冨岡愛、“今”を体現した初の東名阪ツアーが幕 サプライズでアジアツアー開催も発表【ライブレポート】

シンガー・ソングライターの冨岡愛が23日、東京・恵比寿LIQUIDROOMにて、東名阪ツアー「Let’s meet on the Dance Floor」のファイナル公演を開催した。約800人の観客が詰めかけた会場は熱気に包まれ、冨岡の今を体現するようなステージに、終始大きな歓声と拍手が送られた。

東名阪ツアーのファイナル公演を行った冨岡愛【写真:umihayato】
東名阪ツアーのファイナル公演を行った冨岡愛【写真:umihayato】

11月の神奈川・KT Zepp Yokohama公演も発表

 シンガー・ソングライターの冨岡愛が23日、東京・恵比寿LIQUIDROOMにて、東名阪ツアー「Let’s meet on the Dance Floor」のファイナル公演を開催した。約800人の観客が詰めかけた会場は熱気に包まれ、冨岡の今を体現するようなステージに、終始大きな歓声と拍手が送られた。

 今回のツアーは、冨岡にとって初の東名阪ツアー。13日の名古屋公演を皮切りに、大阪、そして東京と各地を巡った。2024年1月からは4か月連続でデジタルシングルをリリースし、ツアーではその楽曲が次々と披露され、ファンの期待に応える形となった。注目の高まりを感じさせる中、ツアーファイナル当日には、4か月連続リリースの締めくくりとなる新曲『New Style』が配信スタート。幼少期を過ごしたオーストラリアでの経験をもとに、英語詞でつづった同曲は、現地のプロデューサーTaka Perryとともに制作されたもので、冨岡のルーツと今をつなぐ1曲としてファンの間でも大きな反響を呼んでいる。

 会場が暗転し、どこか懐かしさを帯びた80年代風のSEが流れる中、ステージに浮かび上がるシルエット。ひときわ大きな歓声が上がると、冨岡が登場。エレキギターを手にしながら披露した1曲目『ジェラシー』から、フルバンドによる重厚なサウンドと彼女の力強いボーカルで一気に会場の熱を引き上げた。

 続く『愛 need your love』では、「東京ファイナル盛り上がっていきましょう!」と叫びながら、観客を巻き込み一体感を演出。ライブ定番の盛り上がり曲に、客席も手を上げて応える。3曲目の『あなたは懐メロ』は、冨岡が22年に初めて世に送り出した、原点とも言える楽曲。アコースティックギターを抱えて歌うその姿からは、音楽に向き合い続ける彼女の芯の強さが垣間見えた。

 最初のMCでは、「改めまして『Let’s meet on the Dance Floor』東京ファイナル公演に会いにきてくれてありがとうございます! 冨岡愛です!」と元気にあいさつ。満員の会場からは大きな拍手と歓声が送られた。「あっという間にファイナル!」とツアーの終わりを惜しみつつも、「最高の夜にしたい」と満面の笑みで語るその姿に、ステージへの意気込みがにじむ。

 続けて「初めて来た人?」と客席に問いかけると、想像以上に多くの手が挙がる。彼女の音楽がいま確実に広がり、多くの人々の心に届きはじめていることを象徴するような光景だった。

「知ってる曲があれば一緒に歌ってほしいし、最後までこのダンスフロアを楽しんでいってくれたらうれしいです!」と笑顔で呼びかけ、GLOBAL WORKのTVCMタイアップソングに起用された『かろやかに』を披露。軽やかで心地よいサウンドに包まれながら、客席も自然と体を揺らし、リズムに身を委ねていた。

 そのまま4か月連続配信企画の第1弾としてリリースされた『劣り』を披露。この楽曲は「自分が自分の味方でいてあげられるように」という思いが込められている。「劣っても 劣っても 踊りたい」というフレーズは、彼女自身が抱えてきた葛藤を肯定しながらも、前へ進もうとする意志を象徴しており、オーディエンスの心にも響き渡る。

 その後は『ぷれぜんと。』『ラプンツェル』を立て続けに披露。丁寧に言葉を紡ぎながら歌う彼女の姿に、会場全体が深く引き込まれていき、観客はその歌声にじっと耳を傾けていた。

ラストではサプライズでアジアツアーの開催が発表された【写真:umihayato】
ラストではサプライズでアジアツアーの開催が発表された【写真:umihayato】

 後半のMCでは「このツアーで毎回みんなに聞いてることがあるんです」と切り出し、恒例の“どこから来たの?”コーナーへ。岩手、島根、鹿児島、沖縄、そしてインドネシア、ソウル、ハワイ、ポーランド、ドイツと、世界各地から集まったファンとのやりとりに、会場は国境を越えた温かい一体感に包まれた。「タリマカシ!」「アロハー!」「グーテンモルゲン!」などと、冨岡がそれぞれの国の言葉で応え、会場には笑顔が広がり、観客との絆をさらに深めていった。そして、今年3月に初のカバーリリースとなった『強く儚い者たち』を披露。この曲はドラマ『HEART ATTACK』の主題歌に起用され、Coccoが1998年にリリースした名曲のカバー。原曲への深いリスペクトと、自身の解釈を織り交ぜたパフォーマンスは、オーディエンスの心に深く響き、会場を静かな感動で包み込んだ。

 そのあと幼少期~中学生まで過ごしたオーストラリア時代の、幼なじみである親友と別れのストーリーを語り、「みんなにとっても大切な人を思いながら聞いてくれたらうれしいです」と、『Star空(Acoustic ver.)』をアコースティックギター一本でしっとりと歌い上げる。

 その直後にはバンドセッションで会場の熱を再び上昇させ、『アイワナ』『PSYCHO』『missing you』と立て続けに披露。ジャンルを横断するような多彩な表現で観客を魅了し続けた。

 本編終盤のMCでは、自身の祖父母について「今年で付き合って70年目になる」と語り始め、高校時代から一緒に歩んできた2人の姿を見て、「ずっと一人の人と一緒にいるのは本当にすごいこと」と改めて感じ、「愛することって何だろう」と思うようになったと話す。祖父母と旅行した際に2人の姿を動画で撮影し、その動画を自分の曲に合わせてTikTokに投稿したところ200万回再生を記録。「TikTok最年長カップル」と話題になっていたというエピソードを話し始め、動画のコメント欄には「こんな風になりたい」「元恋人とこういう関係になれていたら」など、多くの人の本音があふれており、それを見て「みんな不安定な日々の中でも、諦めずに人を愛そうとしてるんだな」と感じたと語る。

「次の曲も、みんな不安定な毎日の中、何があるわからないけど、この人とずっと一緒にいたら『Maybeが繰り返されるけど、いつかmust beになれたらいいな』と思いながら聞いてくれたらうれしいです」と、その想いを込めて『MAYBE』を届け、あたたかなメロディーとともに観客の心を優しく包み込んでいった。

 クライマックスでは、SNS再生数6億回を超える代表曲『恋する惑星「アナタ」』を観客と一緒に大合唱し、ライブは最高潮へ。

 最後のMCでは、「新生活、つらいこともあると思うけど、それぞれのダンスフロアを精一杯踊っていこう」と語り、リスナーに寄り添う姿勢を改めて見せた。冨岡自身が悩みながらも前を向く姿勢が多くの共感を呼んでいる理由そのものだと感じさせられる場面だった。

 本編ラストは、ライブ当日配信リリースとなった英語詞の新曲『New Style』。ルーツであるオーストラリアのプロデューサーTaka Perryと共作した、意欲作で、国境を越えて広がる彼女の音楽の可能性を提示した。

 そして、ラストの『グッバイバイ』を熱唱したあと、「Zepp Yokohamaで次は会いましょう!」と叫び、サプライズで、アジアツアー&11月に神奈川・KT Zepp Yokohama公演を開催することが発表され、会場は驚きと喜びに包まれた。

冨岡愛『New Style』ジャケット
冨岡愛『New Style』ジャケット

○4月23日「Let’s meet on the Dance Floor」@恵比寿LIQUIDROOM
1.ジェラシー
2.愛 need your love
3.あなたは懐メロ
4.かろやかに
5.劣り
6.ぷれぜんと。
7.ラプンツェル
8.強く儚い者たち
9.Star空 (Acoustic ver.)
10.アイワナ
11.PSYCHO
12.missing you
13.MAYBE
14.恋する惑星「アナタ」
15.New Style
16.グッバイバイ

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