プロレス界“受け身騒動”を藤原組長はどう見る? 大物2人の主張に見解「両方正しいと思う」

埼玉の川越にある丸広百貨店で「“燃える闘魂”アントニオ猪木展~GOLDENWEEK FIGHT SERIES~」が5月5日まで開催されている。今月27日には、同日に76歳の誕生日を迎えた、“A猪木の懐刀”藤原喜明組長によるトークイベントが開催。イベント前にはSEAdLINNNGの花穂ノ利(はな・ほのり)が控室を訪れ、意外な初遭遇を果たした。

藤原組長(左)は花穂ノ利の髪を掴んで、頭突きのコツを伝授した
藤原組長(左)は花穂ノ利の髪を掴んで、頭突きのコツを伝授した

令和女子プロレス界のトンパチ娘・SEAdLINNNGの花穂ノ利

 埼玉の川越にある丸広百貨店で「“燃える闘魂”アントニオ猪木展~GOLDENWEEK FIGHT SERIES~」が5月5日まで開催されている。今月27日には、同日に76歳の誕生日を迎えた、“A猪木の懐刀”藤原喜明組長によるトークイベントが開催。イベント前にはSEAdLINNNGの花穂ノ利(はな・ほのり)が控室を訪れ、意外な初遭遇を果たした。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

 花穂ノ利と言えば、「Sareee-ISM」(1月23日、新宿FACE)でのタッグマッチに登場し、大先輩の“暴走女王”堀田祐美子と対戦。試合中に堀田の顔面が変形するほどの頭突きを食らわしたことで注目された。面白いのは、やられた堀田も「私にここまでするヤツは大したもの」と、穂ノ利を咎(とが)めるどころか絶賛していたことだった。

 要するに穂ノ利は、久々にプロレス界に現れたトンパチ(いい意味でバカ)娘でもある。

 この話を聞きながら、藤原組長がゆっくりと口を開いた。

「昔、新日本プロレスでもトンパチっていてな。荒川真、栗栖正伸な。試合が始まるとすぐにケンカになって、レスラーが見て、『おー、イケイケ! 頑張れー!』って。猪木さんはそれを見ても全然怒らなかったからね。やれやれやれって。『プロレスは闘いである』だから。だいたい闘いをやっているのに、飛んだり跳ねたりするかい? バカ野郎。そりゃあ1回や2回はいいけど、ずーっと飛んだり跳ねたり。バカでねえの?」

 そう言って“藤原節”を爆発させると、自身の頭突きに関するエピソードを披露する。藤原組長の頭突き歴はプロ入り前にさかのぼる。

「ガキの頃よくけんかしてね。頭から顔面に突っ込んで行って、それでフラフラになったところをぶん殴ってねえ。フッ。結構強かったよ」

「けんかの時は、絡まれたら『どうもすみませんでした』って(謝りながら)いきなり突っ込むんだよ、(相手の)顔面に。『す、すみません、どうもすみませーん』なんて言いながら、このへん(相手の鼻)を狙ってな」

「中心を狙うと、たとえ相手がこっち(右)に逃げても(左の頬に)当たるし、こっち(左)に逃げても(右の頬に)当たるから」

 次々と頭突きにまつわるポイントを話した藤原組長は、「頭突きをする時は髪を掴むよな。しっかり掴んでいれば逃げれない」と穂ノ利の髪を掴んでコツを伝授した。

最近、発売になった「猪木のためなら死ねる2」(宝島社)
最近、発売になった「猪木のためなら死ねる2」(宝島社)

前田氏、鈴木の言い分を聞き、「両方正しいと思う」

 ところで最近のプロレス界では、いわゆる“受け身騒動”が勃発している。発端は前田日明氏の発言だった。要約すると、「今のプロレスラーは受け身を取れていない」。だからか怪我人が増えている、といった論調だ。これに対し、前田氏とも因縁浅からぬ関係性を持つ、“世界一性格の悪い男”鈴木みのるは、現役レスラーの代表といった雰囲気で、「昔の人間はいろいろ言うが、俺からひと言いうなら、黙って見とけ。これがプロレスの進化した姿だ」とのコメントを発している。

 このやりとりに対し、藤原組長が再び“藤原節”を爆発させた。

「それは両方正しいと思う。前田もあんまり受け身はうまくなかったよ。鈴木もな、あいつ性格が悪くてな。俺、大っ嫌いなんだよ」

 藤原組長と前田氏と鈴木を含めた三者の付き合い、いや、師弟関係は40年以上にわたる。お互いが勝手知ったる仲だけに、たとえ相手をののしっていたとしても、その言動の中にはどこかしら相手に対する思いやりのようなものが見え隠れする。

 いわば幾多の修羅場をくぐってきた者にしか分からない世界観がそこにはあったし、「両方正しい」の言葉には、“プロ”の世界の正解は、決してひとつではないことが伝わってきた。

 ちなみに藤原組長という伝説すぎるプロレスラーと対面した直後、穂ノ利はその印象を「オーラがすごくて。握手もしていただいたんですけど、手がとても大きくて、力強い感じがしたのが印象的でした」と話した。

 来たる5月1日、穂ノ利は後楽園ホールで開催されるSEAdLINNNGの大会に参戦する。当日はウナギ・サヤカ、叶ミクと組んで、ラスエゴ(VENY、野崎渚、真琴)と対戦するが、穂ノ利は先日、VENYの持つシングルベルトへの挑戦を表明したばかり。正直に言えば、時期尚早との声も上がっている。

 とはいえ、穂ノ利は藤原組長の話を聞きながら、「王者・VENY打倒!」を実現するためのヒントを授かった。

「やっぱり一番強いのはねえ、本能で闘うことだよ。アントニオ猪木じゃねえけど、本能な」(藤原組長)

 これを受けて穂ノ利は「藤原さんにお会いして、本能で行けと教えていただいたので、後楽園大会では本能で闘って、勝ちます」と宣言した。

 “A猪木の懐刀”という伝説すぎる藤原組長との初遭遇で伝え聞いた、永遠不滅の猪木イズムを胸に、花 穂ノ利はVENY打倒への第一歩を記す。

(一部敬称略)

次のページへ (2/2) 【動画】藤原組長が花 穂ノ利の髪を掴んで、頭突きのコツを伝授した 実際の映像
1 2
あなたの“気になる”を教えてください