俳優の岡田将生が13日、都内で行われたNHKドラマ『地震のあとで』（4月5日放送開始、土曜午後10時）の完成試写会に、橋本愛とともに出席。橋本とは『告白』以来2度目の共演となり、再会を喜んでいた。

　1995年に発生した阪神淡路大震災のあと、作家・村上春樹氏が著した4つの短編を、震災から30年を迎える25年の節目に連続ドラマ化。この日は、#1『UFOが釧路に降りる』が上映された。舞台は95年の東京で、阪神淡路大震災のニュース映像を見続けていた未名（橋本）が突然家を出てしまい、夫の小村（岡田）は妻の行方もわからないまま、後輩に依頼された「届け物」をするために釧路へ。そのまま、釧路で出会った女性たちに奇妙な旅に導かれていく。

　演じた感想を聞かれた岡田は「小村をやるにあたり、台本読んでいても答えが見つからないまま時間が過ぎていく感じがしました。村上春樹さんは『ドライブ・マイ・カー』以来2回目だったんですけど、そのときもやはり答えが出ずに、役とともにこの先が何があるのかっていうのを、前を見据えて立ち続けないといけない作業が、なかなかくるものがありまして……。どこまで自分が保てるか、皆さんに支えてもらいながら撮影に望んでいた日々が今は懐かしいです」と回顧し、「小村の内部にある痛みというものがどこで出てくるのか、このドラマの見どころであると思います。見ていただいてどう思うのか、感想がほしいと言いますか、どうこのドラマを見るのか、ある種新しいドラマなんじゃないかなと思っています」アピールした。

　夫婦役を演じた橋本との共演は『告白』（2010年）以来2度目とのことで、岡田は「大人になって共演させてもらって、大変うれしいのもありますし、逆に緊張するっていう（笑）」と吐露。続けて「僕の変化も彼女に見せたかった。橋本さんはせりふがない役で、とても難しかったと思います。小村の内部に何が起きるかすごく楽しみにしていましたが、見事にやられている姿を見て、共演できてうれしかった」と喜んだ。

　橋本は『告白』が「商業映画のデビュー作」だったと言い、「13歳くらいの中学生と先生の役だったので、大人になって再開できたのはうれしかった」と笑顔。デビュー作だったことに岡田は「デビュー作!?」と驚いていた。

　また、台本を読んだところ、小村役は「めちゃくちゃ大変そうだなと思っていました」と橋本。「1つの答えを明示する作品ではない。象徴的な作品。岡田さんの立ち振る舞いや声に乗っているものに、ある種の正解がなかったことが、物語の言語化しない世界観が声に乗っていた気がして、ずっと聞いているのが心地よかった記憶があります。声が『あ、とってもすてきだな』って」と振り返っていた。

　試写会には、唐田えりか、演出の井上剛氏、制作統括の山本晃久氏も登壇した。

　全4話からなる同作に通底していることは「人間社会を襲う圧倒的な暴力とその影響」であり、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、東日本大震災、コロナ禍、そして現在へ続いていく悪夢とも言える負の連鎖。原作の舞台を95年だけではなく、25年にいたる設定に置き換えることで、“今”に続く“地震のあと”の30年の時間を描き、これらの連鎖の先に回復を祈るドラマを目指した。