【べらぼう】松平武元役の石坂浩二、“白長まつ毛”でハプニング「つけたら前が見えない」
俳優・石坂浩二が松平武元(たけちか)役で出演するNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)の取材会に出席し、役への思いや象徴的なまゆ毛のメイク、田沼意次役の渡辺謙との現場の様子などを語った。作品は18世紀半ばに江戸のメディア王として時代の寵児(ちょうじ)となった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)を軸に描く痛快エンターテインメント。

14年ぶり大河ドラマで松平武元役「絵師の役が来ると思っていた」
俳優・石坂浩二が松平武元(たけちか)役で出演するNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)の取材会に出席し、役への思いや象徴的なまゆ毛のメイク、田沼意次役の渡辺謙との現場の様子などを語った。作品は18世紀半ばに江戸のメディア王として時代の寵児(ちょうじ)となった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)を軸に描く痛快エンターテインメント。
大河ドラマの出演は2011年の『江~姫たちの戦国~』以来14年ぶり。オファーを受けた際の心境から尋ねた。
「昨年、蔦重が主人公の作品と聞き、大河ドラマでこの時代をやるのは初めてですし面白いと思っていましたが、残念ながら役が幕府の方でした(笑)。私は絵が描けるので絵師の役が来るかと思っていたので、がっかりしたところもあるんです(笑)」
武元をよく知らず、いろいろと調べたというが、どんな人物と捉えて演じたのか。
「3代にわたって将軍に仕えた人物で、次のお世継ぎになる人間に仕える老中ですが、戦がなく町民が潤っていた時代に彼がいる場所はつまりは保守の親分。そしてこの先も徳川を続けていこうという意味の最後の人かなと」
どう演じようと考えたのか。
「コテコテの徳川の感じを出したかったんです。家康が作った方程式を正しいと考え、それを継承していくのが自分の仕事だと考えていたと思います。そこに米本位から貨幣本位にすべきと言う田沼意次がいて、意次と相対するのですが、今ふうに手を使わない、あまり動かない、せりふも理屈で切らず昔ふうに流れで切れるように意識しました。つまりは何回も同じようなことを言っているような形。それを表現できればいいと思いました」
武元は白く長いまゆ毛が特徴的。どんな経緯で長いまゆ毛のメイクになったのか。
「台本を読んだら『あの白まゆ毛め』と言われるシーンあったんです。だったら、そう言われるぐらいのまゆ毛を、と思って演出の方と相談したんです。そこで大胆にやった方がいいという話になり、作ってもらいました。でも、頭のカツラもつけたふん装合わせでまゆ毛をつけたら前が見えないんです(笑)。すごく視野が狭かったので長かったまゆ毛を少しずつ切っていって完成した形です」
“白長まゆ毛”の感想や反響も気になる。
「最初の撮影は廊下を歩いただけでアップもなかったので、まゆ毛が長いことはまったく分かりませんでした。次の撮影で映像を見たら、ちょっと大げさかなと思いましたが、周りが『いい』と言うので、まあ、いいかと。共演者も1回目の撮影では誰も何も言わなかったのに、何回目かの時に『まゆ毛、そんなに長かったんですね』としみじみ言う人もいました(笑)。ファンからは『あのまゆ毛はちょっとやりすぎでは』という手紙も頂きました。ただ、私は、最初は目が見えないと言っていましたが、カツラと同じく段々自分の一部になっていき、不自然さがなくなっていったと感じました。何と言われようと気にならなくなりました。面白いと言ってくださる方も結構いました」
第6回では意次と対峙するシーンで武元が「一本取られた」という場面があったが、放送されなかった舞台裏も明かしてくれた。
「『一本取られたな』と言うシーンで、それまで全然触らなかったまゆ毛を1本抜いたんです。面白いからアップで撮りますと言われて撮ったのに放送されませんでした。まゆ毛1本損しました(笑)。ダジャレだからカットされたと思います」
対峙シーンの多かった意次役・渡辺謙との撮影の合間の様子も聞いてみた。
「ほとんど阪神タイガースのことしか話していません。私も阪神ファンですが、謙さんはすごい阪神ファンで、阪神が優勝した2023年には忙しい中、日本シリーズすべて球場で観戦したのを聞いてびっくりしました。私は慶応大の先輩で、カッコいいと思っていた別当薫さんが阪神に入団したのでその頃からずっと応援しています。撮影が始まった去年、阪神の話は嘆き節でした」
石坂にとって大河ドラマとはどんな存在かも聞いてみた。1965年『太閤記』で石田三成役、69年『天と地と』では主演を務め上杉謙信を演じた。今回は10作目の出演。
「目線の高さとか芝居のやり方などいろんなことを教わりました。撮影期間も長いので、その意味では留学したような気持ちです」
最後に今後の俳優人生をどう思い描いているのか聞いてみた。
「やはり歴史上の人物をやってみたいと思います。いろんな歴史上の人物の見直しといいますか、本の中でいい加減に書かれた話が、そのまま歴史上の正しい話のように伝わったという側面もあります。だから後にそれが覆されることもあります。その意味で謎に包まれているような、あまり取り上げられていない歴史上の人物にスポットをあてる際、その人物を演じてみたいとは思います」
