俳優・伊藤淳史が、大文字屋を演じるNHK大河ドラマ『べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～』（日曜午後8時）の第12回（3月23日放送）で、大勢の仲間を率いて雀踊り（すずめおどり）を披露する。踊りは吉原に客を呼ぶための俄（にわか）祭りで繰り広げられ、同じ女郎屋の若木屋（本宮泰風）と踊りで対決する形が描かれるという。伊藤が取材に応じ、日ごろの現場の様子とともに雀踊りの舞台裏を明かした。

　まず大勢いる女郎屋の親父衆の中で伊藤が演じる大文字屋のキャラクターを聞いた。

「年齢も他の親父衆に比べて若く、一代で大文字屋の主に成り上がった男です。そのあたりの思い……何が一番強い思いかと言いますとケチというところです（笑）。とにかく頭の中はお金のことしかないです。あとは、いろんなことに一番最初に突っ込んでいきますし、他の親父衆を演じる皆さんの怒りのシーンは静かですが、僕が演じる大文字屋は怒鳴って叫びます。全シーンで叫んでいるから最後は声がつぶれます（笑）。体を張っています。お金が大好きなケチで声のでかいのが大文字屋です」

　日ごろの撮影現場はどんな雰囲気なのだろう。

「共演者はみなさんいい人たちで回転ずしの話をしながら盛り上がって日々を乗り越えていました（笑）。長時間に撮影がおよぶときは、みんなで慰め合う機会が多いです。話題はラーメン屋の話とか食べ物の話が多いですね。現場でおなかがなる人もいます（笑）」

　蔦重こと主人公・蔦屋重三郎を演じる横浜流星についても尋ねた

「フランクに接してくれて軽やかな感じでいてくれるので気楽に話ができます」

　大文字屋の踊りは活気のある動きが特徴とされる。練習の様子を聞いた。

「毎回約1時間の個人レッスンを2、3回やって、全員で集まっての練習を終日やり、その後、家でも練習しました。すると子どもたちがむちゃくちゃ邪魔してくるんですね。隣で勝手にアレンジして踊ったり、僕が練習すればするほど子どもたちは大爆笑。それはもう結構大変で……1か月くらいそんな日々で、僕にとっては忘れられない時間になりました（笑）」

　収録当日はかなりハードな撮影だったようだ。

「一番前で踊る中心人物として総勢100人を優に越える規模の撮影の場に臨めることが本当にうれしかったです。何十回踊ったか分かりません。朝から晩までずっと踊っていました。ここまで頑張って良かったと思える作品に仕上がっていると祈っています（笑）。大変でしたけど楽しかったです」