Ado、Number_iら大物をサポートするメンバーも 4人組ロックバンド・FIVE NEW OLD、波乱の15年「ピークはこれから」

今年結成15周年を迎えた4人組ロックバンド・FIVE NEW OLDが3月19日に初のベストアルバム『FiNO is』をリリースした。ライブ定番曲のセルフカバーなど全19曲を収録したファン垂ぜんの作品に。2017年にメジャーデビュー。ボーカル・HIROSHIの卓越した歌唱力に加え、ロック、R&B、ファンク、EDMなど幅広い音楽性は持ち味で、近年はアジア各国にも進出し注目されている。そこで、15周年を記念した6月から始まる全国15か所のワンマンツアーを前にメンバーのHIROSHI(ボーカル・ギター)、WATARU(ギター・キーボード)、SHUN(ベース)、HAYATO(ドラムス、リーダー)にインタビューし、バンドの魅力を探った。

FIVE NEW OLD (左から)HIROSHI、HAYATO、WATARU、SHUN【写真:ENCOUNT編集部】
FIVE NEW OLD (左から)HIROSHI、HAYATO、WATARU、SHUN【写真:ENCOUNT編集部】

FIVE NEW OLDが6月から全国15か所で15周年記念のワンマンツアーを開催

 今年結成15周年を迎えた4人組ロックバンド・FIVE NEW OLDが3月19日に初のベストアルバム『FiNO is』をリリースした。ライブ定番曲のセルフカバーなど全19曲を収録したファン垂ぜんの作品に。2017年にメジャーデビュー。ボーカル・HIROSHIの卓越した歌唱力に加え、ロック、R&B、ファンク、EDMなど幅広い音楽性は持ち味で、近年はアジア各国にも進出し注目されている。そこで、15周年を記念した6月から始まる全国15か所のワンマンツアーを前にメンバーのHIROSHI(ボーカル・ギター)、WATARU(ギター・キーボード)、SHUN(ベース)、HAYATO(ドラムス、リーダー)にインタビューし、バンドの魅力を探った。(取材・文=福嶋剛)

 バンドの結成は2010年、当時、大学生のHIROSHIとWATARU、そして別のバンドにいたHAYATOとの出会いから始まった。

HIROSHI「親が飲食店をやっていた関係で家にCDがたくさんあって、クラシックとかジャズとか子どもの頃から聴いていたんです。それでたどり着いたのがスティービー・ワンダーの『Isn’t she lovely(邦題:可愛いアイシャ)』でした。歌ってみたら音程は合っているんだけど英語の発音が全然ダメでカッコ悪かったんです。だから耳コピーで聴こえてくる言葉をカタカナに変換して何度も真似していたら今の歌い方なりました。その後、幼なじみだったWATARUと出会ってバンドを始めました」

WATARU「僕はハードロック好きだった親の影響で小学生の頃からディープ・パープルとかエアロスミスを聴いて育って、中学生になって日本のロックバンド・ASIAN KUNG-FU GENERATIONが好きになり、ギターを始めました。そしたら小学校で一緒だったHIROSHIと高校で再会してバンドを始めました。パワーポップと呼ばれるSum 41やニュー・ファウンド・グローリーをコピーしたり、パンクロックをやっていました」

HAYATO「僕は2人の4つ上で、中学の頃にゆず(フォークデュオ)に憧れて弾き語りをやっていました。高校3年の時、青春パンクみたいな曲を作って仲間とバンドを始めたら、なぜか僕はドラムで、『なんで?』って(笑)。まあでも意地を張って歌っていたらここにはいなかったので、あの頃のメンバーには感謝しています。それで対バンでHIROSHIとWATARUのバンドを見た時、僕がバンドでやりたかったことやっていたので嫉妬したんです。その後、うちのバンドが解散して、すぐにHIROSHIを誘ったら『WATARUも一緒だったらいいよ』と返事をもらい、初代のベースと4人でFIVE NEW OLDを作りました」

 初期の頃はパワーポップやメロコアと呼ばれるパンク路線で地元・神戸を起点にインディーシーンを盛り上げていった。すると、結成してすぐに大きなチャンスがやってきた。

HIROSHI「いつかアメリカのバンドと一緒にツアーを回るのが夢だったんですが、結成して1、2年経った時にオール・タイム・ロウっていうアメリカの有名なパンクバンドが来日して、僕たちが神戸のライブハウスの前座をやることになったんです。『こんなに早く夢が叶ってしまってどうしよう』って感じでしたけど、そこからが大変でした」

 念願がかないそのまま上昇するかに見えたが、今後の音楽的な方向性を模索していたHIROSHIは、納得いく曲がなかなか書けずに悩んでいた。そんな時に完成させた1曲が、その後を決定づける大きなターニングポイントになった。

HAYATO「今回のベスト盤にも収録した『Hole』という曲です」

HIROSHI「(当時)物足りなさを感じて、もっと音楽と向き合いたいという気持ちになった時、バイト先の書店の先輩がレディオヘッドを聴かせてくれたんです。『こういう繊細な音楽もやってみたい』『やるならバンドじゃないと意味がない』と思って曲を書きました。言葉で説明するより曲を聴いてもらい、感じて欲しいと思ってみんなに送りました」

HAYATO「僕たちがやれると思っていなかったソウルミュージックとかモータウン(米レコードレーベル)系のカッコいい曲でした。曲を聴いて感じ取れたのは『バンドと一緒に成長していきたい』というHIROSHIの思いでした」

WATARU「特定のジャンルや枠に収まらないで可能性を広げていく上で大きな分岐点だったと思います。俺たちが好きだったマルーン5(米ロックバンド)だってポップスと能性を広げていく上で大きな分岐点いう軸でいろんな音楽をやっているじゃないですか。そう考えたらあの曲で俺たちらしさを見つけられたし、ライブでもすごく反応がよかったんです」

HIROSHI「子どもの頃に聴いていたブラックミュージックがここにきてバンドのエッセンスになるなんて面白いなって思いました。これがきっかけで手売りのCDが飛ぶように売れて『このまま進めばいいんだ』って確信しました」

15周年を記念したツアーを6月1日の東京公演を皮切りに全国15か所で開催する【写真:ENCOUNT編集部】
15周年を記念したツアーを6月1日の東京公演を皮切りに全国15か所で開催する【写真:ENCOUNT編集部】

多くの人にこのバンドの良さを分かってもらいたい

 2017年にメジャーデビューのチャンスが到来し、翌18年にSHUNが2代目ベーシストとして参加した。SHUNはプレイヤーだけでなく、作家としても音楽シーンの第一線で活躍しており、Number_iやSUPER EIGHTへの楽曲提供を始め、GRe4N BOYZの編曲、AdoやSuperflyのベース演奏などその活動は多岐にわたる。

SHUN「僕はバンドに参加するまで、地元の札幌を拠点にしていました。GRe4N BOYZ(当時はGreeeeN)のHIDEさんとも知り合いで、ある日、『これからFIVE NEW OLDっていうバンドが出てくるから、チェックしといた方がいいよ』ってHIDEさんに教えてもらい、30歳で作家として上京したんですが、そのタイミングで彼らのスタッフから声がかかり、今に至ります」

HIROSHI「FIVE NEW OLDってロックシーンのど真ん中じゃないところに位置しているバンドで、そこは大切なんですけど、SHUNくんの得意な大衆性とか第三者としての視点が加わることで今までにない化学反応が必要だと思いました」

 バンドは大きく前進し、今年結成15周年の節目を迎えた。メンバーが今の心境を語った。

WATARU「バンドを15年も続けるって簡単なことじゃないなって思いました。最初は何も分からないまま出発して、苦労もたくさんありました。でもこの積み重ねがあったからこそ、やっと形になってきたのかなって、そんな感じです」

HAYATO「インディーズでデビューした時の追い風が一瞬で止まってしまい、先の見えない不安を感じましたが、7年後にまさかメジャーデビューできるなんて想像もしていませんでした。さらに15周年を迎えてベスト盤を出せるなんて本当に奇跡です。何よりこの4人でやれていることが一番です。でも僕たちのピークはこれからですから」

SHUN「やっぱり多くの人にこのバンドの良さを分かってもらいたいですし、音楽的にもFIVE NEW OLDがもっと評価されるように裏方としてもやっていきたいです」

HIROSHI「このメンバーとスタッフ、そしてファンのみなさんは、僕たちにとってかけがえのない存在です。そして僕たちの曲は、ファンのみなさんに育ててもらい、それがあっての15周年だと思っています。そんなファンのみなさんに感謝を込めて15周年記念のワンマンツアーを6月から全国15か所で開催します。今回のベスト盤のタイトル『FiNO is』は、みなさんにFIVE NEW OLDのいろんな面をもっと感じて欲しいという願いが込められています。ぜひライブで体感していただけるとうれしいです」

□FIVE NEW OLD(ファイブ・ニュー・オールド)2010年結成の4人組ロックバンド。17年6月、EP『BY YOUR SIDE EP』でメジャーデビュー。19年に初のアジアツアーを開催。23年7月にLINE CUBE SHIBUYAでワンマンライブを行った。バイリンガル・ボーカリストのHIROSHIの歌唱力やライブパフォーマンス、精度の高いサウンドで国内だけでなくアジア各国からも支持を得ている。バンドコンセプトは「ONE MORE DRIP」(日常にアロマオイルの様な彩りを)。2025年に結成15周年を迎え、記念ツアーを6月1日の東京・新代田FEVERから8月3日の大阪・心斎橋Music Club JANUSまで全国15か所で開催する。

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