尾上菊之助&丑之助のお練りに2000人 神田明神で襲名の成功祈願「これからがスタートでございます」
歌舞伎俳優の尾上菊之助と、菊之助の長男の尾上丑之助が31日、東京・千代田区の神田明神で、『八代目尾上菊五郎襲名披露・六代目尾上菊之助襲名披露』のお練りを行った。

ラッパーのZeebraが平将門に扮してパフォーマンス
歌舞伎俳優の尾上菊之助と、菊之助の長男の尾上丑之助が31日、東京・千代田区の神田明神で、『八代目尾上菊五郎襲名披露・六代目尾上菊之助襲名披露』のお練りを行った。
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菊之助と丑之助は、歌舞伎座の5月、6月公演「尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎襲名披露 松竹創業百三十周年『菊團祭五月大歌舞伎』『六月大歌舞伎』」で八代目尾上菊五郎に、丑之助が六代目菊之助を名乗る。菊之助の父で現在の七代目尾上菊五郎は、引き続き七代目尾上菊五郎を名乗る。今後、音羽屋では七代目菊五郎、八代目菊五郎と親子で菊五郎を名乗り活動していく。
1300年の歴史を有する“江戸総鎮守”の神田明神は、2013年2月に菊之助が結婚式を行った場所。18年12月には「神田明神文化交流館 EDOCCO」開業記念式典で、七代目菊五郎と菊之助が奉納舞踊を披露しており、音羽屋と関わりの深い神社。
この日は神田明神の鳥居の前に、菊之助、丑之助の他、纏(まとい)や木遣り、氏子総代、祭囃子社中、神輿連中、歌舞伎座座旗、新橋芸者衆など約250人の隊列が並び、随神門から御神殿へと約50mの距離を練り歩いた。菊之助の姉で俳優の寺島しのぶ、寺島の夫でクリエイティブディレクターのローラン・グナシア氏、2人の息子で歌舞伎俳優の尾上眞秀、歌舞伎俳優の尾上右近ら、親族や音羽屋一門も後に続いた。周辺には関係者を含め約2000人が集まり、「音羽屋ぁ~!」「七代目~!」「八代目~!」「にっぽんいち!」と大向うが響いた。
随伸門を抜け境内に到着すると、山車の上では山部泰嗣の大太鼓が鳴り響き、反対側の山車にはラッパーのZeebraが登場。平将門に扮したZeebraが、江戸時代から続く音羽の歴史を口上した。御神殿に七代目菊五郎が現れると、菊之助と丑之助は現代の姿になったZeebraのラップに送り出される形で、御神殿に足を進める。満開の桜を背景に少しずつ御神殿に近づき、七代目菊五郎と対峙した。3人が舞台上にそろうと、観客から拍手がわきおこった。
菊五郎は神田明神や神輿連中、芸者衆などの関係者、そして集まった観客に感謝を述べると、「八代目菊五郎、六代目菊之助の誕生でございます。どうか皆さまにおかれましては 末永く、両人のご贔屓を引き立て、ご支援ご鞭撻(たつ)をどうぞよろしくお願い致します」とあいさつした。その後、御神殿で成功祈願が行われ、特設ステージでは菊之助と丑之助による奉納舞踊『七福神』が披露された。扇子を使った親子での舞踊に、観客からは「待ってました~!」「音羽屋~!」と声がかかった。
舞踊後に囲み取材に応じた菊之助は、「ご神前にご報告をさせて頂きました。八代目菊五郎、そして六代目菊之助、これからがスタートでございます。本公演が5月から始まってからが本当のスタートでございますけれども、今日はご報告をさせていただきまして、心の準備を整えさせていただきました」と語った。丑之助は「御神前の前で七福神を踊らさせていただいて、神様も喜んでくださったと思います。襲名への、『菊之助になる決心』というものが固まりました」と語った。
菊之助は、「初代さんが菊五郎を名乗ってから約300年。松竹130周年というメモリアルな年でもございますし、このタイミングが重なった時に襲名をさせていただける」と喜んだ。「父の菊五郎が菊之助だった時代がとても偉大だと感じていて。その父に少しでも近づきたく、自分でも努力、研鑽して参りました」とこれまでの道のりを振り返り、「その名前を今度、倅(せがれ)が受け継いで、菊之助という名前をどういう風に育ててくれるのか。倅と一緒に修行しながら、育てていきたい」と意気込んだ。丑之助も「父と祖父がここまで大きくしてくれた菊之助という名跡なので 私もどんどんいろんなことに挑戦して大きくしていきたい」と語り、襲名の演目についても「数々の大役がありますが、子どもだからといって役を崩してしまうのではなく、ちゃんと稽古をして、その役に入り切ることを今目標にしています」と語った。
