給与未払い、無給勤務で生活困窮「絶対許しません」 ミュゼ騒動、元従業員たちがぶちまけた怒り 経営陣に不信感

大手・美容脱毛サロン「ミュゼプラチナム」で、経営陣の交代や全店一時休業など、混乱が続いている。従業員の給与の未払いが発生しており、無給での勤務を強いられてきたという実態が指摘されている。全国の顧客だけでなく、働き手側も大きな不安を抱えている現状。内部で一体何が起きているのか。元従業員に、怒りと嘆きの思いを聞いた。

「ミュゼプラチナム」が混乱に陥っている【写真:公式サイトより】
「ミュゼプラチナム」が混乱に陥っている【写真:公式サイトより】

無給状態でも「毎日人員不足の中、必死に頑張ってきた」

 大手・美容脱毛サロン「ミュゼプラチナム」で、経営陣の交代や全店一時休業など、混乱が続いている。従業員の給与の未払いが発生しており、無給での勤務を強いられてきたという実態が指摘されている。全国の顧客だけでなく、働き手側も大きな不安を抱えている現状。内部で一体何が起きているのか。元従業員に、怒りと嘆きの思いを聞いた。

 2003年に創業した同社。会員数は24年8月時点で約450万人、店舗数は168店と公表している。これまでたびたび運営会社が変わり、ここ最近になって経営問題が取り沙汰され、同社側は今年3月下旬、3月22日から4月20日までの期間、全店舗を一時休業することを発表した。

 運営会社「MPH株式会社」の公式サイトによると、3月31日付で「今後の再建をはかるため」とし、取締役を一新。代表取締役社長は三原孔明氏から高橋英樹氏に交代する人事を発表している。さらに、4月3日には「一時休業に伴う事業継続計画」について報告。今後について、「事業再編の基本方針 当社は従業員およびお客様の不安解消を最優先課題と考え、当面は関係各所との緊密な連携のもと、対応を進めております。また、事業継続に関しては当面の間、全店舗の自社運営による事業再開にこだわらず、別会社である新生ミュゼプラチナム株式会社への戦略的な店舗運営権の譲渡および従業員の再就職支援を並行して実施してまいります」などと記載している。

 一方で、SNSなどを通して元従業員らが、給与未払いの窮状や経営方針の不信感を訴える投稿が続出。事態は混迷を極めている。

 24年4月に新卒でミュゼプラチナムに入社した19歳の元現場スタッフの女性は、給与未払いの末に生活困難に陥り、今年3月初旬に退職した。

 昨年11月から給料の遅延が発生し、「それ以降25日の給料日に全額必ず入るということはありませんでした。1月24日の給料は70%支給されましたが、残りの30%とそれ以降の給料は全く払われていない状態で無給勤務でした。メールなどで○日までに支払うという説明がありましたが、期限を過ぎてもお給料は払われず、もう少しもう少しと伸ばされてる状態でした」。生々しい未払いの実態を打ち明けた。

 無給状態のため生活は苦しくなるばかり。「私自身、新卒入社だったので貯金がしっかり貯まっている状態ではなかった。保険の支払い・交通費・食費について徐々に払うのが困難になっていました」。一方で会社から従業員に送られるメールの内容は「毎回違う言い訳が並べられてました」といい、憤りを隠さない。

従業員の退職巡って物議「話がコロコロ変わっています」

 女性は退職後も情報収集を続けているといい、「ミュゼの方は思いやりがあり、何かあれば絶対助けてくれる方ばかりで、私自身ミュゼでお仕事をさせていただいていたことを本当に誇りに思って毎日楽しくお仕事をしてきました。しかし、代表がコロコロ変わり、3月31日に行われた説明会では(会社側が)毎日無給で一生懸命働いてきたスタッフに対してお給料払えないのは私たちの売り上げがないからといった趣旨のことが伝えられました。本当に従業員に対して失礼だと思います。無給の中、従業員も多く辞め、ネットニュースを見て不安になったお客さまへの対応であったり、脱毛のお手入れなどに追われ、毎日人員不足の中、必死に頑張ってきたので、すごくショックで腹が立ちました」。苦しい心境を語る。

 従業員の退職を巡っても混乱が発生しており、「解雇ではなく、退職勧奨だと話がコロコロ変わっています。3月31日で辞めた方は離職票も届かないそうで失業手当も入れないそうです。ひどい方は1月に辞めてまだ届いてない方もいるそうです」と話す。

 この女性は新旧経営陣に不信感を持っているといい、「正直、何十年もミュゼを守ってきた社員たちが最後こんな形で切り捨てられ、ミュゼをぐちゃぐちゃにされたのは絶対許しません。私からしたらミュゼの名前を使ってもうけたいとしか思えないです。新しい事業でもうけようとする前に、社員・従業員全員に謝罪とお給料を払ってほしいです。19歳の私からすると、こんな人たちがお客さま、社員に幸せを提供できるとは思えませんでした。無給で毎日出勤してた私の方が、人としてできていました」と思いの丈をぶちまけた。ミュゼを辞めた現在、「安定した生活、ちゃんとお給料がもらえる仕事」を探してる途中だという。

「家族などからお金を借りて生活してます」

 勤務歴3年でカウンセラーとして働き、3月末で退職を余儀なくされた元従業員の女性は、今年1月から3月分の給与が遅れており、未払い状態のまま。「他のスタッフと労働基準監督署に行ったのですが、ミュゼは倒産してないため、未払い賃金の立替制度は『事実上の倒産』をしない限り使えないと言われました。1月からずっと収入がないため、このままでは生きていくことが困難だと思っています」と悲壮な思いを語る。

 スタッフ同士で「SNSの発信で世の中を巻き込むしかないのでは」という意見が一致し、SNSで現状を報告している。「ほとんどの方が、『従業員がこんな仕打ちを受けてるなんてあり得ない』と同情的な反応を示してくださり、同調するような形でポスト数が増えてくれました。ただ、お客さまの中にはショックを受けられている方もいらしたので、心苦しさも感じております」と話している。

 4月から別の職場で働いているが、「収入がないため家族などからお金を借りて生活しています」。苦しい状況が続いているという。

 再建の行方はどうなるのか。運営会社側は未払い給与などの問題にどのように対応していくのか。今後の動きが注目を集めている。

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