四千頭身・都築拓紀が歩む異色の道 芸人とデザイナーの二刀流「月半分はファッション仕事」

お笑いトリオ・四千頭身のメンバーの都築拓紀は現在、芸人のほかにもファッションブランド「HIROKI TSUZUKI」を立ち上げ、デザイナーとして活躍している。芸人になる前から好きだったファッションがなぜ「仕事」になったのか。そこには入れ替わりが激しくさまざまなキャラクターが常に発掘される芸能界を生きる人間らしい理由があった。

ファッションデザイナーとしての顔も持つ都築拓紀【写真:舛元清香】
ファッションデザイナーとしての顔も持つ都築拓紀【写真:舛元清香】

高校生から服は好きだった

 お笑いトリオ・四千頭身のメンバーの都築拓紀は現在、芸人のほかにもファッションブランド「HIROKI TSUZUKI」を立ち上げ、デザイナーとして活躍している。芸人になる前から好きだったファッションがなぜ「仕事」になったのか。そこには入れ替わりが激しくさまざまなキャラクターが常に発掘される芸能界を生きる人間らしい理由があった。(取材・文=島田将斗)

 身長177センチの細身でスタイルがいい。所属事務所・ワタナベエンターテインメントに掲載されているプロフィールの趣味・特技の欄には『ポケモン』、『ナルト』など少年らしい文字が並んでいるが最後にはスラッシュで区切られ「ファッション」と書かれている。それは、いまでは趣味の域をこえ仕事に。しかし、当初は全くそのつもりはなかった。

「洋服って僕のなかで着るものだったんです。だからあまり作りたくはなかったんです。ヴィンテージよりもデザイナー古着が好き。多少お金ができて、デザイナーの方たちが自分たちがヒットするために試行錯誤して生んだ名作を運がいいことに所持できました。だからこそ自分で作っても『これのまねごとか』と。下位互換にしかならないと思ったら作る意味もないと思い、そういう考えは外していたんです」

 それでも芸人・都築にとってファッションはひとつの武器だった。“お笑い第7世代”としてブレイクするとさまざまなメディアに出演するなか、“サウナ芸人”、“キャンプ芸人”のような「○○芸人」というくくりに興味を持った。

「20代前半でいろいろなものに出させてもらって、いやらしい話、お金は貯まっていくじゃないですか。メディア露出が増えていく流れで自分のなかで得意分野が欲しいなと。資格とまで行かなくても人より秀でるものが欲しいと思いました。『いまあるお金を使って何か伸ばせないかな』と考えて可能性を感じたのがファッションだったんです」

都築拓紀が業界からも評価されている【写真:舛元清香】
都築拓紀が業界からも評価されている【写真:舛元清香】

ファッション好きのイメージが定着「シンプルにうれしい」

 ファッションに目覚めたのは高校時代。きっかけは少年野球を一緒にやっていた幼なじみがおしゃれに変ぼうしていたことだった。新しい文明に触れた人間のような衝撃でいまでもその姿を鮮明に覚えている。それからは週6日のバイトでお金を貯め、東京・原宿で服を探索していた。

「ファッションなら好きだし、それなりに楽しく知れる。あと、分かりやすいじゃないですか。“コーヒーに詳しいです”って言われても理解まで時間かかる。服って『何十万するアイテムです』って言えば分かる。だったら何の服を持とうかなって考え始めたのが20代前半です」

 それからは好みの服を購入し、あわせて情報を収集して知識をつける時間が続いた。都築をファッション好きにした幼なじみは美容系の専門学校に進学。かつての仲間を頼りに人脈を広げていき、実際に店舗なども訪れ業界人と話をしていったという。

 そのうち、自身で組んだスタイリングが注目され始め、業界では「昔のTEPPEI(パリコレでスタイリングを手掛けるスタイリスト)さんみたいだよ」と言われることも。「都築のスナップを撮りたい」と取り上げられることも増えていくなか、雑誌の企画で服を作ることに。それと同時進行でブランド立ち上げの話も舞い込んできた。

「服の製作は『仕事としてやってみます』の気持ちで受けました。やり始めたら楽しいし、こだわるのも難しいなと思っていたときに、いまやっているブランドの上の人からお話をいただいたんです。“都築さんをデザイナーとして立てて都築さんのブランドチームを作ろうと思いますが興味あります?”と。いただいた話を断るのも違うし、勉強になるかなと思って始めました」

 こうして「HIROKI TSUZUKI」は2023年1月に立ち上がった。現在まで毎シーズン、パンツを2型、トップスを2~3型出しているという。芸人としての仕事だけでなく、ファッション系の仕事も「相対的には数を増やしました」と明かす。

「ファッションのおかげでバラエティー番組の出演も増えましたし。ファッション系で関わっている時間も割と長い。形にしたことがないので難しい部分なんですけど、感覚的には月の半分ぐらいはファッションのことをやっていますね。時間計算で言えばもう少しギュッとなるかもしれないですけど」

 好きだったファッションを自分の武器にすると決めてから数年、確実に「ファッション好き」のイメージは定着しつつある。そんないまの状況に何を感じているのか。

「シンプルにファッション系の仕事が増えてうれしかったです。僕は自分の持っているワードローブのなかから自分でスタイリングを組んだものを見せるのが好きだった。いろんな人とも出会えますし、お付き合いも増えれば、それだけ新しい情報、知識も広がっていくので」

 インスタグラム上ではさまざまな若者が「HIROKI TSUZUKI」をタグ付けしファッションの投稿をしている。「昔のTEPPEIさんみたい」と言われた都築がいつか本当にパリ・コレクションでスタイリングを担当しているかもしれない。

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