吉岡里帆が『御上先生』で感じたコト 演じる国語教師は「日本の教育で育った人の完成形」

俳優の吉岡里帆が、TBS系連続ドラマ『御上先生』(日曜午後9時)の取材会に出席。自身が演じる教師・是枝文香(これえだ・ふみか)に対する思いや、役作りについて語った。

『御上先生』で教師・是枝文香を演じる吉岡里帆【写真:(C)TBS】
『御上先生』で教師・是枝文香を演じる吉岡里帆【写真:(C)TBS】

「御上先生よりできない」自分の“できなさ”を痛感する役どころ

 俳優の吉岡里帆が、TBS系連続ドラマ『御上先生』(日曜午後9時)の取材会に出席。自身が演じる教師・是枝文香(これえだ・ふみか)に対する思いや、役作りについて語った。

 松坂桃李が主演を務める同作は、『ドラゴン桜』(2021年)、『マイファミリー』(22年)、『VIVANT』(23年)、『アンチヒーロー』(24年)など同局の「日曜劇場」で話題になった作品を担当してきた飯田和孝プロデューサーが手掛ける完全オリジナルストーリー。未来を夢見る子どもたちが、汚い大人たちの権力によって犠牲になっている現実と、そんな現実に1人の官僚教師と令和の高校生たちが共に立ち向かっていく、“教育のあるべき真の姿”を描く大逆転教育再生ストーリー。松坂演じる東大卒でエリート文科省官僚の御上孝(みかみ・たかし)が、新たに設立された“官僚派遣制度”によって県内トップの東大合格者を誇る私立隣徳学院に赴任し、日本の教育を変えるために現場から声をあげる。

 吉岡が演じるのは、御上が赴任した隣徳学院で3年2組の副担任を務める国語教師の是枝。もともと同クラスの担任で、熱心な授業を展開し生徒からの信頼も厚いが、御上がやって来たことで副担任になってしまう。御上と生徒のやり取りに関わる中で、大きな影響を受けることになる。『是枝茶道教室』を運営する裕福な実家で育つが、茶道の師である母親との折り合いは悪い。

 吉岡は是枝の性格について、「自分の気持ちを全部さらけ出したり、自分の弱さを見せたりする場面がほとんどなく、抱え込んでいく。でも大人だから、それを卑下したり悲しんだりするというより、それすらも抑え込んで、前向きな姿勢で生徒たちと向き合いながら、『自分にできることは何だろう』と常に考えている。御上先生の話を聞くたびに反省して、本当に少しずつ成長していくようなキャラクターです」と説明した。

「今回の現場での私の役割は、皆さんのお芝居をしっかりと受け止め、自分のキャラクターを前に出し過ぎないこと。目の前で起きていることをちゃんとキャッチして、成長していく生徒たちを見ている側なので、生徒たちを『本当の意味でちゃんと見る』『本質的なところを見ようとする』ことは、すごく気をつけています」と意識しているという。「“受け”として、取りこぼさないようにする感覚というか。『見逃さない』っていうんですかね。『生徒が送ってきてくれているエネルギーを見逃さない』というのを大事にしています」と語った。

撮影開始当初には課外授業を受けた【写真:(C)TBS】
撮影開始当初には課外授業を受けた【写真:(C)TBS】

撮影開始当初に課外授業「たくさん気づくことがあった」

“受け”の役として、是枝の葛藤を感じることもあるという。「やっぱり、抑え込んで抑え込んで毎日を過ごしているので。是枝は『自分は御上先生よりできないんだ』『自分は生徒の役に立てないんだ』と、ちょっと卑下するような気持ちになりがちで、自分のできなさを痛感する役でもあるし、生徒の役に立ちたいのに、なりきれないみたいな思いに陥るキャラクター。『自分って本当に何もできないんだ』と思ったり」と分析。「でもそういう感情になってくことは、きっとこの役と向き合えている証拠。体と心がちょっと弱ったり、反省してしまったりという感情は、大事に持っておきたい。」と、役柄に寄り添った。

 劇中では、裕福な実家に生まれながら母親に意見できない一面も。吉岡は「今、生活している人たちの中にも、自分の言いたいことを堪えて我慢している人がたくさんいらっしゃると思います。是枝はそういう人の代弁じゃないですけど、そういう方とリンクしていきたい」と語る。「葛藤があっても怠けているわけではなくて、実は裏でいろいろ考えて、自分なりの努力をしている。是枝を演じることで、そうやって過ごしている人に『あ、これで良いんだ』『自分もちゃんとやれている』『ちゃんといつか伝わる可能性があるんだ』と思ってもらいたい。“是枝に近い人たち”に向けても、一生懸命ちょっとずつ成長できるように、いいキャラクターにしたいです」と意気込んだ。

 同作には、教育の専門家・工藤勇一氏が学校教育監修として携わっている。撮影開始当初、工藤氏の課外授業を受けたという。「日本でどのような教育がなされたから、どういう遅れをとったのかを現実的に解説する授業を受けました。『今、世界と差が開いているんだ』とか、自分が当たり前に受けていた授業を思い出して、たくさん気づくことがありました」と振り返った。

「是枝という役は、ある種“日本の教育で育った人の完成形”にしたいと思いました。“ずっとまじめにやってきた人がなる形”というか」と、工藤氏の授業からも役作りのヒントを得たという。「工藤先生が今の日本教育に対して、『今、さらにステップアップが必要なんです』とおっしゃっていて。(是枝は)頑張ってきてまじめだし、仕事ができないわけではないけど、『もっと高く飛ぶためには負荷をかけなきゃいけない』と思ったんです。そこをうまく表現できたら、(是枝が巻き返す様子も)効果的に出すことができると思いました」と語った。

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