【プロレスこの一年 #7】真夏の祭典「G1クライマックス」蝶野正洋が初優勝した91年の第1回をプレイバック

91年のプロレス大賞MVPを受賞したジャンボ鶴田(右)と三沢光晴【写真:平工 幸雄】
91年のプロレス大賞MVPを受賞したジャンボ鶴田(右)と三沢光晴【写真:平工 幸雄】

全日本は馬場負傷欠場により世代交代が急速化

 ルチャリブレを取り入れたユニバーサルもユニークな戦いを展開していたが、11月7日の後楽園でエースの浅井が所属最終戦。ユニバはメキシコからクーリー“クラッシュ”SZ&ブルドッグ“パニッシュ”KTを帰国させ、翌8日の同所で凱旋試合。のちの邪道&外道である。

 メジャー、インディー、U系、さまざまな団体が活動した91年にあって、リング上の戦いがもっとも充実していたのがジャイアント馬場率いる全日本プロレスだった。馬場は前年11月30日に左大腿部亀裂骨折の重傷を負い欠場。それでも世代交代は確実に進んでおり、ジャンボ鶴田を筆頭に御大不在の穴を埋めてみせた(馬場は6月1日に復帰)。大都市はもちろん、「地方でもすごい試合を見せる」と評判になったのがこの頃だ。その典型が4月20日、後楽園での6人タッグマッチ、三沢光晴&川田利明&小橋建太組VSジャンボ鶴田&田上明&渕正信組による51分32秒の激闘だった。試合後はゼンニッポンコールが大爆発。この試合は聖地・後楽園で組まれたカードだが、地方でノーTVの会場でもビッグマッチ並みの内容でファンの信頼を勝ち取っていったのが全日本のプロレスだった。これはSWAへ移籍した天龍による革命の置き土産とも言えるだろう。この時代の戦いが、後の四天王プロレスへと発展していくこととなる。

 リング上の充実には外国人レスラーの存在も忘れてはならない。この年、「世界最強タッグ決定リーグ戦」ではテリー・ゴディ&スティーブ・ウィリアムス組が、この年のプロレス大賞最優秀タッグチーム、三沢&川田組を破り、世界タッグ王座を奪取するとともに史上初の最強タッグ2連覇を達成。ブルーザー・ブロディ、スタン・ハンセンを継ぐトップ外国人の座に君臨したのである。また、初代タイガーマスク最大のライバルのひとりだったダイナマイト・キッドが突然の引退をしたのも、この12・6日本武道館だった。

 なお、91年のプロレス大賞MVPは鶴田が受賞。9月4日、武道館での世界タッグ王座戦で初めて日本人(三沢)からギブアップを奪われたものの、チャンピオンカーニバル優勝や1月に3度目の戴冠を果たした三冠ヘビー級王座を年間保持するなど、一年を通しての活躍が評価された。新日本G1の衝撃、U系三派の登場、加熱一方のデスマッチも、王道プロレスで受けきってみせたのである。

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