任期満了に伴う千葉県知事選が27日に告示され、選挙戦がスタートした。「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏は同日、船橋駅前で立候補後の第一声を行った。午前11時から約1時間半。開始早々「このやろう！」などとやじが飛び、プラカードを持った乱入者が出るなど、現場は一時騒然となった。

　立花氏は船橋市議会議員を務めた自身の経験から街頭演説を開始。「今回選挙に出た理由は当然、当選目的ではありません」と自身の主張を語った。立花氏の演説に、「ひとごろし　あやまれ」と書かれたプラカードを手にした聴衆の男性が「もう1回言ってみろ！」とやじを飛ばすなど、会場には怒号が飛び交った。

　立花氏はやじに動揺する様子なく、「ちょっと前においで」「嫌なんだったら黙ってて。しゃべりたいんやったら自分の意見を言いなさい」「僕に脅迫の電話は毎日かかってきますよ」などと言いながら男性を選挙カー前に呼びつけ、「誰が？」「謝れって誰に言ってるの？」などと詰め寄る場面も。知事選立候補者で「つばさの党」代表の黒川敦彦氏も割って入り、「警察呼べ！」と男性を脇に誘導。結局、男性は演説の間、立花氏の横でプラカードを掲げ続けた。

　ハプニングはこれにとどまらない。演説の終盤、別の男性が乱入し、プラカードの男性に迫る事態が発生。黒川氏が「これはダメだ」と声を上げ、立花氏が「黒川君、妨害になるからやめてくれる？」といなす場面も見られた。

　現職の熊谷俊人氏ら4人が立候補した今回の知事選。“2馬力選挙”が物議を醸している中で、立花氏の言動は耳目を集めている。演説の中で立花氏は「熊谷知事はめっちゃいい人ですよ。僕は今回は2馬力選挙はしないし、彼のことを責めもしません」と言明。質疑応答の場面で、千葉県のために何をするのかを問われると、「千葉県のために何もする気はありません。日本のためにやります」と言いつつ、「千葉県が豊かになるようにしたいです」と答えた。

　さらに、自身の発信力を誇示。「僕はなれないと思ってるけど、なりたくないわけじゃない。僕は熊谷さんより圧倒的に仕事ができますよ。発信力が違いますから。僕がなったら千葉県は一気に変わっていきますよ」と話した。立花氏の数々の主張に対して、聴衆の一部から拍手が上がる場面もあった。また、兵庫県知事選を巡る諸問題についても持論を展開。今後の選挙活動については「土曜日、日曜日、月曜日は兵庫県に行きますから」などと明かした。

　黒川氏は立花氏の演説の後に、船橋駅で街頭演説を行った。

　一方で、再選を目指す熊谷氏は同日朝、千葉市内の公園で行われた出陣式に参加した。地元政財界の要人らが駆け付け、盤石の支持をアピール。「現場主義と対話」を掲げ、支援者らに「県民本位の県政運営を行っていきます。チーム千葉を一緒に作っていきましょう」と呼びかけた。関係者からは「150万票」の得票を目指す意気込みが語られた。

　知事選にはほかに、無所属の元国会議員秘書・小倉正行氏が立候補している。3月16日投開票。