「あまり座長っぽく見られてないかも」 坂本昌行、後輩・増田貴久のムードメーカーぶりに寄せる信頼【対談前編】
20th Centuryの坂本昌行が、4月1日に東京・渋谷区の東急シアターオーブで開幕するミュージカル『ホリデイ・イン』(演出・ビル・ディーマー)で主人公のショースター、ジムを演じる。親友のパフォーマー、テッド役をNEWSの増田貴久が務め、所属事務所の先輩、後輩による舞台初共演が実現する。インタビュー中、次々に言葉を繰り出し、熱いトークを繰り広げた2人。互いをリスペクトする様子もうかがわせ、作品にかける思いをたっぷりと語った。

4月1日に開幕のミュージカル『ホリデイ・イン』で舞台初共演
20th Centuryの坂本昌行が、4月1日に東京・渋谷区の東急シアターオーブで開幕するミュージカル『ホリデイ・イン』(演出・ビル・ディーマー)で主人公のショースター、ジムを演じる。親友のパフォーマー、テッド役をNEWSの増田貴久が務め、所属事務所の先輩、後輩による舞台初共演が実現する。インタビュー中、次々に言葉を繰り出し、熱いトークを繰り広げた2人。互いをリスペクトする様子もうかがわせ、作品にかける思いをたっぷりと語った。(取材・文=大宮高史)
『ホリデイ・イン』は、1942年に公開された米歌手で俳優のビング・クロスビーと米俳優でダンサーのフレッド・アステアによるW主演映画『Holiday Inn』(邦題『スウィング・ホテル』)をもとに、2014年に米コネチカット州で誕生したミュージカル。16年にニューヨークのブロードウェイに進出し、今回が日本初演となる。坂本は主人公でニューヨークで活躍したショースターのジム・ハーディ、増田はジムの親友でパフォーマーのテッド・ハノーバーを演じる。元宝塚星組トップコンビ、柚希礼音と夢咲ねねが2015年にに宝塚歌劇団を退団後初共演するのも話題で、作品を華やかに盛り上げそうだ。演出・振付のビル・ディーマー氏と坂本は、坂本の主演ミュージカル『TOP HAT』(2018年)以来、7年ぶりにタッグを組む。
ジム(坂本)はブロードウェイで一世を風靡したスターだったが、ある時ショービジネスの世界に幻滅して俳優を引退、コネチカット州の田舎で農場を営もうと移住する。ジムの恋人のライラ(夢咲)はジムと別れ、テッド(増田)とショーを続けることにする。一方、田舎で暮らすジムは農場経営が上手くいかなくなり、祝日限定でショーを上演するホテル『ホリデイ・イン』の営業を思いつく。そこで出会った教師のリンダ(柚希)と一緒にショーを繰り広げるうちに愛情が芽生え、テッド、ライラを加えた4人の愛と夢が交錯し…という物語だ。
――まずは坂本さん、増田さんにお互いの印象についてお伺いします。
坂本「まっすーは、チームを作っていく力がある人だよね。(NEWSでは)リーダーじゃないけど、リーダー感がすごいです。稽古場の空気を作っていくのも彼なので、僕も彼に引っ張ってもらって、自分にできることを果たしていこうと思います」
増田「それ、前からいろんなところで言ってますよね(笑)。圧をかけないで!(笑)。坂本くんとは2022年にドラマ『吉祥寺ルーザーズ』(テレビ東京系)で共演できたのですが、舞台でがっつり組むのは初めてです。僕は(コンサートの)ステージで坂本くんのバックで踊っていて、背中を見ている年月が長かったんです。だから一緒にミュージカルを作る過程を味わいながら、自分も舞台に立てるのはうれしいですね」
――今作の印象はいかがですか?
坂本「テンポ感が軽快で好きですね。台本を読んでワクワクしたし、自分の声とセリフ、いろんな役者さんの歌がミックスしたら面白いだろうなと思いました。ジムも、それから、まっすーのテッドもいい奴だなと思いながら読んでいました」
増田「ブロードウェイバージョンを映像で見ましたが、今回はビルがかなりオリジナルの演出を作ってくれるそうです。僕のための振り付けもあるんです。キャストの個性が際立っているので、よりカラフルな舞台になりそうです。僕は、ビルが僕のために書いてくれるテッドをさらに魅力的にしたいなと考えながら稽古しています」

「ビルがサポーターを…」演出家との7年越しの思い出明かす
――坂本さんは『TOP HAT』以来、7年ぶりにビルさんとタッグを組みます。
坂本「ビルは繊細で情熱的。僕が今まで経験したことのない体験をさせてくれる人なので、自然と気持ちが高揚します。彼が頭の中で作ってくれたものを僕らがどれだけそしゃくしてお客様に届けられるか、自分自身にもプレッシャーをかけないといけないと思っています。それと実は『TOP HAT』の時に僕は体を痛めてしまったんですが、ビルが手厚くフォローしてくれたので、今度は恩返しもしたいです」
――それはどんなフォローだったのでしょうか。
坂本「ビルが使っていたサポーターをくれました。千秋楽までずっとお守りにして、今でも使っています。今回7年ぶりとなりますが、『今度は同じ(サポーター)モデルの新品をプレゼントするよ』とこの間連絡がありました。楽しみです」
増田「僕も今回、ビルの振り付けでタップダンスを踊りますが、僕の過去の舞台を見て『踊りながらこんなに歌えるって、素晴らしい』とほめてくれました。でも実はタップは自信がないから『上手くできないかも』と打ち明けたら『君の個性に合わせるから大丈夫だ』って。不安があっても全部吹き飛ばしてくれて、『この人とだったら絶対に楽しい舞台になる』という確信がわいてきます。演者の気持ちを乗せてくれる最高のモチベーターです」
――稽古場からもう楽しい雰囲気が伝わってきます。
坂本「こんな風にビルや、まっすーがリードしてくれるから、僕はあんまり座長っぽく見られてないかも(笑)。リラックスしつつ、共演の皆さんから刺激をもらって、音楽もお芝居もお客様に楽しんでいただきたいですね」
増田「じゃあ僕が稽古場への差し入れから頑張って、皆さんとの仲をつないでいきましょう(笑)。ジュニアの時からずっとバックで踊ってきた坂本くんとの舞台なので、僕も1人の俳優として、ここまで成長したところを先輩に見せてやるぞ、っていう気概で向かっていきます」
『ホリデイ・イン』の東京公演は4月16日まで同所で。その後、大阪公演を4月22日~5月1日まで大阪市のSkyシアターMBSで上演する。
□坂本昌行(さかもと・まさゆき)1971年7月24日、東京都生まれ。STARTO ENTERTAINMENT所属。1995年にV6のメンバーとしてCDデビュー。現在は、20th Centuryのメンバーとして活動中。俳優としても顕著な活躍を見せ1992年に『阿国』で舞台デビュー。2000年に舞台『シェルブールの雨傘』で舞台単独初主演を飾る。2016年の主演舞台『MURDER for Two 』で第24回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。22年は舞台『THE BOY FROM OZ』『凍える FROZEN』で第48回菊田一夫演劇賞 演劇賞を受賞した。24年はミュージカル『三銃士』で主演を務めた。
□増田貴久(ますだ・たかひさ)1986年7月4日、東京都生まれ。2003年に男性アイドルグループ・NEWSのメンバーとしてCDデビュー。2009年に『雨の日の森の中』で舞台初主演を飾る。その後も舞台で主演を重ね、『ハウ・トゥ・サクシード』(2020年)や『20世紀号に乗って』(2022年)など海外ミュージカルでも主演する。2025年2月12日には初のソロアルバム『喜怒哀楽』を発売した。7月にはアイスショー「氷艶 hyoen 2025 -鏡紋の夜叉-」へ出演する。
(クレジット)
坂本昌行
ヘアメイク:染谷誠(Lit)
スタイリスト:柳田明子
増田貴久
ヘアメイク:坂部めぐみ
スタイリスト:内田あゆみ(creative GUILD)
