共にミュージカル界のスターに 坂本昌行&増田貴久が見たお互いの俳優像【対談後編】

20th Centuryの坂本昌行とNEWSの増田貴久が、4月1日に東京・渋谷区の東急シアターオーブで開幕するミュージカル『ホリデイ・イン』(演出・ビル・ディーマー)で舞台初共演を果たす。坂本が主人公ジムを、増田はその親友テッドを演じる。所属事務所の先輩、後輩となる2人は俳優としても第一線を走り続けており、今回の競演に期待は高まるばかり。対談後編は、海外ミュージカルなど舞台の醍醐味を語った。

インタビューに応じた坂本昌行(左)と増田貴久(右)【写真:くさかべまき】
インタビューに応じた坂本昌行(左)と増田貴久(右)【写真:くさかべまき】

ミュージカル『ホリデイ・イン』で初共演

 20th Centuryの坂本昌行とNEWSの増田貴久が、4月1日に東京・渋谷区の東急シアターオーブで開幕するミュージカル『ホリデイ・イン』(演出・ビル・ディーマー)で舞台初共演を果たす。坂本が主人公ジムを、増田はその親友テッドを演じる。所属事務所の先輩、後輩となる2人は俳優としても第一線を走り続けており、今回の競演に期待は高まるばかり。対談後編は、海外ミュージカルなど舞台の醍醐味を語った。(取材・文=大宮高史)

『ホリデイ・イン』は、米映画『Holiday Inn』(1942年公開、邦題『スウィング・ホテル』)をもとに男女4人の恋模様を軸に展開される、2014年に誕生した米コネチカット州発のミュージカル。『White Christmas』などで知られる米国を代表する音楽家、アーヴィング・バーリンの数々の名曲がステージを彩る。今回が日本初演。坂本は主人公でニューヨークで活躍したショースターのジム・ハーディ、増田はジムの親友でパフォーマーのテッド・ハノーバーを演じる。元宝塚星組トップコンビ、柚希礼音と夢咲ねねの出演も注目される。

――共に俳優としての活動も長いですが、お互いの俳優としての印象はいかがですか。

坂本「まっすーの舞台は、昨年の『20世紀号に乗って』も見ました。役を自分自身に引き寄せる役者だなって思います。バラエティーでのコメントも上手いし、瞬発力もあって、何でも自分の持ち味にできる器用な人という印象です。僕はどちらかといえば役に近づいていくタイプ。『ジムはなぜこんなセリフを言ったんだろう?』と考えていって、染まっていきますね」

増田「『TOP HAT』(2018年、坂本主演のミュージカル)での坂本くんは、まさしくスターでした。立ち姿は格好いいし、ステージの真ん中にいるだけで凜とした空気が漂う。それにいつの間にか、ミュージカル界では憧れの存在になっているんです。僕も『今回坂本くんと一緒にミュージカルをやります』って軽く周りの人に言ったら『すごい!』っていう反応ばかりです」

――次に役への向き合い方について伺います。稽古から本番まで、どんな風に取り組みますか?

坂本「気づくと台本と向き合っている時間が多いからか、僕は昔から近寄りがたいと思われがちのようです(笑)。初日が開いてから演者で集まると、たいてい『話しかけづらかった』って言われます(笑)。ただ座長って言われるのもあまり好きではなくて、ステージに立つ俳優全員が同じように責任を負っていると思っています。今回はまっすーがいるから、話しやすい雰囲気を作ってくれるよね」

増田「いや、話しかけづらいオーラがゼロでも苦労します(笑)。皆さんがいっぱい話しかけてくれるから、僕は仲良くなっていくことに意識をとられ、気づかないうちに皆さんのお芝居が進化していることがあります(苦笑)。歴史のある作品だし、プレッシャーも感じています」

「日本語でも余さず感情を伝えたい」翻訳上演ならではの気概

――では、歌やダンスで展開するミュージカルの魅力、やりがいについてはどう思いますか?

坂本「(魅力は)目の前のものを楽しむだけで非日常の世界に浸れるところでしょうか。米ブロードウェイの作品は特にそうなんですが、劇場で2時間半を過ごしたら、子どもも大人も笑顔になって帰途につくんです。そこは魅力的ですよね。あの感覚って、テーマパークに通じているのかなって思うんです。行くとキャラクターのカチューシャをつけたくなるような」

増田「エンターテインメント性はすごいですし、演じる側としては国の文化の違いも感じます。今回の作品でいえば、海外での公演映像で、僕が真剣な思いで見ている場面で大爆笑が起こったりします。そこで『何が面白かったんだろう?』と思った疑問を演出家にぶつけると、作品の時代背景や、あちらのジョークの感覚を教えてくれるんです。奥が深いですし、知らないまま演じてしまっていたらヤバいなという怖さもあります」

坂本「英語の歌やセリフを、日本語で歌いますからね。しかも今回の作品は、『White Christmas』をはじめ世界の誰もが知っているナンバーが多い。名曲ぞろいだからこそ、『やっぱりオリジナルの方がいいな』と思われてしまったらダメだなというのが、僕なりに思うプレッシャーです。日本の皆さんに楽しんでいただけるように、そして(演出の)ビルが『新しいホリデイ・インにしたい』と過去の上演にとらわれない舞台にしたいそうなので、ビルの頭の中にあるイメージを余さず舞台で表現していきたいです」

増田「僕らをきっかけにこの作品を知ってくれる方もいると思うので、プレッシャーよりも期待の方がありますね。もともとのミュージカルファンの方にも『日本のバージョンもいいね』と思ってほしいですし、初めてこの舞台を見た方には海外版のサントラも楽しんでほしいです」

坂本「僕らは日本語ならどんなに短い言葉でも意味を分かっていますが、僕には英語は音がつながって一つの単語になる感覚があります。だからもともと英語のリズムで書かれた曲を訳して歌ってみると『ここ、間延びしてる?』と思う時もあるんですが、日本語の方がうまく感情を伝えられるのかなって」

――それは海外ミュージカルの翻案ならではの感覚ですね。

増田「翻訳によって歌に込められた意味も変わってくるのが面白いです。英語で読んでいた時は抽象的なイメージがあったのに、日本語になるともっと具体的な感情が加わってくるんです」

坂本「それで音節も変わるから、難しさもあるんだけどね。いかに原語に込められたものを伝えていけるか。単にたくさん説明しようとすると日本語の歌も冗長になってしまうから、もっと分かりやすく面白く歌えるスタイルを模索するのもやりがいです」

――お2人の会話からもエンターテイナーとして信頼しあっていることが伝わってきます。最後に今作におけるお互いへの期待、そして観客の皆さんに楽しんでほしいことを教えてください。

坂本「テッドはスターの役だから、まっすーも役作りはほぼいらないんじゃないかなって(笑)。テッドは一見自分が一番大事なやつに見えて、実は自然と周りの人を勇気づけてくれるキャラクターですね。皆を笑顔にしてくれるまっすーなら絶対モノにしてくれます」

増田「じゃあ、ぶっつけ本番で行きましょうか(笑)。舞台上では坂本くん演じるジムと親友の役になりますが、個人的には、テッドがジムに向けるような『この人を一生大切にしたい!』という厚い友情って、ストレートに表現していくのがちょっと恥ずかしいですね。でも、『なんで彼がジムに好かれるんだろう?』という疑問を納得させるだけの、2人ならではの友情があります。そこは恥ずかしさを取り払ってお客様に見せていきたいです」

坂本「古き良きアメリカのミュージカルを、令和の時代に僕たちが初演する機会をいただけたことがうれしくて楽しくて、ずっと気分が高揚しています。何より長年愛された音楽をお客様に届けられることがすてきな経験なので、皆さんもすてきな音楽で笑顔に、幸せになってもらえると思います」

『ホリデイ・イン』の東京公演は4月16日まで同所で。その後、大阪公演を4月22日~5月1日まで大阪市のSkyシアターMBSで上演する。

□坂本昌行(さかもと・まさゆき)1971年7月24日、東京都生まれ。STARTO ENTERTAINMENT所属。1995年にV6のメンバーとしてCDデビュー。現在は、20th Centuryのメンバーとして活動中。俳優としても顕著な活躍を見せ1992年に『阿国』で舞台デビュー。2000年に『シェルブールの雨傘』で舞台単独初主演を飾る。2016年の主演舞台『MURDER for Two 』で第24回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。22年は舞台『THE BOY FROM OZ』『凍える FROZEN』で第48回菊田一夫演劇賞 演劇賞を受賞した。24年はミュージカル『三銃士』で主演を務めた。

□増田貴久(ますだ・たかひさ)1986年7月4日、東京都生まれ。STARTO ENTERTAINMENT所属。2003年にNEWSのメンバーとしてCDデビュー。2009年に『雨の日の森の中』で舞台初主演。その後も舞台で主演を重ねて『ハウ・トゥ・サクシード』(2020年)、『20世紀号に乗って』(2022年)など海外ミュージカルでも主演する。2025年2月12日には初のソロアルバム『喜怒哀楽』を発売した。7月にはアイスショー「氷艶 hyoen 2025 -鏡紋の夜叉-」へ出演する。

(クレジット)
坂本昌行
ヘアメイク:染谷誠(Lit)
スタイリスト:柳田明子

増田貴久
ヘアメイク:坂部めぐみ
スタイリスト:内田あゆみ(creative GUILD)

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