「人生初の挫折」がもたらした広瀬すずとの運命の出会い 鳴海唯、転機の20代後半で目指す「大人の女性」
俳優の鳴海唯は、2023年8月に発売された1st写真集『Sugarless』(玄光社)が写真集では異例となる1年半にわたるロングセラーを記録して今年2月に重版となった。19歳で芸能界に飛び込んだ少女も現在26歳。偉大な先輩たちの背中を見て、「私もああなりたい」と“憧れられる存在”を目指す。

1st写真集『Sugarless』が重版「お仕事を頑張って良かった」
俳優の鳴海唯は、2023年8月に発売された1st写真集『Sugarless』(玄光社)が写真集では異例となる1年半にわたるロングセラーを記録して今年2月に重版となった。19歳で芸能界に飛び込んだ少女も現在26歳。偉大な先輩たちの背中を見て、「私もああなりたい」と“憧れられる存在”を目指す。(取材・文=小田智史)
2018年に俳優として活動をスタートさせた鳴海。写真集に対しては、「人気が確立されている方が、ファンの皆さんのために向けて出版するというイメージ」を抱いていたという。それだけに、自身のもとに写真集のオファーが届いた時には「『私が出させていただけるんですか?』とすごく驚いた記憶があります」と振り返る。
初挑戦となった写真集は『Sugarless』は、福岡や長崎で撮影し、初の水着やランジェリー姿など「素の部分が詰まったナチュラルさ」が特徴。鳴海は「基本SNSだと、自分が好きな顔の角度、好きなスタイルしか載せません。でも、この写真集では、『あまりにも素すぎてこれは恥ずかしいかも』というカットも、私の一存ではなく、周りの意見を聞きながら選びました。例えば、こんなに笑った写真は自分のSNSでは載せませんから(笑)」と語る。
1年半にわたるロングセラーで重版が決定し、今回自身初となるファン参加型のお渡し会イベントを開催。「お仕事を頑張って良かった」と笑顔をのぞかせた鳴海は、この間の変化と成長をどのように感じているのか。
「写真集を改めて見直してみると、『私、この時こういうお洋服が好きだったな』とか好みの変化を感じます。この時(2022年に撮影)は特に昭和レトロな風景とか服が好きなマインドだったので、衣装に古着をチョイスしていたりします。人間としては……本質は変わっていないと思いますけど、少し落ち着いたかな(笑)。ありのままでいたいと思いつつも、26歳になったので、『大人の女性になりたい』気持ちが芽生えてきました。ゆったりと大人の女性に変化していけたらいいなと思います」

転機の1つとなった大河ドラマ『どうする家康』出演
鳴海は2024年、TBS系連続ドラマ『Eye Love You』で民放ドラマ初出演を果たし、TBS系連続ドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』(あのクズ)でも俳優・奈緒が演じる主人公の妹で、元ギャルのシングルマザーを好演。話題作に携わった経験は、「視野が広がる」きっかけにもなったという。
「2024年は初めてGP帯(午後7~11時のゴールデン・プライムタイム)のドラマに出演させていただいた年でもありました。今までとは違った規模の大きい作品に携わらせていただくことが増えて、自分のことだけを考えるのではなく、より作品のことを考えたり、視野が広がった気がします。そういう意味では少し大人になれたのかなと思います」
『あのクズ』は、主演の奈緒の姿に刺激を受けると共に、演じた役にも感じるものがあったと明かす。
「奈緒さんは太陽みたいな方でした。奈緒さんが演じていた役は、プロボクサーを目指す女性。撮影をしながら食事制限やトレーニングをしていて、きっと誰よりも疲れているはずなに誰よりも明るくいる姿が本当にかっこよくて、『こんな大人の女性になりたい』と思いました。26歳でシングルマザー役を演じることができたのは、貴重な経験でした。25、26歳は、役で言えば学生から先生とか、移り変わっていく少し難しい時期だと思っています。その中で、シングルマザーは1つ自分の向き合っていく役が変わってきた瞬間。新しい経験でおもしろかったし、子役の子と向き合ってお芝居するのも楽しい時間でした」
鳴海は自身の俳優キャリアについて、「ずっと浮き沈みが激しい」と表現する。「ご褒美みたいな(共演者との)再会の時間があって、『やった~、幸せ!』だと思った次の日に嫌なことがあって落ち込むことはよくある(笑)」。その中で、転機の1つに挙げた作品は、2023年のNHK大河ドラマ『どうする家康』だった。
「主演の松本潤さんをはじめ、尊敬する方々のお芝居を間近で見られた貴重な時間でした。まず、NHKに入るのが(2019年の)『なつぞら』ぶりですごく緊張していたんです。しかも、名立たる先輩たちの中で、私はたんかを切って前に出ていかないといけないキャラクターで(苦笑)。すごく不安でしたけど、リハーサルの時間とかに私が悩んでいたら、松本さんは同じ目線に立って、『大丈夫? やりにくくない?』と話しかけてくださったり、すごく視野の広い方だなと思って尊敬しかありませんでした。その後、2024年も『Eye Love You』『あのクズ』とすてきな作品、俳優さんとご一緒できる機会がありました。それらは全て私にとって大切な経験です」

大学受験失敗は「人生初の挫折」
鳴海は俳優に憧れた高校時代、より多くのチャンスを求めて東京の大学への進学を目指したが、合格には至らず。最終的に、地元・関西の大学へと進んだ。「大学受験で失敗したのは、人生で初めての挫折かもしれない」と振り返る。
「今でこそ笑い話ですけど、落ちまくったんですよ(笑)。周りはみんな受かっている中で、私は浪人かもってところまで行って……、後期でギリギリ受かりました。お母さんのお友達は、私が大学受験に失敗した時にすごく落ち込んでいたのを知っていたので、(俳優として)お仕事ができるようになってきてからは、『大学受験を失敗したのも、きっと意味があったんだと思うよ』『これで東京の大学に進学していたら、女優になっていたかもわからないもんね』と言われて、確かに結果的に良かったなと思いました」
その鳴海が再び上京を決断するきっかけとなったのが、広瀬すずが主演を務めた映画『ちはやふる -結び-』のエキストラ出演。2018年に俳優として活動を始め、翌19年にはNHK連続テレビ小説『なつぞら』で無名の新人ながら、広瀬が演じるヒロインなつの妹・明美役に抜てきされた縁がある。テレビドラマ出演1作目にして、朝ドラ初出演にもなった。
「『ちはやふる』という作品は、東京に出てくるきっかけを作ってもらった作品なので、自分の中でもすごく思い入れがあります。そこから、また『なつぞら』を通して広瀬さんにお会いできたのも夢みたいな話。学生の時の自分に言ってあげたいくらい、貴重な経験をさせていただきました。広瀬さんもすごくびっくりされていたし、喜んでいただけました。自分が仕事をしていない時の経験をご本人にお話しできる機会があったのは本当にうれしかったです」
鳴海は2023年4月、現在の事務所FLaMme(フラーム)に移籍。戸田恵梨香、有村架純、吉瀬美智子、吉岡里帆ら数多くの実力派俳優が所属している。先輩たちの活躍する姿は、鳴海にとって刺激そのものだ。
「昨年、お芝居のことで悩んでいた時期があって、(有村)架純さんに相談に乗っていただきました。普段どのようにお仕事に取り組んでいるかを聞かせていただいた時に、私が考えていたよりもはるかに視野が広く、俯瞰してお芝居のことを考えていらっしゃった。架純さんからいただいた言葉は携帯にメモして、今も心にしまっています。勝手に言ったら、架純さんに『言わないで!』と叱られるかもしれないので内容は勘弁してください(笑)。『こんな風になりたい』と思う俳優さんが同じ事務所にこれだけたくさんいるのは、ありがたいこと。その背中を見て自分も頑張っていきたいです」
では、鳴海はどのような俳優を目指すのか。自身のオリジナリティーとして、「親近感」をポイントに挙げる。
「『こういう子どこかにいそう』と思ってもらえる、フラットな親近感のある役者でありたいです。関西で育った特権で、自分はお笑い好きでポップな感じかなって。自分の根底にあるのは、『人に楽しんでもらいたい』という思い。『鳴海ちゃんの作品があるから明日も頑張ろう』となるように、楽しさや希望をシェアしていきたいと考えています。役で言えば、刑事とかジャンヌ・ダルクのような騎士、強い女性を演じてみたいですね」
俳優活動7年目、鳴海は成長を目指してどん欲に走り続ける。
□鳴海唯(なるみ・ゆい)1998年5月16日生まれ。兵庫県出身。2019年にNHK連続テレビ小説『なつぞら』でドラマデビュー。POPEYE“ガールフレンド特集”号の表紙や、ドラマ『Eye Love You』(TBS)、『あのクズを殴ってやりたい』(TBS)、『わかっていても the shapes of love』(ABEMA×Netflix)、サントリー「JIM BEAM」をはじめ多数のドラマやCMに出演。身長156センチ。趣味は運動全般。水族館とお笑い、洋服を愛する。
