2歳、0歳の年子の4児を育てる、おはし 4人のママ(@HaShio361)さんは、自身の体験談をXで報告した。
保護したのは日本人の男の子だった。おはしさんと夫は、子どもたちを保育園に送った帰りに自動車に乗っている時に、交差点で迷子になっている男の子を発見した。交通量の多い交差点、その先に踏切がある、1キロ圏内には川が流れているなど、いくつものリスクや危険性が頭をよぎったという。
「交差点右折時に夫がまず発見しました。私も旦那も、『親は!?』となりました。発見時はどうしようと一瞬悩みましたが、親も見当たらず周囲は危険が多いことから、保護しないと危ないと思いすぐに車を止めてもらいました。私自身も慌てて追いかけたので危険を伴っていたと思いますが、当時は子どもを保護しないと!! との気持ちだけで追いかけました」
おはしさんは看護師の仕事に就いている。人命最優先の行動だった。「ニュースで行方不明になった子が川で溺れて死んでしまった、車にひかれた、悪い人に捕まり殺されてしまった、性被害に遭ってしまった……など見たことがあります。その可能性を少しでも下げるには、やはりここで保護しないと思いました。私自身、経験は浅いのですが看護師ですので、命を見捨てるようなことはできませんでした」と振り返る。
男の子の特徴や挙動については「身長などの体格を見るに、我が家の2歳、4歳の間ぐらいかな? という感じなので3歳ぐらいだと思いました。片手にプラスチックのコップを持っており、その中に葉っぱを集めてました。保護するために話しかけましたが、人見知りして泣くこともなく、安全な場所へ移動するまで大人しく手をつないでくれました。駅、踏切が近く、電車が通れば電車に興味を示したり、葉っぱを見つけたりしてました。言葉に関しては発語は曖昧でしたが、理解はしてました」。
だが、男の子に近くで接してみると、多くの違和感が見受けられた。服は汚れが目立ち、裸足で靴を履いていた。鼻水だけでなく、口の周りは汚れ、排泄したままだった。
「発見当時、服装は上のシャツはヨレヨレで食べ物による汚れが付着したまま、インナーシャツは腰辺りをかきむしったために出た出血が付着していました。ズボンは汚れは気になりませんでしたが、雨ということもあり、転けた際に両膝をついたようでぬれてました。足は裸足に靴を履いてましたが、左右は合ってました。洋服やカラダのにおいは夫が言うには、柔軟剤と香水が混ざったようなにおいだったようです。爪は短かったのですが整えられてはなかったようで、かんだ可能性もありそうです。お顔は鼻水が出た状態、お口周りは食べカスがかなりついてました。オムツはおしっこが複数回と便をしており、便は時間がたったような感じでした」
通報後は近くの店舗に協力を仰ぎ、お店の中で待機。夫婦は車に乗せてある自分の子どもたちの予備の服に着替えさせ、警察の到着後は男の子を引き渡して帰宅した。
その後の状況。「警察からは『何かあったら連絡することがあります』と言われましたがその後は連絡がありません。どうなったのかは不明です。もしかしたら、こちらから電話をすれば教えてくれる可能性はあるのかもしれませんが、夫からは『多分、何聞いてもモヤモヤするだろうからそれなら知らない方が、こちらの精神がかき乱されずに済むんじゃない?』とは言われてます。私もその意見に同意ですが、やはり気にはなるのでもしかしたら今後警察に電話してみるかもしれないです」。悩ましい心境を明かす。
「警察に通報し、子どもの安全を守ってあげることが大事だと思います」
言わば異常な事態。男の子の身なりなどの様子から、今回、おはしさんが感じたことがある。
「正直に言えば、ネグレクト(育児放棄)に近い印象を受けました。家庭環境がどうであれ、子どもに罪は一切ないので、今こうして関わっている間だけでも身なりを整えてあげたいと思い、身なりを整えることにしました。とは言っても、私は警察対応をしていたので、お顔を清拭したりオムツ交換、ズボンを履き替えさせたりは夫がしました。オムツ交換は迷いましたが、臭いがかなりキツかったので同性である夫にお願いしました。夫は快く引き受けてくれました」。考えられる可能性について自身の考えを明かす。
おはしさんの投稿は反響を呼んでおり、「夫婦に見つけて貰えて本当に良かった 保護者はマジで何してるんや……」「事故に遭わず保護されて良かった 小さな命助かって良かった..」「怖いですね」「親!!….って思ったけど親もシングルマザーとかで誰にも気が付かれず倒れてるとかもありえなくもない」など、無事保護への安堵(あんど)、勇気ある行動への賞賛と共に、男の子の保護者に対する批判の声も寄せられている。
保護者側にも事情があったかもしれないが、小さな男の子が外を1人で歩いてしまっている状況は極めて不穏当だ。親の責任が問われる可能性もあるだろう。
おはしさんは「どのような状況だったが分からないので今回の件に関しては一概に言えることはありません。予想外の行動をするのが子どもなので、どのような子であっても最低限の予防策はするべきだと思います。我が家に関しては、小さな子たちが4人おり、一瞬でも目を離せば見失い、迷子にしてしまうこともあり得ます。より一層気を付けないと、と夫婦で話しました」。改めて、自分たち自身が注意していくことを誓ったという。
一方で、他人の子どもにどこまで干渉したらいいのか。緊急時なら当然対応するべきだが、「危ない」という危惧感の段階で、どう対応したらいいのか。悩ましい問題でもある。こういった「あの子、大丈夫かな」という場面に遭遇した時、どのような行動が必要になるのか。
おはしさんは「声をかけなくてもいい、遠く離れた場所からでもいい、間違いでもいい。それでもいいので警察に通報し、子どもの安全を守ってあげることが大事だと思います。“誘拐を疑われる”との声もありましたが、上記の対応であれば自身の身の潔白を証明できますし、何もしないよりは絶対にいいです。どんな状況でもできることは必ずあります。
小さな命を守るには周囲の大人の手助けが絶対に必要です。命を守るために取る行動に間違いなんてものは絶対にないです。もし今回のような場面に遭遇した際は、自信を持って行動してほしいです」とメッセージを寄せた。
