向井理、自身の軍師はマネジャー 今年4月に独立…俳優として「決めつけないことが大切」

俳優・向井理の主演映画『パリピ孔明 THE MOVIE』(渋江修平監督)が4月25日に公開される。2023年の連続ドラマに続き、現代に転生した三国時代の名軍師・諸葛孔明を演じ、アマチュアシンガー・月見英子(上白石萌歌)の軍師となって彼女を成功に導く設定だ。劇場版は6000人の観客を前に圧巻の音楽バトルフェスを繰り広げるなど、スケールアップ。“天才軍師”に作品の見どころを聞いた。

『パリピ孔明 THE MOVIE』でふたたび諸葛孔明を演じた向井理【写真:増田美咲】
『パリピ孔明 THE MOVIE』でふたたび諸葛孔明を演じた向井理【写真:増田美咲】

主演映画『パリピ孔明 THE MOVIE』の見どころを紹介

 俳優・向井理の主演映画『パリピ孔明 THE MOVIE』(渋江修平監督)が4月25日に公開される。2023年の連続ドラマに続き、現代に転生した三国時代の名軍師・諸葛孔明を演じ、アマチュアシンガー・月見英子(上白石萌歌)の軍師となって彼女を成功に導く設定だ。劇場版は6000人の観客を前に圧巻の音楽バトルフェスを繰り広げるなど、スケールアップ。“天才軍師”に作品の見どころを聞いた。(取材・文=福嶋剛)

 本作は累計発行部数250万部を超える人気コミックが原作。向井は23年の連ドラの時にENCOUNT(23年9月掲載)の取材に応じ「なんで、僕に話が来たのか」と孔明役に戸惑いを語っていたが、普段触れ合う機会のないアーティストとの共演に「とても新鮮でした」と刺激を受けていた。ドラマがスタートするとSNSでトレンド入りするなど反響も大きく、向井の新たな一面が開花。劇場版に際し、まずは役について再び聞いてみた。

「孔明役が僕に合っているかどうかは見て下さった方が決めることですが、やっぱり『パリピ孔明』というタイトルと登場キャラクターのビジュアルが強烈なのでドラマの反響は大きかったです。普段あまり感想を聞かない業界の関係者からも好意的な意見をいただき、知り合いのアーティストからは『私も出たい』って言われて、うれしかったですね」

 劇場版の話が出たのはドラマの放送中といい、当時の思いを率直に明かした。

「撮影後にドラマの放送が始まりました。(上白石)萌歌さんと都内でPRイベントに出演した時、プロデューサーから『劇場版を作ります』と発表がありました。萌歌さんや森山(未來)くんをはじめ共演者の方々とは非常に良い関係でしたし、スタッフにも恵まれ、現場は音楽愛にあふれていたので『次はこのチームで映画を作れる』と思いワクワクしました」

 本作の撮影を前に久しぶりに孔明の衣装に袖を通すと一瞬で感覚が戻ったという。

「沁みついていたものがあったのでしょうね。クランクイン前にはメイクをいろいろと試し、衣装も何度もフィッティングを繰り返して本番に臨んだので、メイクさん、衣装さんのこだわりが今回のキャラクターに詰め込まれています」

 劇場版の舞台は音楽バトルフェスで、本格的なライブシーンは大いに注目される。撮影は大型のコンサート会場で行われた。

「昨年の8月に『パリピ孔明のイベントをやります』と言って6000人のお客さんを集めて撮影しました。お客さんは本物のフェスだと思って会場に足を運んでくれたのですが、孔明に扮した僕が最初にあいさつをするタイミングで『実はこのイベントを映画化するので今日は撮影なんです』と真実を明かすと観客の皆さんは驚いていました。まさにリアルな現場での『孔明の計略』ですね(笑)」

 実はその日、向井にも“サプライズ”が仕掛けられていた。

「台本には、ドラマにも出演したアーティスト以外の出演者は書かれていなかったんです。僕も誰が出てくるのか全く知らないまま『次はこのアーティストです!』と言って進行しました。すると(水森かおり、アバンギャルディ、KOMOREBI、&TEAM、岩田剛典ら)次々に豪華アーティストが登場してきて、驚きましたね。これだけのアーティストがそろうフェスを1日で撮り切ることができるのかなって思いました」

 会場には10台以上のカメラが配置された。限られた時間内に撮影を終わらせなくてはいけないというスタッフの緊張を目の当たりにした向井は現場での撮影を終えると、自ら小型カメラを持ち、公式TikTok用の撮影に名乗り出て、精力的に動いた。

「プロデューサーもすごいテンションでしたし、スタッフ全員が走り回っていました。僕もそうでしたが、まるで部活みたいな現場でした(笑)」

今年4月から個人事務所で新たなスタートを切った向井【写真:増田美咲】
今年4月から個人事務所で新たなスタートを切った向井【写真:増田美咲】

俳優として重んじる「事前準備と経験則」

 そんな向井について、上白石はENCOUNTのインタビューで、カメラの回っていないところでの気配りや立ち居振る舞いを見て「向井さんこそ本物の軍師だ」と称賛していた。そのことを本人に直撃すると照れくさそうに答えた。

「本作は、ステージの上に立つ人たちが気持ちよくパフォーマンスできることが、作品のクオリティーに直結すると考えました。出演してくださるアーティストの気持ちを想像すると、きっといつもと違う現場に緊張したり、戸惑うこともあるだろうなって思い、アウェーを感じさせないように動くことが、僕の役割だと思いました」

 走り回ると言えば、孔明がUber Eatsのリュックを背負い、自転車で疾走する姿はなかなかのインパクトだ。これには向井も笑顔を見せ「大変でした」と振り返った。

「監督から『とにかく全力疾走でお願いします!』と言われて、重たい衣装を着て全力で自転車を漕ぎました。結構、何テイクも撮ったんですよ。そしたら翌日、舞台の仕事があって、足腰に筋肉痛を抱えたまま階段を上り下りするシーンはきつかったですね(笑)」

 孔明役の好演ほか硬軟自在な演技を見せ、40代の実力派俳優の一人である向井。ちなみに、孔明と共通するところを聞くと「事前準備と経験則を大事にするところでしょうか。ただそれに頼り過ぎると面白味がなくなってしまうので、さまざまな角度から物事を見るように心がけています。キャラクターを演じる上で“決めつけないこと”は大切だと思います」と持論を述べた。

 一方、向井にとって2025年は大きな変化の年となった。これまで所属していたプロダクションの業務終了に伴い、4月から個人事務所で新たなスタートを切った。そんな向井にとっての軍師は誰かと聞くと「10年くらい一緒にいるマネジャーですかね」と答え、ゼロからの出発に気を引き締めた。

 最後に作品の魅力について改めて聞くと、「僕にとって『パリピ孔明 THE MOVIE』は、映画を超えたドキュメンタリーです。ぜひ劇場の大きなスクリーンで体感してください」と自信を見せていた。

□向井理(むかい・おさむ)1982年2月7日生まれ、神奈川県出身。スカウトをきっかけに芸能界入り。2006年にTBS系『白夜行』で俳優デビュー。09年10月期の日本テレビ系『傍聴マニア09 裁判長!ここは懲役4年でどうすか』でテレビドラマ初主演。翌10年、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』でヒロインの夫・村井茂役を演じる。11年に大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』で徳川秀忠役を演じ、同年『僕たちは世界を変えることができない。』で映画初主演。その他、主な出演作は映画『信長協奏曲』 (16)、『ザ・ファブル』(19)ほか、ドラマは『着飾る恋には理由があって』(21/TBS)、『華麗なる一族』(21/WOWOW)など。

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