豪州→タイ→日本と移住 パース・ナクンが「ワクワク」と絶賛する日本の魅力と「最悪」と嘆く理由

タイで俳優としての地位を確かなものにしてきたパース・ナクンは、日本の芸能界での成功を夢見て、30歳を目前に日本移住という大きな決断を下した。順調にドラマや舞台への出演を重ね、ステップアップを続ける中、3月28日には日本初の写真集『パース・ナクン1st写真集 Sunny』(KADOKAWA)を発売する。30歳のパースの目には、“日本”はどのように映っているのだろうか。

初ソロ写真集を発売するパース・ナクン【写真:増田美咲】
初ソロ写真集を発売するパース・ナクン【写真:増田美咲】

初のソロ写真集は日本情緒あふれる新潟県・佐渡島で撮影「また行きたい」

 タイで俳優としての地位を確かなものにしてきたパース・ナクンは、日本の芸能界での成功を夢見て、30歳を目前に日本移住という大きな決断を下した。順調にドラマや舞台への出演を重ね、ステップアップを続ける中、3月28日には日本初の写真集『パース・ナクン1st写真集 Sunny』(KADOKAWA)を発売する。30歳のパースの目には、“日本”はどのように映っているのだろうか。(取材・文=中村彰洋)

 大ヒットしたBLドラマなどに出演してきたパース。タイでは共演者との写真集を発売したことはあったが、ソロでは初の挑戦だった。「僕だけの写真集で大丈夫かな? と思いましたが、めっちゃうれしかったです」と笑顔を見せる。

 撮影の地に選んだのは新潟県・佐渡島。日本らしさを求めての選択だった。「僕が日本で好きな山や森、海、神社など全部そろってる場所だったので、『めっちゃいいじゃん!』となりました。撮影は、11月で寒かったので、春や秋にまた行きたいなと思っています」。

 スーツ姿で海に飛び込むシーンにも挑戦。「死ぬほど寒かった」と苦笑いを浮かべながらも、「すごく楽しい経験だったし、寒くてかっこつけることができていないので本当に僕の素が出せています」と印象的なカットとなった。撮影初日は天候に恵まれず、雨天での撮影となったが、「雨の中で撮影できる場所を探して、計画にはなかった場所でも撮影しました」と思い出を振り返る。

 写真集のタイトルに選んだのは『Sunny』。「太陽のように温かく、僕が出ている作品を通して、元気を与えられるような人を癒やす存在になりたいです。それと、僕の本名が『シュチュワート』で、昔から『サニー・シュチュワート』と呼ばれることもあったり、僕のおじいさんのあだ名も『Sunny』だったので、これに決めました」。

 幼少期から『セーラームーン』や『ドラゴンボール』など、日本のアニメを見て育ったこともあり、日本への興味を持ち続けてきた。二十歳でのタイ移住後は、インターナショナルスクールに通い、英語で日本語を学ぶ講義を受けていたほどだ。

 人生が一変したのは、タイでの芸能活動を続ける中で「環境を変えたい」という思いが芽生え始めた30歳を目前にしたタイミング。現在の所属事務所・ホリプロからスカウトのDMが届いたことで、想像していなかった未来が待っていた。

 日本移住を決断したが、「生活に違和感があまりないんです。もちろん言語の壁もありますし、文化的に違う部分もありますが、そんなに『ええ?』と思うことがなくて、心地良いんです」と充実した日々を送っている。

日本の魅力を熱弁したパース・ナクン【写真:増田美咲】
日本の魅力を熱弁したパース・ナクン【写真:増田美咲】

日本の芸能界での目標は「恋愛ドラマに出たいです!」

 これまで、オーストラリア、タイ、日本と3か国での生活を経験してきた。「僕は歩くことが好きなんです。日本は道が広くて歩きやすいです。バンコクに比べて、東京はきれいに街並みが作られています。バスや電車も使いやすいですし、生活がすごく便利になりました。ただ、タイはタクシーが本当に安くて、その点は良かったですね。日本に来てからは、仕事以外でタクシーに乗ることがないです。なので、終電を気をつけるようになりました」と笑う。

 さらに、日本の魅力として四季の素晴らしさを熱弁する。「僕は冬がめっちゃ好きです。タイには冬がなかったので。日本は季節があって楽しいですよね。着るものも変化しますし、季節に合った色もありますよね。期間限定の食べ物とか『次は何かな?』とワクワクできるので楽しいです」。

 一方で、日本特有のジメジメとした夏は天敵だとも明かす。「夏は最悪です。去年の夏は、タイよりもひどかったかもしれないです。オーストラリアも暑いですが、夏はドライだからただ紫外線が痛いだけ。汗もそんなにかきません。でも、日本では家から最寄り駅まで歩いただけで汗でビショビショになってしまって、気持ち悪いです」と苦笑いだ。

 日本での生活にもなじんでいるパースだが、活動していく中で最も苦労しているのが、「日本語のイントネーション」だ。

「タイ語は、文字の上にイントネーションが書いてあったのでなんとかなりました。日本語も文法さえ覚えれば、いけるんじゃないかなと思っていたんです。でも、初めて『スパイめし~異国グルメ潜入記~』というドラマに出演して、台本を初めて見た時は、相当ヤバかったです(笑)。イントネーションが全く分からなかったし、耳で全然聞き取れませんでした。共演の方やマネジャーさんに付き合ってもらって、イントネーションを直すためにいろいろ教えてもらったりもしました。

 今も台本をもらうたびに、僕のセリフの部分の日本語を録音してもらって、それを聞きながら練習しています。30歳にもなって、誰かに頼り続けながら仕事をすることは理想的ではないのですが、仕方ないですよね。一番の日本での苦労かもしれません。『役とのイメージは完璧です』と監督さんから言ってもらえても、『でも日本語がまだまだですね』となってしまったら、すごく悔しいです。なので、もっと頑張りたいです」

 日本での目標として掲げ続けているのが、恋愛ドラマへの出演だ。「主役でもサブでもいいのですが、恋愛する役をやりたいです。最近、言葉にすることで実現することが増えてきたので、これからも『恋愛ドラマに出たい!』と言い続けます。できればこのインタビューも“大文字”で『恋愛ドラマに出たいです!』と書いてほしいです」と屈託のない笑顔を見せる。

「もちろんバラエティーに出る機会があれば、全力でやりたいです。でも、お芝居が好きなので、ずっと続けていけたらうれしいです」。異国の地で“リスタート”を切った30歳の新人は、真っすぐな目で日本での成功を見据えている。

□パース・ナクン(Perth Nakhun)1994年7月6日、オーストラリア生まれ。20歳でタイに移住し、CM出演を経て俳優デビュー。日本のドラマに憧れ、日本の芸能界に挑戦。2023年よりホリプロに所属し、日本を拠点に活動中。25年初のソロ写真集『パース・ナクン1st写真集 Sunny』を発売。

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