TBSからテレ東“朝の顔”になって10年 香坂みゆき、“相棒”薬丸裕英は「昔から真っすぐな方」

タレント・歌手の香坂みゆき(62)が還暦を過ぎ、なおも顕著な活躍を見せている。MCを務めるテレビ東京系情報番組『なないろ日和!』(月~金曜午前9時26分)は今年で11年目を迎え、すっかり“朝の顔”としてお茶の間に定着。一方で、歌手としては今月9日にアナログ盤LP『BEST OF CANTOS』をリリースした。3歳でモデルデビュー。その後、14歳で歌手デビューし、21歳の時、資生堂のCMソング『ニュアンスしましょ』を大ヒットさせた。俳優としてもドラマなどに出演し、多才ぶりを発揮する。私生活では2児の母でもあり、「今が一番楽しい」と60代を充実させる香坂がENCOUNTに人生についての“特別手記”を寄せた。

4月9日にアナログ盤LP『BEST OF CANTOS』をリリースした香坂みゆき【写真:藤岡雅樹】
4月9日にアナログ盤LP『BEST OF CANTOS』をリリースした香坂みゆき【写真:藤岡雅樹】

デビューから現在までの芸能生活47年を振り返る

 タレント・歌手の香坂みゆき(62)が還暦を過ぎ、なおも顕著な活躍を見せている。MCを務めるテレビ東京系情報番組『なないろ日和!』(月~金曜午前9時26分)は今年で11年目を迎え、すっかり“朝の顔”としてお茶の間に定着。一方で、歌手としては今月9日にアナログ盤LP『BEST OF CANTOS』をリリースした。3歳でモデルデビュー。その後、14歳で歌手デビューし、21歳の時、資生堂のCMソング『ニュアンスしましょ』を大ヒットさせた。俳優としてもドラマなどに出演し、多才ぶりを発揮する。私生活では2児の母でもあり、「今が一番楽しい」と60代を充実させる香坂がENCOUNTに人生についての“特別手記”を寄せた。(取材・文=福嶋剛)

 今年2月に62歳なりました。今の60代って昔と違って思い切り元気じゃないですか。子育てやら何やらで、1日を乗り切ることで精一杯だった40代、50代を過ぎて、60代でやっと自分の時間を持てるようになった――。きっと同じような方も多いんじゃないでしょうか。

 私は高齢出産だったので次男が成人を迎えた60歳を過ぎて、ようやく肩の荷が降りたという感じでした。生活環境も変わり、そのタイミングで事務所を独立しました。「これからは全て自分の好きなように時間を使っていこう」って思った瞬間、自由を感じましたね。その中で一番やりたいことは何かと考えた時、その答えが歌だったんです。やっぱり「好きな歌を歌いたい」って思いました。ずっと歌いたかったわけではなく、還暦を迎えて忙しさに紛れて忘れていたものが見つかった。そんな感じです。

 歌手デビューしたのが14歳。当時は鼻っ柱が強くて、大人の言うことを素直に「はい」と聞かず、いつも「何で?」って言っちゃう生意気な子でした。歌手としての方向性もアイドルからニューミュージック路線に変わっていきました。21歳の時、CMソングになった『ニュアンスしましょ』がヒットしてたくさんの方に知っていただきました。歌うことは好きでしたが、ちょうど、俳優として仕事が舞い込んできたり、やりたいことと求められていることがずれていき、20代で歌から遠のいてしまいました。

 でも今は昔と違い、自分でリスクを背負って歌えますし、SNSがあればお客さんも呼べるって思いました。40周年の時に1度、アコースティック編成でライブをやったんですが、45周年は思い切り自分がやりたいことをやろうと思って歌いました。何より、ファンの皆さんは今では社会で偉いポジションの人たちが多いと思いますが、ライブ会場では昔みたいにハチマキ巻いて大きな声援を送ってくれるんです。そして私の歌にみんな笑って泣いてくれて――。その光景を見て、「誰かを笑顔にできるっていいな」って私も幸せな気持ちになりました。

 4月9日にリリースしたアナログ盤LP『BEST OF CANTOS』は、28歳の時に作った3枚のカバーアルバム『Cantos』から私がセレクトした曲と最新曲『虹のひと部屋』(2022年)、そしてバンドメンバーとライブ感覚で新しくレコーディングし直した代表曲『ニュアンスしましょ』を収録しています。アナログレコードでの発売になるんですが、すごく音が良いんです! よかったらぜひ聴いていただけるとうれしいです。

 たぶん40代や50代の時より60代になってからの方が精力的に活動できているんじゃないかなって思います。もともと深く考えるタイプではありませんでしたが還暦を過ぎてからどうせあと20年くらいって考えたら「人生のカウントダウンが始まった」って開き直れたんです。「だったら動ける間にやりたいことをやらなくちゃ」って元気が出てきました。

「悔いの残らない毎日を過ごしたい」【写真:藤岡雅樹】
「悔いの残らない毎日を過ごしたい」【写真:藤岡雅樹】

30代後半から情報番組に出演

 お芝居の方は子どもの頃からやっていて、10代後半に自分の演技に迷いが生じました。そんな時、TBSのドラマ『青春諸君!』(1980年)で共演させていただいた古谷一行さんから「あんまり深く考え過ぎないで。そのまんまでいいんだから」ってアドバイスをいただき、モヤモヤしていた気持ちが晴れたことを今でも覚えています。その後、当時大ヒットしたTBS系ドラマ『金曜日の妻たちへII』(1984年)にも出演させていただき、役者としての仕事も一気に増えていきました。

 20代を過ぎて30代半ばになると長男が生まれて育児が始まりました。ドラマのお仕事との両立が難しくなり、オファーをいただいてもお断りするケースが増えてきました。そんな時、『情報番組に出てみないか』とオファーをいただき、30代後半から40代、50代とスタジオでのMCやコメンテーターのお仕事がメインになりました。

『なないろ日和!』は今年で11年目になります。同じMCの薬丸裕英さん(同番組の月~木曜担当)とは、『はなまるマーケット』(TBS系)でも5年くらい一緒で、長い間、共演させていただいています。隣で見ていて芸能人の中でも「薬丸さんほど真面目な人はいない」というくらい、昔から真っすぐな方です。でもみんなでお酒を飲む時はちょっと面白い人になるんですよ(笑)。

 朝の番組を始めてからは、平日は毎朝5時半に起きるのが日課です。8時にスタジオに入り、メイクをしたり、段取りを確認したり準備をしているうちにリハーサルが始まり、そのまま本番に突入するという毎日です。

 子育てが忙しかった頃は、息つく間もなく、当時がんで闘病中だった母の面倒も兄妹で見ていたので気持ちがいっぱいになりそうな時もありました。でも仕事場に入って「おはようございます!」って言った瞬間、気分が紛れたんです。だから両立って結構大事だなって思いました。今は2人の息子も大人になり、朝起きてのんびりコーヒーを飲む時間もできました。

 一方でお仕事を休んだことがないくらい根っから健康ではあるんですが、やっぱり体力の衰えは隠せないです。だから週に1回、健康クラブ的なシニア向けのパーソナルトレーニングで汗を流しています。

 趣味の書道も続けていて、私が書いた作品を今年2月に東京都美術館で開催された展覧会で飾っていただきました。私の先生は面白い方で「みゆきさんは作詞をしていたんだから歌詞を書いてみたら」とアドバイスをしてくださったんです。その助言通り、今年は自分の歌を書いてみました。

 本当に今は充実した時間を過ごしています。それに、シニアって得することだって多いと思うんですよね。この前、久しぶりに息子と映画館に行ったらシニア割があることを知って得した気分になりました。息子に「(浮いたお金で)ポップコーンが買えるじゃん!」って言ったら笑われましたけど。

 あと、思っているのは、会いたい人には「いつか会おうね」じゃなくて「来週はどう?」とか、ちゃんと予定を決めて会うということです。やっぱり悔いの残らない毎日を過ごしたいですもんね!

□香坂みゆき(こうさか・みゆき)1963年2月7日、神奈川・大和市出身。3歳でモデルをはじめ、12歳の時フジテレビ『欽ちゃんのドンとやってみよう!』のマスコットガールとしてお茶の間の人気者に。1977年に『愛の芽生え』で歌手デビュー。以後、俳優、タレントとしてテレビ、映画、舞台、CMなど幅広く活躍。趣味は書道。現在はテレビ東京『なないろ日和』のレギュラーMC(月~金曜)を務め、ラジオ日本『加藤裕介の横浜ポップJ』木曜パーソナリティーを担当している。私生活では2度の結婚と離婚を経験。二児の母。

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