米騒動で急浮上、ネットで物議の“アメリカ米” 日本の元料理人が絶賛するワケ「おすすめ」調理法とは
全国的な米不足と価格高騰が深刻化する中で、“アメリカ米”がにわかに注目を集めている。トランプ政権との日米関税交渉を巡り、日本政府内で米国産米の輸入拡大案が急浮上。賛否の物議を醸しているのだ。日本人の主食であるお米に関する議論は尽きないが、SNS上では、米国産米を買ってみた・食べてみたという報告が相次ぎ、「これは普通に美味しい」と、味を受け入れる声も上がっている。米国産米の浸透を歓迎しているという元料理人に本音を聞いた。

カリフォルニア産のカルローズ米、試してみる人が続出
全国的な米不足と価格高騰が深刻化する中で、“アメリカ米”がにわかに注目を集めている。トランプ政権との日米関税交渉を巡り、日本政府内で米国産米の輸入拡大案が急浮上。賛否の物議を醸しているのだ。日本人の主食であるお米に関する議論は尽きないが、SNS上では、米国産米を買ってみた・食べてみたという報告が相次ぎ、「これは普通に美味しい」と、味を受け入れる声も上がっている。米国産米の浸透を歓迎しているという元料理人に本音を聞いた。
「米不足のおかげでカルローズが世の中に浸透してきて嬉しい。
しかし日本米と同じつもりで炊くと粘り気が全然違うのでその辺りしっかり説明して売らないと…
粘りが少ないのでリゾットにおすすめです。
昔リゾット用にわざわざ注文してました。
しかし安くなったな…#カルローズ」
カリフォルニア産の品種「カルローズ」について意見をつづったのは、30代のふじふじい(@y1124f)さんだ。ふじふじいさんが店頭で見つけたのは、5キロで税抜き3199円のカルローズ米だ。
調理師専門学校を卒業後、飲食業に就職。2012年夏、3か月の期間で、米国オレゴン州ポートランド周辺でイタリア料理店を中心にさまざまな飲食店を見て回ったという。「食べ歩きをしていない時は小遣い程度に屋台で唐揚げ弁当や親子丼を売る傍ら、友人宅に赴きイタリアンのフルコースのケータリングサービスなどをしていました」。
日本に帰国後は、都内の高級イタリア料理店に勤め、「現在は飲食業とはかけ離れた医療系のエンジニアをしています」という。
日本米に比べると、粘り気が少ないというカルローズ米。ふじふじいさんが注目している調理法は、リゾットだ。「帰国後、飲食業の第一線からは退いたものの副業としては続けていたのですが、その時、2016年当時に、卸業者さんからリゾット用にと紹介されたのがカルローズでした。当時勤めていたイタリア料理店でもやはりリゾット用に炊いて使っていましたが、個人的にも使い勝手がいいと感じていたのでプライベートでリゾットを炊く時はカルローズを使っています。ただ、食味については私は米としてではなく、あくまでもリゾットのベースとして愛用しているので比較はできません」。リゾットへの相性が抜群であることを強調する。
おすすめの食べ方は「みじん切りの玉ねぎとブイヨンでバターライス」
“令和の米騒動”によって、日本の食卓に訪れた変化。スーパーなどの店頭で売られているカルローズ米に初めてトライした人も多く、SNS上では「とうとううちの食卓にも。少し安かったらしい」「日本のお米とたいして変わらない美味しさでした」「カルローズ米って結構美味しいよ」「備蓄米よりカルローズ米のほうが安い もっと輸入して」「他より安かったのでカルローズ米に手を出してしまった…」「外国米はまずいという先入観は、ただの偏見でした」など、味や価格に関する率直な感想が続々寄せられている。一方で、「やっぱり国産米」「いつか食べる日が来るんかな~」などの多様な意見が上がっている。
ふじふじいさんは「カルローズは日本米に近い食感で、特に硬めのご飯をよく食べる人は違和感なく食べられると思います。おすすめの食べ方はみじん切りの玉ねぎとブイヨンでバターライスにして小分けでストックすることです。アルデンテに炊いた状態で、蒸れないようにしっかり冷ましてから小分けにすると、カルローズの特徴である粒状の食感を損なわずにいただけます」と、プロならではの食べ方を紹介する。その際の注意点として「普通のお米を炊く時より玉ねぎの分だけ減らした水分量で早炊きで炊くことです。こうすることでアルデンテになります」と教えてくれた。
ここに来て米国産米の輸入拡大案のニュースが飛び出すなど、令和のコメ事情は不透明さが増している。
ふじふじいさんには思うことがあるといい、「米不足についてですが、正直に申し上げて、これと言った理由が思い当たりません。強いて言うなら、綱渡りの減反政策によって、減る生産者と増える流通のバランスの面で、過大な負荷に耐えられなかったのではないかと思います。今は長い目で見る時期かなと個人的には感じています」と、米不足の現状を分析。
そのうえで、「外国米の流通は単純に物理的な問題だと受け止めています。関税問題はあるとしても、日本米が高ければ安価な代替品に取って代わられるのは自然な流れですし、それでも日本米を好む人は食べればいい。嗜好品的な位置付けになるのではないでしょうか。あくまでも流通が落ち着くまでの一時的なものですが。日本人の米に対する視野が広がるいい機会だとも思っていますし、その結果日本米に戻ってくれれば、なおいいのではないでしょうか」との見解を示している。
