女性版タイガーマスクの“正体”VENYが58歳・堀田祐美子の挑戦に辛辣「骨折って、現役生活終わらせる」
40年のキャリアを持つ58歳の“暴走女王”堀田祐美子が「プロレス祭り2025!」(20日・カルッツかわさき)で、王者・VENY(ヴェニー)の持つベルトに挑戦することが発表された。当日は金網デスマッチになるが、会見ではVENYが「(堀田は)動けるの、そもそも」と疑問符を投げかける場面も。そこで今回は会見後のVENYを直撃。堀田戦に向けた思いを聞いた。

「(挑戦者・堀田の)気持ちとか、超レスラーだなって思う」
40年のキャリアを持つ58歳の“暴走女王”堀田祐美子が「川崎プロレス祭り2025!」(20日・カルッツかわさき)で、王者・VENY(ヴェニー)の持つベルトに挑戦することが発表された。当日は金網デスマッチになるが、会見ではVENYが「(堀田は)動けるの、そもそも」と疑問符を投げかける場面も。そこで今回は会見後のVENYを直撃。堀田戦に向けた思いを聞いた。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
13日、後楽園ホールで開催された「ストロングスタイルプロレスリング」において、タイガー・クイーンが3年半の活動を終了したことを報告。正体がVENYであることを明かし、かつ「目標とする方が偉大すぎで重荷だった」と女性版タイガーマスクでいることに相当の重圧があったと語った。VENYといえば、性同一性障害という性自認とカラダのギャップを抱えながら、“日本初のジェンダーレスプロレスラー”朱崇花(あすか)として2015年に16歳でデビュー。その後は天性のバネを生かした空中殺法とセンスを武器に、今や女子プロレス界でもTOPに位置する一人でもある。
20日には金網デスマッチでのタイトル戦で堀田を迎え討つが、まずは堀田の印象から訊(たず)ねると、「『Assemble』っていう大会があった時に、(堀田の設立した)T-HEARTS所属みたいな感じで出ていたんですよ。(堀田の)店にも飲みに行ったこともあるし、浅い付き合いとかそういう感じではない」と話した。
だからこそ、「闘うと私がギラついちゃうっていうか、なかなかそういう選手はいらっしゃらない。40年のキャリアはすごいと思うけど、イチプロレスラーとして見ると、今の私に勝てる要素ってどこにあるのかなっていう印象」とチクリ。
実際、堀田は、2月12日に新宿FACEでタッグながらVENYと闘った際、試合後に「VENYには力では敵わない」とコメントしており、今回も生涯最後のタイトル戦と腹をくくって挑んでくる。
この覚悟に対してVENYは「気持ちとか、超レスラーだなって思う。だってヒザに人工関節を入れて、私と試合なんて絶対に普通の人間だったら怖いと思うし、プラス金網戦は凶器を使ったり、鬼に金棒なのにボロボロのカラダで向き合ってくる、その気合は今の若手とか見習ってほしいなって思う」と堀田を称えつつも、「イチプロレスラーとして向き合うと、どうなんだろうって」と疑問符を投げかけた。
過去にもVENYは金網戦の経験を持つが、その際は「ルール自体がよくわかってなくて、『金網に入れ』って言われて。『ルールはとくにないよ。ここから出ればいいんだよ』っていう感じで、試合をしたから…」と答えたが、そもそも金網は通常のリングと違うのか? との問いには「超アガる! アガりますね、私は。ホントに動物になった気分」と闘争本能が剥き出しになることを明かした。

気持ちよかった相手はSareee、中島安里紗、橋本千紘、彩羽匠
ちなみにVENYは、年明けの1月17日、新木場1stリングにおいて、前王者のSareeeから王座を奪ってベルトを腰に巻いたが、SEAdLINNNGのベルトは「強さの象徴」と呼ばれており、VENY対Sareeeは、長らく待望視されていた対戦カードだった。
「いろんな団体からちょこちょこオファーがあったんですけど、タイミングが合わずに断り続けて、そもそも初対決はさっきも言った『Asssemble』だったんですけど、全然、対戦する機会がなくて。対戦するようになったのはここ数年なので。とにかくエルボーが痛いくらいしか印象がなかったのが、やってて気持ちいい相手が少ないなかで、Sareeeと対戦してみて、この人もこういう気持ちよさを感じる選手のひとりだなっていう印象になった」
そう答えるVENYに対し、Sareee以外に闘っていて気持ちよさを感じる相手には誰がいるのか、と聞くと、「同期の橋本千紘(仙台女子プロレスリング)、彩羽匠(マーベラス)」の名前が上がった。
過去には、昨年8月に引退した“悪魔”中島安里紗が、VENYとタッグマッチで闘いながら、「気持ちいい!」と絶叫していたこともあった。本音をいえば、殴り合いながら「気持ちがいい」とは一般的には理解に苦しむ言動だ。
「何ていうのかプロレスラーにしか分からないと思うんですけど、ホントに気持ちいいんですよ。痛いし、もちろん。だけどたぶん、脳内の何かが出ているんでしょうね。超アガる感じ。殴られている時しか得られない感覚ですね」
であればと過去に遭遇した、誰の技が最も効いたのかを訊(たず)ねると、「私、ホントに記憶が飛びやすくて、常に飛んでいるんですよ。よくないけど。でも中島安里紗なんてカッとなってガンと返すと何倍返しで返してくるから。そこでひるんじゃったりするとつまんねえなって感じだけど、やったらやった分の倍返しでくるのがいいですよね。あの女は気持ちよかったです」とうれしそうに話した。
そんなVENYに対し、改めて堀田戦への意気込みを訊ねると、「逆に大きな傷をつくって、骨の1本や2本、3本、4本折って、現役生活を終わらせるじゃないけど、そのくらいの気持ちで受け入れてあげたいなと、堀田を、と思います」と語り、辛辣ながらも密度の濃さをうかがわせる物言いを残した。
果たして王者・VENY対堀田の金網タイトル戦は、女性版タイガーマスクの重圧から解放されたVENYがレジェンド堀田に引導を渡す闘いになるのか――。
