【あんぱん】北村匠海、役作りで自ら“飢え”状態に 食料乏しいシーン「経験しないと説得力生まれない」

俳優・北村匠海が、柳井嵩役で出演するNHK連続テレビ小説『あんぱん』(月~土曜午前8時)の取材会に出席し、演じる役への思いや撮影の様子などを明かした。作品は漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さんをモデルに、戦前から戦後の激動の時代を生き抜く夫婦が“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描いたオリジナル。ヒロイン・朝田のぶを今田美桜が務める。

柳井嵩を演じる北村匠海【写真:(C)NHK】
柳井嵩を演じる北村匠海【写真:(C)NHK】

撮影開始から半年 役への思いや現場の様子紹介

 俳優・北村匠海が、柳井嵩役で出演するNHK連続テレビ小説『あんぱん』(月~土曜午前8時)の取材会に出席し、演じる役への思いや撮影の様子などを明かした。作品は漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さんをモデルに、戦前から戦後の激動の時代を生き抜く夫婦が“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描いたオリジナル。ヒロイン・朝田のぶを今田美桜が務める。

 やなせさん夫妻をモデルに、のぶを主人公として描く作品。この設定でこれまで撮影して何か気づきなどはあっただろうか。

「撮影して半年になりますが戦地に行ったりして常にすれ違い続けている段階です。脚本を読み、のぶの視点で描いている部分、嵩の目線で描く部分もあって、一つだけじゃないのがこの夫婦の描き方だと思いました。2人の目線で進み、一つになった時に初めてのぶの目線で描かれていくのかなと考えています。嵩に支えられ、のぶも支える描かれ方がすごく温かいです。僕は今戦争シーンを長く撮影しているので、寂しいです(笑)。本当にじれったいぐらいすれ違っています」

 実質的にダブル主演のような構成に思えるが。

「やなせさんの奥さんの立て方というか奥さんのことを思うやなせさんの生き方を聞き、僕もその心は大事にしています。なので主演は今田美桜さんです」

 奥さんの立て方とは。

「やなせさんは暢さんと2人でいる時、果物の皮を暢さんのやり方でむいたそうです。やなせさんが過ごした高知では違うむき方があるそうですが、彼女が幸せそうに、笑顔で楽しそうにむくから同じむき方をしたそうです。そうした一歩ひく優しさ。やなせさんのそうした優しさが2人の在り方だったんだなと思っています。『あんぱん』という作品でも優しさを持ち、芝居から外れた時も、本当にやなせさんと暢さんに見えるといいなと、そういう優しい心を持って臨んでいます」

 一日中泣いているような撮影の日もあったという。

「いろんな山場が詰まった撮影の日があったんです。のぶと嵩にとって空き地が大事になっています。空き地では何かが起こると思ってかまいません(笑)。その日は涙腺が壊れた日でした」

 軍服を着て戦争パートに臨んだ感想も聞いた。

「戦争は悪だなと思いました。つらさがリアルに演じている僕ら全員に漂っていました。現場は明るく温かいですが、シーン自体はすべて重いです。芝居で感情を殺さないといけないし、姿勢さえ個性がなくなります。感情の芝居がなく箇条書きに書かれたようなことが毎日進んでいきます。大変でしたが、この時代だからこそ、しっかり描かないとならない。その機会を頂いたので身を粉にしてやっています」

 食料が乏しいシーンの役作りはストイックだった。

「役にアプローチするため絶食とか体重の増減はよくやるんです。今回は水も抜き8キロ走ってふろに入って汗を出し、乾パン1個のシーンに挑むことを毎日やったり。それでどう映るかというよりメンタリティーの問題。飢えを経験しないと説得力は生まれないと思うので。この先の柳井嵩を作り上げるいろんな要素が詰まっている戦争パートなので極力リアリティーを持って向き合おうと思いました」

 当然、絵を描くシーンもある。

「小学生の時から絵画教室に通い選択科目も全部美術で絵を描くことはすごくなじみのあること。学生時代はよく絵を描いていたので嵩と通じるものがあるかもしれません。だから何のレッスンもしてないです。ある意味運命的な役との出会いと感じました」

 嵩はのぶのどこが好きだと感じるのか。

「のぶは嵩ができない生き方をまっすぐにしています。のぶはずっと嵩の前を走り、歩いています。嵩の前を歩くのぶの道が光っているから、嵩もそこをたどって歩けた人生だと思います。だから初めて上京した時にふと、のぶを思ったり、自分の人生に足りない物を理解する時に初めてのぶを好きだと気付いたのかなと。人生は1人で生きるのは大変。誰かと手をつないで歩かないといけない瞬間はたくさんあって。でも嵩は誰かと手をつなぎたいけどかなわない人生が続いていて。誰かと手をつないで歩きたい嵩を、のぶは前にいるから気づけない。それがお互いに人生経験をへて横に並んだ時、この人が大切な人なんだと分かる物語だと思っています」

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