三浦透子、日米共同制作ドラマで再び世界へ アメコミ原作のSF作品「現代社会に通じる」

俳優、歌手として活躍する三浦透子が、日米共同制作ドラマ『HEART ATTACK』(3月20日よりFODにて配信、監督・丸山健志、八神隆治)に寛一郎とともにW主演する。本作は近未来の日本を舞台に、超能力を持つ人々が自由と権利を訴えて闘う物語。三浦にとってはSF作品への本格的な挑戦となるが、「現代に通じるリアルなドラマ」と胸を張る。

インタビューに応じた三浦透子【写真:増田美咲】
インタビューに応じた三浦透子【写真:増田美咲】

フジテレビが制作を主導、スカイバウンドを通じて全世界配信の『HEART ATTACK』

 俳優、歌手として活躍する三浦透子が、日米共同制作ドラマ『HEART ATTACK』(3月20日よりFODにて配信、監督・丸山健志、八神隆治)に寛一郎とともにW主演する。本作は近未来の日本を舞台に、超能力を持つ人々が自由と権利を訴えて闘う物語。三浦にとってはSF作品への本格的な挑戦となるが、「現代に通じるリアルなドラマ」と胸を張る。(取材・文=平辻哲也)

 第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した映画『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)でヒロインを演じた三浦が、再び世界へ躍り出る。本作は、フジテレビの動画配信サービスFODと、『インビンシブル』や『ウォーキング・デッド』などのヒット作を手がける米スカイバウンドエンターテインメントが、同名アメリカンコミックを原作に共同制作したSFドラマ。フジテレビが制作を主導し、スカイバウンドを通じて全世界配信される。

「撮影中は、ビッグバジェットの作品に参加しているという感覚はあまりありませんでした。現場ではそういった特別な感覚よりも、隣にいる共演者との関係を大切にしながら撮影ができたので、安心して取り組めました」と振り返る。

 物語の舞台は、超常的な能力を持つヴァリアントと呼ばれる人間が大量出現するパンデミックが起こった近未来。ヴァリアントは「奈落」と呼ばれる集落に隔離され、VCU(ヴァリアント犯罪課)によって監視されている。そんな中、人々の自由と権利を訴えるエマ(三浦)は、VCUのスパイであるウミン(寛一郎)とともに行動を開始する……。

「とてもチャレンジングな作品だと思いました。アメリカンコミックを日本で実写化するという話を聞いたときは、『どういうことだろう?』と全く想像がつきませんでした。最初は『変身でもするのかな?』なんて考えましたが、実際に脚本を読んでみると、描かれている人間模様はとてもリアルでヒリヒリするような物語で。演じるのが楽しみになりました」

 三浦が演じたのは、「奈落」でインフルエンサーユニット「L」のメンバーとして活動するエマ。動画配信プラットフォーム「Makuma」を通じて、ヴァリアントの自由と権利を訴えている。

「エマは演じていてパワーをもらえる役でした。同時に、幼さや弱さも持っているところが魅力的だと感じました。私にもエマのように『かっこつけたい』と思うところがあります。でも、その『かっこつける』ということが、自分のありたい姿を保とうとすることに繋がっているんだろうなと共感しました」

 役作りの際に最も意識しているのは、脚本をどれだけ深く読み込むかという点だという。

「作品によっては特定の技術を身につける必要がありますが、役柄の内面を深めるには脚本の解釈が最も大事だと考えています。エマはモノを動かす超能力を持つキャラクターですが、フィクションの世界の飛躍した存在として捉えるのではなく、『周囲とは違う形で生まれてきたことで、自分の意思とは関係なく与えられてしまう環境を生きている』という視点で捉えました。これは現代社会にも通じる部分があると思います」

 撮影は2023年12月から24年2月までの長期にわたり、現場ではヒリヒリするような瞬間を何度も体験したという。

「共演者の年齢層が若く、現場にはみずみずしいエネルギーがあふれていました。物語自体がシリアスな内容で、登場人物たちが自ら道を切り開いていこうとする話なので、俳優自身の持つエネルギーとキャラクターのエネルギーが相乗効果を生み出していたと感じます。その結果、現場に目に見えるような緊張感があって、それが心地よい『ヒリヒリ感』になっていました」

 丸山健志監督とは、映画『スパゲティコード・ラブ』(2021年)に続くタッグとなった。

「丸山監督は絵作りが素晴らしいだけでなく、俳優の気持ちにも寄り添ってくれる方です。『こういう画を撮りたいから、こうしてほしい』というだけでなく、俳優が演じる上で『気持ち悪い』と感じることを無視せず、丁寧に相談しながら作り上げていく姿勢がとても印象的でした」

初共演の寛一郎「印象にギャップがない方。とても心強かった」

 寛一郎とは初共演だったが、その自然体な姿勢に助けられたという。

「表に出ている印象と実際にお会いしたときの印象にギャップがない方だと思いました。どこにいても、誰と接していても変わらないものを持っているのが素敵なところですね。撮影中もよく話しましたし、本のことやプライベートなことまでいろいろ話す機会がありました。特に、地方ロケでは一緒に過ごす時間が長く、環境的に大変な撮影もあったので、とても心強かったです」

 東京、茨城、沖縄、福島など、様々な場所でロケが行われた。

「ウミンとエマが力を合わせて初めて自分たちの力を確かめるシーンを撮影した廃墟ビルが、とても印象に残っています。柵も何もなくて、スリリングな雰囲気がありました。また、エマが所属するインフルエンサーユニット“L”のアジトも、セットが素晴らしく、作品の世界への理解がより深まりました」

 CGを多用する作品に本格的に挑むのは初めてで、世界配信も予定されている。

「目に見えないものを想像しながら演じることは俳優の仕事の一部ですが、自分だけで完結するのではなく、共演者と『同じものを見ている』という意識をすり合わせる必要がありました。完成した作品を観て、想像していた世界が映像として形になっているのを見て感動しました。特に、“奈落”という場所が外界と一本の道で繋がっているという設定は、頭の中でイメージしていたものがそのまま映像で再現されていて、『これか!』とうれしくなりました」と三浦。世界配信には「まだあまり実感が湧きませんが、たくさんの方に見てもらえたらと思っています」と期待を込めた。

□三浦透子(みうら・とうこ)1996年生まれ、北海道出身。2002年「なっちゃん」のCMでデビュー。主な出演作は、主演映画『そばかす』(22/玉田真也監督)、『月子』(17/越川道夫監督)、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(22)、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(22)、ドラマ『エルピス‐希望、あるいは災い‐』(22/カンテレ・フジテレビ系)など。第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した映画『ドライブ・マイ・カー』(21/濱口竜介監督)ではヒロインを演じ、第45回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。歌手としても活動しており、映画『天気の子』(19/新海誠監督)では主題歌にボーカリストとして参加し、同年、第70回NHK紅白歌合戦にも出演。昨年11月には初のワンマンライブ「三浦透子 at Billboard Live TOKYO 2024」を、今年3月には追加公演「三浦透子 at Billboard Live Tour 2025」として、大阪、横浜での公演を成功させた。

次のページへ (2/2) 【写真】三浦透子の全身ショット
1 2
あなたの“気になる”を教えてください