日常でのありふれたやり取りをテーマに、非常識な客や店員を風刺する内容の動画がネット上で大きな話題を呼んでいる。投稿者の管理人ちいさん（@kanrinin_cyi）は、過去には飲食店やキャンプ場の経営をしていたという経歴の持ち主。なぜ身近なトラブルを題材に発信を行うのか。動画クリエーターに転身した経緯や、作品に込めている思いを聞いた。

「レジ袋はお使いですか？」

　今月11日、ネット上で公開されたショート動画では、スーパーのレジでのレジ袋購入を巡る、客と店員のトラブルの様子が収められている。動画では、男性客が「これ全部入るぐらいの」と店員に袋のサイズ指定を委ねるも、「袋は有料ですので。こちらで勝手に決めるわけにもいかないですから」「ご自身で選んでいただけますか」と店員に促され、両者の問答が続く。「Lはさすがに大き過ぎだろ」「融通の効かない店員だなぁ」と悪態をつきながら選んだ袋には、結局商品が入りきらず、男性客は激怒。これに店員が「レジ袋ごときでごちゃごちゃ言ってくるやつは出禁な！」と言い放つという内容だ。

　動画には、「これ痛いほど分かる」「いる！　聞いといて『このサイズは違う』って言う人　『じゃあ、最初から自分で選べ！』って怒りたい」「どれなら入りますかね？　ってマジで聞いちゃうわ……」「黙ってお金払うから適量の袋をつけて欲しいと思うのは俺だけじゃないと思う」「『1枚で入りますか？』って聞かれても、袋詰めしないから知らんねんんなこと」「『入るサイズ』って言ってくる様な奴には、無言で一番大きなサイズを渡しておけば良いんじゃないのかな」「有料化はほんま意味なかったとおもう」など、客と店員双方の立場から、さまざまな意見が寄せられている。

　投稿者が手掛けるショート動画には、他にも「偉そうな子連れ様」「非を認めない迷惑客」「返事しないコンビニ店員」など、日常生活で見かけるさまざまなトラブルの実例が並んでいる。もともとキャンプ場の管理人をしていたという投稿者。「迷惑キャンパーは出禁にする」という内容の動画を投稿したことが、SNSでの発信を始めるきっかけになった振り返る。

「当初は『こういう行為は迷惑ですよ！』という内容を発信することで、キャンプ場利用のマナーについて再認識してもらったり、マナーやモラルのある人たちだけに利用してほしいという気持ちを込めて制作していました。そのうち、いろんな業種の経営者さんや、接客業をしている方々から『気持ちわかります』『日頃思ってることを代弁してくれてスッキリした』といったお声をたくさんいただくようになりました。

　現実社会では、迷惑客に面と向かって注意をすると、逆上されたり自分が危害を加えられる可能性もあって、皆さん気持ちをぐっと堪える場面が多いと思います。今は、多くの方々が溜め込んでいる気持ちを動画を通して代弁することで、みなさんのストレス発散となればという思いや、お互いに気遣いのある優しい世の中であってほしいという願いを込めて制作しています」

　一連の動画には、「自分もちいさんみたいに言い返したいです」という接客業従事者からの共感の声や、「それぐらい別にいいだろ」といった迷惑客側に賛同する意見など、さまざまな反響が寄せられるという。

「世の中いろんな価値観の人がいて面白いなぁと思っています。迷惑行為をされた方はもちろん、する側にも理屈や正義があるので、両者が理解しあうことは難しいのだろうなぁと思います」と投稿者。今後も接客業のあるあるネタを投稿しつつ、新たにファッションやメイクに関する別チャンネルも立ち上げる予定だといい「常に新しいことに挑戦していきたいと思っています」と話している。