GENERATIONS中務裕太、ダンスと日本酒“二刀流”のワケ アーティストとして「表現の幅が広がる」
GENERATIONSの中務裕太が岩手・盛岡市にある赤武酒造とコラボレーションした日本酒が、今月から販売されている。2024年4月に第1弾が販売されており、今回は第2弾。中務自身の大事な要素になりつつある日本酒、芯であるダンスへの情熱を聞いた。

適度な飲酒なら「肉体に影響なし」
GENERATIONSの中務裕太が岩手・盛岡市にある赤武酒造とコラボレーションした日本酒が、今月から販売されている。2024年4月に第1弾が販売されており、今回は第2弾。中務自身の大事な要素になりつつある日本酒、芯であるダンスへの情熱を聞いた。(取材・文=ふくだりょうこ)
中務は所属事務所・LDHの先輩であるEXILE/EXILE THE SECONDの橘ケンチに導かれ、日本酒の世界に足を踏みいれた。日本酒に造詣の深い橘とともにさまざまな酒蔵を訪れ、知識を深めていった。赤武酒造はそんな中で親交を深めた酒蔵だ。中務は泊まり込みで作業をしたこともあるという。
「最初に伺ったときは、思っていたよりも大きい酒蔵だったことに驚きましたね。洗米の装置だとか、最新のテクノロジーも取り入れつつ、人の手もしっかりと入っていて。『うまく融合させてやっているんだな』という印象でした」
そんな赤武酒造とのコラボ日本酒第2弾「AKBU 中務 純米大吟醸」が発売された。第1弾でのフレッシュさを残しつつ、米のうまみをギュッと凝縮した味わいになっているという。
「第1弾は、ファンの方はもちろん、僕のファンじゃない方、赤武のファンの方にも『おいしい』と言っていただけたので、うれしかったですね。赤武酒造さんのファンの方の声は怖かったです。僕とコラボしたことで、『味が落ちた』って言われたらどうしようかとプレッシャーでした。ただ、そんなことはなく、安心しました」
酒蔵とコラボするまで日本酒とのつながりを強めている中務。日本酒に出会ったのはコロナ禍のことだった。
「コロナ禍で何もできなかったときに、日本酒と出会って新しい景色が見えたというか。そこからどんどんハマっていきました」
最初は単純に飲むだけだったのが、次第にペアリングも楽しむように。「果物と合わせるのが意外においしい」そうで、ほかにも直感で「これ」と思ったものと合わせているという。ただ、中務は屈強な肉体の持ち主。酒と筋肉の相性はあまり良いようにも思えないが……。
「遺伝子検査をしたら、僕はお米がすごく相性がいいんです。日本酒も言ってしまえば、もとはお米ですから。そんなに馬鹿みたいに飲まなければ、あまり影響は出ませんね。昔は一升を飲み干したりもしましたけど(笑)。最近は気持ちよく眠れるぐらいの量にしています。大人になったのもあるかもしれませんね」
昨今、LDHで続々と若手グループが誕生し、成長している中、GENERATIONSは「大人のグループ」の位置付けにある。中務自身は24年4月から、同事務所が運営するEXPG高等学院(ダンスを専門的に学べる高校)の2代目学長に就任。インストラクターの経験はあるが、「教える立場」の責任者となっている。
「伝えるって人間の一生のテーマだと思うんです。自分が伝えたいことと違う伝わり方をするということはわりとありますし、難しさは今でも感じていますね。でも、自分がダンスを教えた子たちが活躍して、『裕太さんのおかげで今の自分があります』なんて言ってもらうとすごくうれしいです」
もちろん、中務もダンサーとして第一線で活躍を続けている。そんな中務に自身のダンスのポリシーについて聞くと「振り付けを踊っている風に見えないようにしたい」と回答した。
「振り付けを踊るのは、世界中の誰でも練習すればできることなので。そんなのは、僕は別に見たいと思わないんです」
2月10日に放送されたTBS系『その道のプロが選ぶ本当のNo.1プロフェッショナルランキング』では、「KING OF DANCE」を目指す1人として登場。中務が「振り付けは考えてきていない。この場で感じたことを表現する」と話す場面があった。
「ああいう時こそ、振りを決めないでやるのが僕は本物のダンサーだと思っているので、絶対に決めずに行きます。その場で感じたものを表現するからこそ、いいものが踊れると思いますし。やっぱり、『自然体でいたい』ということはダンスでは意識しています」
同時に、ダンスを取り上げる番組が増えていることを喜ばしく思っている。
「やっぱり、『盛り上がってきているな』ということは感じています。昔だったら『ダンスだけで』ということはあり得ませんでしたからね。番組では優劣がつく場合がありますけど、ダンスに正解はないと思っています。ただ、『自分が思うダンスを貫こう』というのはあるので信念は曲げたくない。ああいう場ではいろんな人の信念が感じられてすごく刺激になります」
「振りを決めない。その場で感じたものを自然体で」と聞くと、とても自由な印象を受けるが、グループにいるとスタンスは少し変わるという。
「『GENERATIONSがいかにカッコよく見えるか』ということを普段から意識しているので、一定のラインは越えないようにしています。『こうすると、あんまりいい見え方しないな』というときは切り替えますし」

リブランディングの1年「ギャップをどんどん出したい」
そして、グループ自体は変革の時だ。6か月連続でメンバープロデュースの楽曲をリリースする新プロジェクト「PRODUCE 6IX COLORS」がスタートした。
「グループと言っても、『あの人がいなくても成立するよね』となったら、その人がいる意味がないので。そうではなくて、『あのメンバーがあるからこのグループになっているよね』と提示していくことが大事。一人ひとりの色をしっかり表現していく。新しくグループの色を確立させる1年になるとは思っています」
リブランディングの1年。それは楽しいものなのか、苦しいものなのか。
「両方ですね。楽しいですけど、うまくいかないことの方が多いので、苦しい時もあります。でも、苦しんだ先にあるものがすごく良いものだと僕は思っています。しっかり、前を向きながら苦しむのが『いいのかな』と思います」
「ダンスと日本酒、両方に情熱を傾ける形が不思議に感じます」と言うと、中務は「面白いんですよ」と返した。
「そういう面白さもアーティストとしては表現する幅が広がると思うので、『ギャップをどんどん出していきたいな』と思っています」

「日本酒も表現の一つ」と言われれば、確かにその通りだ。今後、中務裕太というアーティストはどんな手法で、どのように色を表現していくのだろうか。
□中務裕太(なかつか・ゆうた) 1993年1月7日、大阪府生まれ。幼いころからダンスを始め、2011年からGENERATIONSのサポートダンサーとして活動をスタート、12年11月、GENERATIONS from EXILE TRIBEとしてデビュー。EXPG STUDIOのスーパーバイザー、Girls Dance Project「I AM ME.」のディレクターを務める他、24年4月にはEXPG美宇藤学院の2代目学長に就任。血液型B。
