今田美桜、朝ドラ主演に世界陸上アンバサダー…走り続ける今「やっぱり仕事が好き」
俳優の今田美桜が、9月13日に開幕する陸上世界選手権「東京2025世界陸上」のTBS世界陸上アンバサダーに就任した。中学時代は陸上部に所属し、スポーツにも縁のある今田にとって、初めてスポーツ中継のアンバサダーを務める。大役への意気込みとともに俳優としての目標や心構えを聞いた。

アンバサダー就任の反響は予想以上「より楽しみに」
俳優の今田美桜が、9月13日に開幕する陸上世界選手権「東京2025世界陸上」のTBS世界陸上アンバサダーに就任した。中学時代は陸上部に所属し、スポーツにも縁のある今田にとって、初めてスポーツ中継のアンバサダーを務める。大役への意気込みとともに俳優としての目標や心構えを聞いた。(取材・文=猪俣創平)
東京・赤坂にあるTBSの応接室。1997年から2022年までTBS系『世界陸上』のメインキャスターを務めた俳優・織田裕二が写る過去の大会ポスターが室内に掲げられる中、今田は爽やかな笑顔を見せ、明るく話し始めた。
「東京2025世界陸上」は、9月13日から21日までの9日間にわたって行われる。1991年以来、実に34年ぶりという記念すべき東京開催とあって、今田はアンバサダーのオファーに「正直、すごくびっくりしました」と大きな目を丸くした。
アンバサダー就任の発表後、「本当にいろんな方から連絡をもらいました。同級生や家族も、これだけ世界陸上を待ちわびているんだなとすごく実感して、私も頑張らなくちゃと思いましたし、より楽しみになりましたね」と予想以上の反響を受けて、気を引き締めたという。
そんな今田は中学時代、陸上部に所属していた。「皆さん、私にスポーツのイメージはないと思うんです」としながらも、今回の大役について「私と同世代の方や、女性の方で陸上を見る機会が少ない方も多いかもしれないので、そういう同性からの目線に立ちつつ、みんなで楽しめるような番組にできたらいいなと思っています。私をきっかけに、もし陸上を好きになってもらえる方がいたら、とても光栄です」と意気込みを口にした。
今大会では、「東京2025世界陸上スペシャルアンバサダー」となる織田と共に中継を盛り上げていく。織田とは、2018年にフジテレビ系連続ドラマ『SUITS/スーツ』で共演しており、「同じシーンはなかったのですが、メイクルームや控え室でお会いすることがありました。私は小さい時からずっとテレビで見ていた方なので緊張していたんですけど、すごく気さくに話してくださいました。今回、久しぶりにお会いできるのでとてもうれしいですね」と“再共演”に胸を躍らせた。
一方でアンバサダーという俳優以外の仕事とあって、「緊張します」と率直な思いも吐露。「バラエティー番組にお邪魔させていただく機会はありますけど、スポーツ番組は経験がないので、新たな世界だと思っています。でも経験がないからこそ、もしかしたら伝えられることもあるかもしれないので、盛り上げられたらとてもいいなと思っています」と前を向いた。

明かした目標「芸能界を目指した頃から変わりません」
2年に1度開催される世界陸上では、選手たちが世界一を決める究極の戦いが繰り広げられる。勝負の世界で生きるアスリートの姿に、今田は「種目にもよりますけど、選手の方は本番一度きりの勝負、数秒で結果が変わる世界だと思うので、その集中力と緊張感に向き合う姿を尊敬しています」とリスペクトのまなざしを向ける。
選手たちはさまざまな挫折を乗り越えて栄光をつかんでいく。今田自身、17歳の頃に地元・福岡でスカウトされて芸能活動を開始すると、19年放送のTBS系連続ドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』でブレイク。その後も話題作に次々と出演した。
順風満帆なキャリアを歩んできたように思えるが、“挫折”について尋ねてみると、「難しいですね」と肩にかかる髪を両手で束ねて一呼吸。「大した挫折じゃないかもしれないですけど」と視線を落とし、「オーディションとかいっぱい受けていっぱい落ちました。そのたびに、自分は本当はこの世界に向いていないのかなと思っていました」と明かす。そして自らの原点を思い出すかのように言葉を続けた。
「私は俳優としての目標と、人としての目標が一緒なんです。好きだからこの仕事をやっているので、全力で仕事を楽しめるように今は『好き』という気持ちを忘れずに、それぞれの仕事にときめいていたいです。その思いは芸能界を目指した頃から変わりません。『好き』から探求心や興味も生まれてくると思うので、そこはずっと変わらず持っていたいです。もちろん大変なことや反省することもたくさんありますけど、それもひっくるめて全部が好きですし、楽しくて充実感があります。だからこそ全力で仕事に向き合えます」
真剣な面持ちで語った後、「大変でもやめられない何かが自分の中であるんです。結果、やっぱり今の仕事が好きだということに気付くので、挫折に感じていないのかもしれないです」とパッと表情を明るくして声を弾ませた。
現在は3月31日に放送がスタートしたNHK連続テレビ小説『あんぱん』(月~金曜午前8時)で、県大会で優勝するほど足が速いヒロイン・朝田のぶを演じている。オーディションでつかみ取った役で、予告でも走り回る姿が印象的だが、走ることについて聞くと「世界陸上を前に得意とは言えないんですけど」と苦笑い。それでも「走るシーンはすごく多いように思います」と“見せ場”のひとつと約束した。
終始、周囲を明るくする笑顔を見せながら、どんな質問にも丁寧に答える姿が印象的な今田。アンバサダー就任に改めて「陸上部の経験を思い出しながらフレッシュな気持ちで頑張ります。割と何でも楽しめる方なので、機会をいただけるなら何でも挑戦したいです」と喜びをにじませた。
これからも“好き”という心を大事に、自分らしく硬軟自在に走り続けていく。
□今田美桜(いまだ・みお)1997年3月5日、福岡県出身。2018年にTBS系連続ドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』でブレイク。22年に日本テレビ系『悪女(わる)』で連ドラ初主演を飾った。主な出演作は、映画『東京リベンジャーズ』シリーズ(21年、23年)、『劇場版 トリリオンゲーム』(25年)など。現在はヒロイン・朝田のぶを演じる25年度前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』が放送中。
猪俣創平
