【マリーゴールド】「悔しくて仕方ない」…18歳のスーパールーキー・山岡聖怜がデビュー前から意識する選手とは?
18歳の「スーパールーキー」山岡聖怜には、実はデビュー前から「意識しまくっていた」選手がいた。それはマリーゴールドの選手ではない、マーベラスの暁千華その人だ。3.30後楽園ホール大会でツインスター王座を賭けて戦った二人は、お互い「ライバル」と明言している。他団体、しかも格闘技経験のない暁に対し、スーパールーキーはなぜジェラシーを感じたのか。

高橋奈七永には全力でプロレスに取り組んでいる気持ちを伝えたかった
18歳の「スーパールーキー」山岡聖怜には、実はデビュー前から「意識しまくっていた」選手がいた。それはマリーゴールドの選手ではない、マーベラスの暁千華その人だ。3.30後楽園ホール大会でツインスター王座を賭けて戦った二人は、お互い「ライバル」と明言している。他団体、しかも格闘技経験のない暁に対し、スーパールーキーはなぜジェラシーを感じたのか。(取材・文=橋場了吾)
1.3大田区大会でデビューした山岡聖怜は、わずか2週間後の1.19後楽園ホール大会でボジラ&タンク組に勝利し、ツインスター王座を獲得した。パートナーは5.24代々木で引退することを表明している高橋奈七永。「パッション」を掲げる高橋が、最後のパートナーに山岡を指名、「パッション親子」として防衛を重ねている。
「あの試合は、途中で肩が外れちゃったんです。もともと脱臼癖はあるので……でもどうしても勝ちたいという思いで、ジャーマンが崩れたあとに体ごと覆いかぶさって。もしジャーマンが崩れたときはもう1回投げろと言われていたんですが、もう1回行く勇気がなくて強引に抑え込んで……でも奈七永さんは褒めてくれました、それでいいんだって。あれはレスリングの技術で、とっさに出たものです」
その高橋とは4.14新宿FACE大会で初対決、前歯が吹っ飛ぶほどの強烈な張り手を食らった山岡が、高橋にもしっかりお返しをしてみせた。高橋のパートナーは、2005年に引退後に数試合しか行っていない中西百重。かつて全日本女子プロレスで「ナナモモ」として活躍していた名タッグのラストマッチに、ビクトリア弓月と組んで対戦した。
「(対角にいる高橋は)全然違いました。とにかく『ぶっ倒したい』という気持ちを伝えたかったです。全力でプロレスに取り組んでいる、この気持ちを伝えたかった。パートナーとして横に立つなら、絶対対戦はしないとだめだと思っていましたし、これが最後なのかと思うと泣いちゃいましたね。思わず(バックステージで)『今日が最後じゃありません』って言っちゃいましたもん(笑)。あと百重さんと戦うことは、本当に貴重なことで……レベチなお母さんでした(笑)。本当に勉強になるというか、現役選手よりすごいんじゃないかというレベルで……でも、頑張れば百重さんのようになれるというか、努力すればああいう選手になれるのかなと思わせてくれた試合でもありました」
※中西は4人のお子さんの母親でもある。
4.14パッション興行でタッグを組んだスーパーフライ王者・ビクトリア弓月。ツインスター王座を賭けた試合では、山岡が弓月にフォール勝ちしているが、山岡自身は弓月のレベルに到達していないと考えている。弓月は、デビューしたての山岡についてこんなことを言っていた。
「『スーパールーキー』って言われているのはもちろん知っていて、『ああ、そうなんだ』くらいの感覚でいたんですけど、いざタッグを組んでみたら面白いなと。またタッグを組んでみたいと思わせるような選手でしたね。戦ってみると気持ちがすごく強くて、レスリングのベースもあるので新人とは思えない感じはありました。もっともっとバチバチやり合いたいですね。私は若い世代でこれからのマリーゴールドを作り上げていきたいなという思いがあるので、一緒に未来を明るくしていきたいです」
これに対して山岡は……。
「めちゃくちゃ運動神経がいい人ってなかなかいないと思うんですけど、それが弓月さんなんですよ。だから負けたくないんですよね。弓月さんに負けたくないから、努力している部分は正直あります」

暁千華との対戦で自分に足りない部分を知って悔しかった
インタビュー前編で山岡が語っていた「絶対に負けたくない選手」。それはマーベラスの暁千華だった。3.30後楽園ホール大会のセミファイナル、パッション親子の持つツインスター王座に挑戦したのは、マーベラスのエース彩羽匠とデビュー半年の暁のタッグだった。この試合で暁のポテンシャルが大爆発、山岡はもともとライバル視していた暁をさらに意識するようになった。
「私がデビューする少し前に彼女(暁)はデビューしていたじゃないですか。言葉は悪いかもしれないですけど、鼻につくぐらいすごい選手ですよ(笑)。華やかなコスチュームを着ているわけでもない、格闘技経験があるわけでもない、でもオーラが違う。もう、見ているだけで悔しいんですよ。実際に会う前から、勝手に絶対負けたくないと思っていました。海外で試合して体格もいい、不思議なオーラがあって年も近い……本当悔しいなあと思いながら筋トレを頑張りました(笑)。
あとはマーベラスには、彩芽蒼空もいますよね。彩芽にも悔しい思いを抱いてしまうのは、暁がそばにいるからなんです。絶対成長できますもん。私、暁がいなければ天狗になっていたと思います。(3.30後楽園の)あの試合は、今までにない感情になっちゃって。暁は対抗戦とは何かが分かって立ち向かって来たんですよ。でも私は分かっていなかったのかもしれない。そこが悔しくて、自分に足りないところを痛感しましたね。だからこそ、いつかシングルで対戦したいと思っています」
山岡はジュリアに憧れてプロレスラーになったことは、前編でも紹介したが、今後はどのようなプロレスラーになりたいと思っているのだろうか。
「ジュリアさんが目標ではなく、ジュリアさんを超えたい。ジュリアさんの前には、超える自信のある状態で戦いたいです。そのためにも、今戦うのではなく、努力し続けて戦えるときに。そして、女子プロレス界だけでなく、プロレス界全体を引っ張っていく存在になりたいと思っています」
