遅咲きデビューから約7年…井上祐貴、周りと比較して葛藤していた過去 意識が変化していったワケ

俳優の井上祐貴にとって2025年は挑戦の1年となりそうだ。今年は、4年ぶりの映画出演、3年ぶりの舞台出演など久しぶりな出来事が目白押しとなっている。数々の話題作への出演を経て、役者として大きく成長した姿を見せる舞台が整った。

久々の映画出演、主演ドラマ、舞台出演が続く井上祐貴【写真:増田美咲】
久々の映画出演、主演ドラマ、舞台出演が続く井上祐貴【写真:増田美咲】

4年ぶり映画での高校生役には「さすがにしんどいですよ」と照れ笑い

 俳優の井上祐貴にとって2025年は挑戦の1年となりそうだ。今年は、4年ぶりの映画出演、3年ぶりの舞台出演など久しぶりな出来事が目白押しとなっている。数々の話題作への出演を経て、役者として大きく成長した姿を見せる舞台が整った。(取材・文=中村彰洋)

 2月21日に公開された映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』(配給:ポニーキャニオン、監督:木村真人)に高校生・ハルヒ役で出演する井上。28歳にして高校生役での出演となったが、「さすがにしんどいですよ」と照れ笑いを浮かべる。

「高校生役のオファーをいただいても、あまりびっくりしない自分がいます。『28歳で高校生役をやるとは……』と思ったりもしますが、慣れちゃいました(笑)。できると思っていただけていることがありがたいです。でも、そろそろ最後でもいいかなと思っています(笑)」

 男4人の友情を丁寧に描いた本作。共演する八木勇征(FANTASTICS)、櫻井海音、椿泰我(IMP.)はそれぞれが初対面で、初日は「みんなびっくりするぐらい人見知りだった」と明かす。「顔合わせの日はほぼ会話ゼロでしたが、共通の話題などで打ち解けていって、クランクイン時には砕けて話せる仲になっていました」。

 映画出演は21年の『明け方の若者たち』以来4年ぶり。途切れることなく、数々の話題ドラマに出演してきた4年間だったが、映画への出演を控えていたのには理由があった。

「実際に映画に出させていただいて、見てくださる方がいないと映画にならないんだと痛感しました。どれだけ本気で撮影していても見ていただけないと意味がない。そのためにはまず、自分のレベルを上げないといけないんだなと心の底から思いました。もっと活躍して知名度も上げて、『井上祐貴が出演しているなら』と、映画を見に来ていただけるような俳優にならなきゃと頑張ってきた4年間でもありました」

 役者としての場数を踏んで、新たな思いで臨んだ今作品。「ちょっとだけ視野が広がったかなと思います」と成長を実感することもできたようだ。「そういう意味でも今回はとても大事な作品です。どんな反応をいただけるかドキドキしています」。

 3月17日には主演のNHK創作テレビドラマ大賞『明日、輝く』が放送される。井上にとって主演作は22年のNHK夜ドラ『卒業タイムリミット』以来3年ぶり。今作がテレビドラマ初出演となる具志川莉央との共演に学ぶことも多かったようだ。

「僕が初出演の時は、それはひどかったですよ。緊張しすぎて、お見せできたものじゃないです。でも具志川ちゃんは15歳なのに、しっかりしていて驚きました。僕なんてデビュー22歳だったのに(笑)。自分が思ったことを言葉にして伝えたり、監督から演技指導を受けたら、すぐに実行していたり、近くで見ていて何の心配もいらない子だなと。とにかく物事を真っすぐに受け取っていて、そのピュアさがすてきでした。僕も改めて、初心を忘れちゃいけないなと思いました」

 さらに、5月には舞台、彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd『マクベス』への出演も控えている。これも3年ぶりと久々だ。ミュージカル『ピーターパン』(18年)からスタートした俳優人生。その原点でもある舞台への再挑戦となる。

「これまでの作品とはジャンルも全く異なるので、今は舞台初挑戦のような意気込みでいます。新しい作品に入る時はいつもドキドキするのですが、今回は舞台自体が久しぶりなこともあってちょっと怖いです(笑)。映像作品とは、また違った刺激を受けて、自分の成長につなげたいと思っています」

2024年は井上祐貴にとって転機の1年と語る【写真:増田美咲】
2024年は井上祐貴にとって転機の1年と語る【写真:増田美咲】

挑戦続きの2025年…「今は舞台のことで頭がいっぱい」

 24年は大きな転機となる1年だった。これまで周囲に相談することを苦手としていたが、先輩俳優らとプライベートでも積極的に関わるようにしたことで見える景色が変わっていった。

「昨年は仲の良い先輩たちに、いろんなことを聞くようにしました。『僕ぐらいの年齢の時にどんなこと考えていましたか?』『今まで1番しんどかった現場ってどんな感じでしたか?』とか。そういう話を意識的に聞くようにしたことで、自分の考えも少しずつ変わっていった気がしています。今まで1人でしょうもないことを悩んでいたんだなと感じましたね。これからもまだ自分が見たことない景色を見た、経験した方の話をもっと聞いてみたいです」

 22歳と遅咲きのデビューだったが、その後は出演作が途切れることなく、順風満帆な役者人生にも見える。「そう見えているということは、良いことなのかもしれないです」と笑いながらも、過去の葛藤を振り返った。

「同世代の俳優たちと並んだ時、大体いつも僕が一番歴が浅いですし、お芝居に触れてきた数も圧倒的に少ないと自覚しています。数年前はどうしてもそういった点を悲観的に捉えていました。

 映画やドラマに出させてもらっても、『実力ないのに事務所が大きいから出演できてるんだろ』と周囲の人に思われているんじゃないかなと勝手に思ったりもしました。悔しくて、自分のことも好きになれなくて、精神的に本当にキツかったです。でも最近は先輩たちからいろんなお話を聞くことができたこともあって、そういった考えを抱くことなく、仕事に向き合えています」

 デビューからもうすぐ7年。今年は「人間として成長したい」と目標を掲げる。

「『またこの人と一緒に仕事をしたい』と思ってもらえるような人になりたいです。なろうと思ってなれるものではないと思いますが、全力で仕事を楽しんだり、100%で仕事に向き合うことがつながってくるのかなと思っています。今までは余計なことを考えてしまったりしていましたが、それを取っ払って、一つ一つに向き合っていきたいです」

 今後はバラエティーなどへの出演にも意欲を見せる。役者としてではなく、“井上祐貴”としての個性を発信することにも前向きだ。映画、主演作、舞台……、井上にとって2025年は大きな挑戦の1年となりそうだ。

「今は舞台のことで頭がいっぱいです。悔いなく胸を張って大千秋楽を迎えることが今の目標です。いろいろな経験をすることで意識にも変化があるかもしれないですし、これからどんな新しい目標が生まれてくるのか楽しみです」

□井上祐貴(いのうえ・ゆうき)1996年6月6日、広島県出身。2017年に「第42回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で審査員特別賞を受賞。18年にミュージカル『ピーターパン』で俳優デビュー。19年『ウルトラマンタイガ』(テレビ東京系)でテレビドラマ初主演を果たす。その後も『どうする家康』(23年、NHK)、『虎に翼』(24年、NHK)など話題作に出演。25年は、映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』(2月21日公開)、主演ドラマNHK創作テレビドラマ大賞『明日、輝く』(3月17日)、舞台・彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.2『マクベス』(5月8~25日、彩の国さいたま芸術劇場 大ホール)などの待機作を控える。

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