コンプラ時代に“神説教”する話題ドラマ、プロデューサーが明かすテーマのこだわり「全世代が納得する内容に」
俳優の広瀬アリスが主演する日本テレビ系ドラマ『なんで私が神説教』(土曜午後9時)の取材会が行われ、ドラマプロデューサーの藤森真実氏が同作のテーマや演出、見どころについて語った。

事前にスマホ検索し“神説教ネタ”をまとめる主人公・静「“先生の人間らしさ”が伝われば」
俳優の広瀬アリスが主演する日本テレビ系ドラマ『なんで私が神説教』(土曜午後9時)の取材会が行われ、ドラマプロデューサーの藤森真実氏が同作のテーマや演出、見どころについて語った。
同作は、無職生活を脱却するためになんとなく高校教師になった主人公・麗美静(広瀬)が、問題児ぞろいの生徒たちの事情に巻き込まれ、したくもない“説教”をする羽目になるという新たな学校エンターテインメント。パワハラ・モラハラ・コンプラが問われる時代に、静が“とんでもない説教”をするというストーリーが描かれる。渡辺翔太(Snow Man)、岡崎紗絵、野呂佳代、小手伸也、伊藤淳史、木村佳乃が主要キャストとして登場する。
第1話では「イジリ」と「いじめ」の違い、第2話では「恋人や配偶者がいる人を好きになること」について、広瀬演じる静が“神説教”を行った。藤森氏はドラマのテーマについて、「脚本家のオークラさんと、『説教が大人にも共感できる内容にしたいね』と話していました」と明かし、「1話の『イジリ』と『いじめ』や、第2話の『相手がいる人を好きになったらいけないの?』というテーマは、大人なってもあること。我々の世代やもっと上の世代が見ても、『そういう考えもあるんだ』と思えるような内容にしています」と語った。
また、「毎回生徒さんに焦点が当たっていくわけではなくて、学校の先生やそれ以外のところにも説教していく。話が進むにつれて、先生同士や保護者など、いろんな人に説教していく感じになるので、『全世代が納得する、子どもだけの世界線ではない内容』をテーマにしています」と“神説教”の対象も幅広いという。
パワハラやコンプライアンスなどの意識の高まりから、さまざまな場面で「言いたいことが言えない」「部下を怒ることができない」といった状況も増えている。今回のテーマで「学校」を舞台に選んだ理由を聞かれると、「子どもがいる人たちから話を聞いていると、今の学校は先生が生徒(のこと)にあまり触れられないというか、『私たちの時代とは違うよね』と話題にあがってきました。今は本当に、何かちょっと言うとパワハラとか、上にいる人が叩かれる時代。部下や若手は言いたいことが言えて上司に噛み付くけど、上司が何か言うだけですぐ叩かれるので、『もう怒らない方がいい』『優しく接する』となってしまう。学校という場は、それを象徴していると思いました」と説明。「昔の学園ドラマは先生が生徒に怒って、熱血とされていた。このドラマは、静は教師をやりたくないし、怒りたくもないし、問題も起こしたくない。けど、仕方なく『やらないといけない状況』に陥る。そこか学園ドラマであればいろいろなフックになって面白いかなと思い、オークラさんと一緒に考えました」と語った。
静は過去のある出来事がきっかけでニート生活を送り、高校教師として社会復帰した役どころ。物静かで自分の考えを表には出さないが、実は負けず嫌いで心の中には言葉があふれている。静役に広瀬を起用した理由について藤森氏は、「広瀬さんにはあまり暗い役のイメージがなく、いつも明るくて笑顔な役が多い中で、この作品で何か新しい広瀬さんが見られるのではないかと思いました。自分の意志を持っている方なので、静ととても合っている感じがしてオファーさせていただきました」と説明。「広瀬さんとは、『いつも演じているような、“キレイなお姉さん”という感じを封印しよう』と話して、前髪も結構重い感じで、お化粧もほぼしないという、“等身大の20代後半”の設定にしました。暗い役の中にも、『意志がある』という部分をぜひとも演じていただけたらなと思っています」と期待した。
“神説教”する静は威勢よく相手を論破する一方で、事前に説教の内容を検索してまとめ、スマートフォンにメモしている。劇中ではスマホの検索画面や、検索結果などが効果的に使われている。こうした演出について藤森氏は、「学園もののドラマでは、先生は意外と普通にさらっと説教しますよね。だけど『先生も人間だから、そんな良いことを、調べずには言えないよね』というところから始まりました」と、“等身大の先生像”を想像したという。「我々も何かを言う時や、プレゼンする時、事前に調べるじゃないですか。だから先生だって、生徒の前で話す時に『こういうこと言おう』『ああいうこと言おう』といろいろ考えてやっているだろうと。そこから、こういう設定になりました。先生も、適当にその場しのぎではなかなか話せないと思うので、何かそういう、“先生の人間らしさ”というか、『先生だって偉くないから』というところが、皆さんに伝わればいいなと思います」とこだわりを語った。
26日放送の第3話については、「第2話の最後で、伊藤淳史さん演じる森口櫂先生がちょっと豹変しました。そこから学校自体もひとつの大きな波に飲み込まれて、いろんなことが起きるので、楽しみにしていただけたらなと思います。また、第3話のラストに『え、そういうことになっちゃうの?』という驚きが待っているので、最後まで見ていただければと思います」と見どころを語った。
