『べらぼう』源内、衝撃ラストの“裏設定” 演出が狙いを解説「一番大事だったのは」

俳優の横浜流星が蔦重こと主人公・蔦屋重三郎を演じるNHKの大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)の第16回が20日に放送され、平賀源内(安田顕)をめぐる衝撃的な結末が描かれた。演出を担当した同作のチーフ演出・大原拓氏が取材に応じ、源内のラストシーンと裏設定について語った。

平賀源内を演じる安田顕【写真:(C)NHK】
平賀源内を演じる安田顕【写真:(C)NHK】

第16回の演出を担当した大原拓氏「彼の生きる目標は意次の信頼」

 俳優の横浜流星が蔦重こと主人公・蔦屋重三郎を演じるNHKの大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)の第16回が20日に放送され、平賀源内(安田顕)をめぐる衝撃的な結末が描かれた。演出を担当した同作のチーフ演出・大原拓氏が取材に応じ、源内のラストシーンと裏設定について語った。

(※以下、ドラマの内容に関する記述があります)

 第16回では、次期将軍が期待された徳川家基(奥智哉)が急逝した事件は、確固たる証拠を得ぬまま幕引きに。老中・田沼意次(渡辺謙)は、源内にこれ以上の詮索は控えるよう告げると、源内は激怒。その後、意次らのもとに「源内が人を斬った」という知らせが入る。蔦重は須原屋市兵衛(里見浩太朗)と共に意次に源内の潔白を訴えたものの、源内が獄死したことが伝えられるのだった。

 今作の源内は早口でユーモアにあふれた姿が印象的で、視聴者からも愛されるキャラクターだった。そんな早口セリフは大原氏からのオーダーだったが、あくまで「安田さんに自由にやってもらいたい」と考えていたそうで、「適当というのは『いい加減』という部分と、『適している』部分の両面で話しているんですけど、それを立体的に表現してくれていました」と早口がベースにありながら、源内の人間的な魅力も感じさせる安田の演技を称賛した。

 また、第16回で牢獄に入れられた源内が意次と面会する様子も描かれた。自らの状況に涙を流す源内の手を握った意次は、事件の真相を究明しようとする。しかし、嫡男・意知(宮沢氷魚)から止められるのだった。

 意次と源内のやり取りについて、大原氏は「源内に対する意次の思い、そこにすがるしかない源内をどういうふうに表現できるのか」がテーマにあったと明かし、「安田さんとも話したんですけど、一番大事だったのは意次と触れたことによって(正気に戻り)再び源内になるんですよね。彼の生きる目標は意次の信頼であり、意次のためという部分があったので、それを取り戻したいと思うきっかけになる場面にしたかった」と演出の狙いを説明。

 続くシーンでは、牢獄の寒さに震えながらも落ち着きを取り戻した源内が「乾坤(あめつち)の手をちぢめたる氷かな」と辞世の句を詠む様子も描かれた。大原氏は「下唇をちょっと出して考えを巡らせてやる気に満ちている、そういう源内の顔に戻っていることが重要でした」と解説し、「裏設定ですけど、意次と会ってひと月くらいたっていることになっています」と髪とひげも伸びた源内の変化についても明かした。

 辞世の句を詠んだ直後には、白湯の入った盃を映したカットが入れられた。この白湯は「毒入りなのか、毒入りじゃないのか。源内にとってぬくもりなのか、ぬくもりじゃないのかという意味合いで置いています」と説明した上で、源内が亡くなる直接的な描写がなかったことは「白湯を視聴者の方がどういうふうに捉えるとより物語が膨らむのかなといった思いも含めて、むくろを映さない表現になっています」と源内のラストシーンについて補足した。

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