浅川梨奈、マネキン役で女優魂に火「感情大事に」 “心”吹き込み監督の期待に応える
「昔から洋服店のマネキンを見るのが好きだったんです」
実際にマネキンを見て役作りはしなかったのか。そう聞くと笑い出して「ない」と話したが、意外なことを明かしてくれた。
「私、昔から洋服店のマネキンを見るのが好きだったんです。変な方向に手首とかが曲がっていたり、首の位置がおかしいとかあるじゃないですか。それをボーッと見て、戻してあげるのが好きでした。だから昔、そうやって触っていた時のことを思い出し、逆に自分が触られている立場だったら、というような思いになったりしました」
具体的にはどんな思いなのか。
「マネキンの立場って不思議だなと。もどかしかったです。もう少し手首をまっすぐにしてほしいけど言えないとか。右目に髪がかかっているのに発言できないとか。ちょっとしたもどかしさは、恋愛感情が芽生えていたら、もっとあるだろうなと思いました。そもそも(劇中)昔の思い出話をしている中で、マネキンが主人公を好きだったことを表現しないといけないので、声の柔らかさを大事にして、楽しかった、うれしかった思い出というふうに話すように心がけました」
浅川がマネキンと化している気がするほど、マネキンの心情をつかんでいるように感じる。同時に演じることの奥深さも伝わってきた。
「すごくミステリアスで、ちょっとぞっとするような雰囲気も持ち合わせた、でも、ふたを開けてみると、愛情や絆、思いの強い作品」
これは作品をPRする浅川の言葉。隈本遼平監督は浅川の起用理由を「表情のちょっとした闇みたいなところ。ちょっとした闇というのは、影みたいな一面。笑顔でも目の奥が笑っていないとか。最初に会った時は緊張していましたが、今はほぐれていますけど」と説明した。浅川は見事に監督の期待に応え、監督のイメージする世界観をうまく表現したようだ。
最後にあらためて物を演じたことを聞くと「挑戦だったと思います。物というのは初めてだったので、挑戦であり、新鮮さもありました。また、久しぶりにオリジナルのストーリーだったので、いろいろと考えることができて楽しかったです」。一方で、次はどんな物を演じたいか聞くと「できれば人のほうがいいです」と笑った。女優としての目標は「どれが得意よりも、どれもできる、どれも対応できる、どれもはまる女優」。大物女優の素質は十分だ。
□浅川梨奈(あさかわ・なな)1999年4月3日、埼玉県生まれ。2016年に映画「14の夜」で長編映画デビュー後、数多くの映画やドラマに出演。「2019年映画・ドラマ出演本数ランキング」(日経エンタテインメント)では第1位を獲得し、映画「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」での好演をきっかけにさらに注目を集める。20年は、短編映画「嬉しくなっちゃって」(YouTube配信中)での主演をはじめ、テレビ朝日系ドラマ「女子高生の無駄づかい」「年下彼氏」など、既に4本のドラマに出演。