バイクに続き小型船舶免許も取得 元乃木坂46の“アウトドア派俳優”・樋口日奈が先輩から受け取った金言

元乃木坂46で俳優の樋口日奈がWEBショートドラマ『初風のきせき』(白川大監督、3月21日よりスズキ国内二輪公式TikTok/YouTubeで配信中)に主演し、バイクに魅了される大学生を演じている。全9話で合計約20分という短い時間に、くるくる変わる多彩な表情で感情を詰め込んだ。樋口自身も2021年にバイクの免許を取ったアウトドア派。アクティブな活動も人生の原動力にしてきた。

得意のバイクも「初風のきせき」の中で披露した樋口日奈【写真:増田美咲】
得意のバイクも「初風のきせき」の中で披露した樋口日奈【写真:増田美咲】

スズキショートドラマ『初風のきせき』でバイクに魅了される大学生役

 元乃木坂46で俳優の樋口日奈がWEBショートドラマ『初風のきせき』(白川大監督、3月21日よりスズキ国内二輪公式TikTok/YouTubeで配信中)に主演し、バイクに魅了される大学生を演じている。全9話で合計約20分という短い時間に、くるくる変わる多彩な表情で感情を詰め込んだ。樋口自身も2021年にバイクの免許を取ったアウトドア派。アクティブな活動も人生の原動力にしてきた。(取材・文=大宮高史)

『初風のきせき』(スズキ制作)は、就職活動に苦戦する大学生の鈴木咲奈(樋口)が主人公。やりたいことが見つからず、不採用通知を受け取るばかりだった咲奈はバイクで世界一周を夢見る楓(平美乃里)と出会って、人生の新しい道に進んでいくという物語。2022年10月に乃木坂46を卒業した樋口は、劇中でバイクに惹かれていく咲奈と同様、2021年のアイドル時代にバイク免許を取得していた。

「ドラマで見た矢沢永吉さんとか、バイクに乗っている人って格好よくて憧れていました。家族の中でも私が初めて(バイクの)免許を持ったので、未知の世界に入るような興奮がありました」

“バイクテクニック”は、2022年の生配信のインターネット番組『乃木坂46時間TV』で披露したことがあったが、ドラマの中でマシンを駆るのは初めてだった。

「免許を取ったのはシンプルに私が乗ってみたかったからです。しばらくして、46時間TVで各メンバーに10分間で自分のことをプロデュースするコーナーがありました。グループの中でバイクに乗れるのは私だけだったので、『よし、乗ろう!』と即決しました」

 バイクに関しては乃木坂46のメンバーには「『乗りたいな』と軽く話していたくらい」だったため、免許取得の際は「『もう取ったの!』と驚かれました」。こんな風に、思い立ったら即行動に移す性格だと自認する樋口は、実は、1級小型船舶免許も取得したと明かす。

「一人旅も好きだし、自力でどんな所にも行ける人になりたいです。学科試験からたくさん勉強しましたが、初心者だからこそ知りたい欲求がみなぎっていました。仕事でもプライベートでも、物怖じしないでまずはやってみると、さまざまな楽しさや自分の強みが見えてくると実感しています」

ドラマ同様にアクティブ派だ。今作では咲奈の母・早智子(片岡京子)と一緒にいるシーンも多く、母と娘ならではの感情のやりとりは、自然体で演じられたという。

「白川大監督から『母と娘でもあるけど、人生の戦友同士のような空気感で』とコンセプトを聞いて、片岡さんとは作りこまないでお芝居ができました。2人で語り合っているシーンは、ほぼアドリブといいますか、セリフも決まっていなくてその場で生まれた会話なんです」とエピソードを披露。続けて、「私も咲奈ちゃんのように何かきっかけがあると突き進む性格なので(笑)、母からの『やりたいこともやるべきことも、どっちも頑張っちゃえば?』のセリフやバイク談義は自分の本心を見透かれているようで刺さりました。思えば幼少期から『(バイクの)ヘルメットを脱いだ時に髪が乱れるのって格好いいね』って実の母親と話していたりました。母娘の空気感まで咲奈ちゃんと似ているのかも」と笑顔を見せた。

リフレッシュの方法についても明かした【写真:増田美咲】
リフレッシュの方法についても明かした【写真:増田美咲】

母娘役で共演、先輩俳優からの言葉で強くなれた

 2022年10月に乃木坂46を卒業。その後は俳優業に励み、印象に残る役を次々と演じている。ドラマ『かりあげクン』(2023年/BS松竹東急)では昭和の牧歌的な雰囲気の会社で働く今どきの若手社員役を、同じくドラマ『湯遊ワンダーランド』(23年/テレビ大阪)では原色のウィッグをかぶってサウナを楽しむ女子を演じた。今年冬のミニドラマ「愛のゲキジョー『ノロイヲアゲル』」(テレビ東京)では廃校になった母校を舞台に立て続けに起こるホラーな事件に遭遇するヒロイン役を好演した。毎回、全力で役と向き合ってきた中、先輩俳優からもらった忘れがたい言葉がある。

「有森也実さんと、舞台『フラガール』(2021年)、スペシャルドラマ『今野敏サスペンス-暁鐘-警視庁強力犯係 樋口顕』(22年)、と2作で母娘役でご一緒させていただきました。それがご縁で仲良くさせていただいて、ある時、しんどいことがあって有森さんに相談したら『嫌な思い出も人も、全部栄養にしちゃえばいいのよ』って仰ってくださいました。全部自分のお芝居の幅を広げる糧にしちゃえばいいんだって。大先輩からのこの一言で、役が上手くできない時でもポジティブに受け取っていこうと価値観が変わって、強くなれました」

 そんな樋口の日ごろのリフレッシュの源は、旅と読書だという。「小説も好きだし、ガイドブック『地球の歩き方』も読むのが好きなんです。地図を見て旅の計画を立てるだけで楽しいです。お芝居でアイデアに詰まってしまった時でも、本を1冊開くと違う世界に入っていけて刺激をくれます」と語る。そして、「また沖縄の離島に行ってみたいです。ドラマでバイクに乗って東京の夜風をたっぷり味わったので、今度はレンタルバイクで、何も考えないで自然の中を疾走してみようかな(笑)」とも。

 乗り物、一人旅、読書、出演作品…共通しているのは、どれも自身に新しい景色と経験をもたらしてくれること。悪路も颯爽と駆けるライダーのように、いつも前を向いている。

「今回、芝居相手が発する空気に寄り添い、流れに任せてみるのもいいなと感じました。自分のためだけに頑張るより、最近は『目の前の相手を尊重し、作品を見てくれる誰かのために』と考えた方が、気持ちよく演じることができると気づいたんです。作品を通して、見てくれた方の人生が少しでも明るく彩られるきっかけになれたらと願っています」

□樋口日奈(ひぐち・ひな) 1998年1月31日、東京都生まれ。2011年に乃木坂46の1期生オーディションに合格。21年1月にフジテレビ系新春ドラマスペシャル『教場II』でゴールデン帯ドラマに初出演。22年10月、乃木坂46を卒業。23年にBS松竹東急『かりあげクン』でグループ卒業後、初の連続ドラマレギュラー出演。その後も多くのドラマや舞台に出演。今年は、4月26日より配信開始のHuluオリジナル『おとなになっても』への出演や、5月より大阪・東京で上演される劇団☆新感線45周年興行『紅鬼物語』にも出演する。161センチ。

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